普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

高校生編

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樹視点

直人様がGPS付きのネクタイピンを柚琉様に贈られた｡
学校の見取り図もダウンロード済みだし地図上に位置情報が表示されるように設定もした｡
2度と迷子になんてさせるものか｡
｢ふぇぇん…｣
先程の名も知らぬ生徒クズのせいで柚琉様が泣いてしまった｡
死んじゃえばよかったのに｡
柚琉様の今までの頑張りを全て否定するような言葉｡
許さない｡
許すはずがない｡
｢樹｡遅かったね｡柚どうしたの？｣
｢いじめられてしまい泣き疲れて眠ってしまいました｣
｢…ふぅん｡まだ柚をいじめるやつがいたんだ…外部入学の子でしょ｡内部の子は初等部と中等部の時に分からせてやったし｣
｢でしょうね｡その相手は夏羽様に転んだふりをして抱きつこうとしたあの生徒でございます｣
転んだといっても自分で自分の足にひっかけてわざと転んだの方が正しいけどね｡
｢…そいつならさっき睦樹に調べてもらった｡D組の最下位篠宮しのみや香かおる｡…学年でも学校でも最下位ってこの学校に来る意味あるのかな｡しかもΩだってさ｣
｢どうでしょうね｣
一般庶民のようだったしまさかΩという特性を使って大企業の子息達に取り入ろうと？
｢…藤沢の力分からせてあげないといけないかな｣
｢妄想癖もあるようですし関わらない方が賢明かと｣
｢妄想癖？｣
｢夏羽様は自分のものだと言いふらしておりました｣
｢うわ…何それ気持ち悪い｣
そういえばさっきも言ってたな…｡
よし処分しよう｡
｢樹も手出しすんなよ？｣
ちっ…｡
｢夏も関わりたくないし夏達に2度と会わせないようにして｡睦樹達なら出来るでしょ？｣
｢｢はい｣｣
…あいつにもGPSを付けるか｡
表示は悪魔マークでいいし｡
柚琉様はピンクの星｡
夏羽様は黄色の星｡
…金のあまりかからない安物のGPSにしよう｡