普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

番外編

柚の前世 3

｢今日はクッキーを作りましょう｣
｢｢｢｢｢はーい!!｣｣｣｣｣
僕は結局理恵ちゃんの班になった｡
…誰か…僕を男の子の班に入れて｡
こっちにいるとね､甘々に甘やかされるの｡
卵割っただけで上手～って言われるしお皿出そうとしたら重いでしょ？私やるよって言われるし…｡
卵ぐらい割れるもん!!
そりゃ…最初はぐしゃってやっちゃったけどぐしゃってなった卵もスクランブルエッグにして美味しく食べたもん!!
｢卵とバターとお砂糖と…｣
｢理央くんかき混ぜる？｣
｢うん!!｣
いつもやってるもん｡
僕はボウルを受け取って泡立て器でかき混ぜ始めた｡
｢まぜまぜまぜまぜたまごさ～ん｡コンコンパカッでこんにちは～♪｣
｢理央くん､そのお歌やめて｣
えっ…僕そんなに下手だった…？
｢ごめんなさい…｣
｢違うの!!男子達が全員こっち注目しちゃってるから!!歌うなら小声ね？｣
うん…小声で歌う｡
歌わないとまぜまぜして零しちゃうの｡
｢まぜまぜ…ぐすん…まじぇ…ふぇ…｣
｢わー!!｣
｢ちょ…理恵交代っ!!｣
｢うん!!｣
僕は女の子達にボウルを放されて椅子に座らされた｡
｢ふぁぁん…｣
｢よしよし｡誰も理央くんのお歌下手って思ってないよ？｣
｢違うの…涙…勝手に出てきちゃ…｣
｢クッキー食べたら元気になる？｣
｢なるっ!!作るっ!!クッキー作る!!｣
｢よしよし元気出たね｣
クッキー!!
お母さんと練習したもん!!
作ったクッキーはお父さんにあげたの｡
そしたらね､量が多すぎるから会社に持って行っていい？って言われたからいいよって言ったの｡
今日持っていったから帰ってきたら感想くれるかな～｡
｢クッキー作る!!｣
｢あ､理央くんちょうどよかった!!型抜きするよ～｣
｢そうなの!!じゃあね､これ使って!!｣
僕はカバンをひっくり返してたくさんの型を出した｡
｢お母さんが貸してくれたの｡これがうさぎさんで､こっちがねこさんなの｣
｢凄い…これ手作りだ｣
｢理央くんのために…｣
｢理央くん｡借りるね｣
｢うん!!｣
このねこさんね､お砂糖で飾り付けするの｡
ねこさん描いたりお花つけたり…｡
いっぱい作るの!!