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幼児編

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樹視点

かくんとして目が覚めた。
やばい、寝てた。
「…樹。もう部屋戻れよ。柚琉様目が覚めたんだろ?つきっきりになる必要ないじゃないか。もう何日寝てないんだ。お前も休め」
「…柚琉様のことだからきっと何かやるからここにいる」
「なら少しでも仮眠とっとけ」
睦樹は僕の椅子の横に椅子を置いた。
「ほいよ。肩くらいなら貸すぜ?」
「…ありがとう」
睦樹の肩に頭を置き、目を閉じた。
眠っていても物音を聞き逃さぬように。
眠るつもりはないけど。





カタン。
「柚琉様!!」
「起きるのはぇな!!」
ばんっとドアを開けると柚琉様がベッドから落ちていた。
「…は?柚琉様って…こんなに寝相悪かったっけ?」
「…違う。そんなはずはない。だっていつもピクリとも動かないから生きてるのかどうか心配になるくらいで…布団が上下するから辛うじて確認できてるけど」
「じゃあ…なんでだ?」
抱き起こしてみると柚琉様の下に割れた器と白色と金色と赤色のものが落ちていた。
「…頬、切れてるな。これのせいか」
「…これ、ヨーグルト入れてたやつだ。料理長から柚琉様のお気に入りだからって貰ったやつ」
「なら食べながら寝落ちしたのか?スプーンも落ちてたし」
「…かな」
ベッドに乗せた時香る匂いに違和感を感じた。
「……薬品の匂いがする」
「鼻が利くな。俺には何も感じないぞ?」
「睦樹。そこの零れたやつ拭き取っておいて。何か混ぜられてるかも」
「りょーかい」
…この匂いどこかで嗅いだことあるんだけど…修行中の時かな。
…色んな薬品を水で薄めたもので嗅ぎ分ける訓練したし。
おかげで犬並みの嗅覚を手に入れたんだけど………わさびつらい。
めちゃくちゃ鼻痛い。
でもまぁちょっと調節出来るようになったけど。
「柚琉様…起きたら水飲んでもらわないと。効果が薄くなるかも」
「前に眠っている時はどうやって水分補給させてたんだ?」
「スポイトで」
「…どんだけ地道な作業だよ」
毎回かなりの時間をかけて10mlのお水を補給させてたもん。
これぐらいならどうってことない。
「旦那様に連絡して……悪いものだといけないから病院にも連れていかないと」
「今は翔様も直人様もいないからな…半日で帰るって連絡もないし。授業後まで待ってもらうかご家族の誰かに連絡して早退してもらって連れていくかだな」
…翔様と直人様は授業があるし…旦那様は大事な会議があるって言ってたよな…。
「…誰も…来れなさそう」
「とりあえず応急処置と連絡だけするか」
だね。
………僕は柚琉様に盛られた薬の解明をしないと。
厨房を脅せば大丈夫か。
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