普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

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柚琉視点

｢柚琉くん｡本当に手伝ってくれるの？｣
｢うんっ!!だってぼく､いっしゅうかんもそーいちおじさんにおせわになるんだもん｡これぐらいやるよ｣
｢…分かった｡じゃあ椅子に座って動かないでね｡お人形さん役だから｣
｢はぁい｣
｢これから服着せるけど痛かったら言ってね｣
｢うん!!｣
創一おじさんね､お人形さんのお洋服作るお仕事してるんだって｡
ネットで販売してるって言うから見せてもらったらね｡
………1着30万でした｡
ものすっごく高い…｡
オークションだからって言ってたけど…お人形さんの服ってこんなに高いんだ｡
だから僕はぴくりともしないよ｡
…破いたら怖いもん｡
｢樹くん…だっけ？ちょっと服脱がせるの手伝ってくれる？｣
｢はい｣
あ～今日の服複雑だもんね｡
なんかね…表側のボタン取ったら裏側にもボタンがあって…｡
首元にはネクタイあるし…｡
僕一人じゃ着れません｡
手も出さなかったよ｡
｢柚琉､少し立っていただけますか？｣
｢うん｣
椅子から降りて立ち上がると樹くんはズボンを下に落とした｡
｢……靴下も脱がせてくれる？黒のニーソはちょっと合わないから｣
｢はい｣
こうして僕は下着だけの姿で椅子に座った｡
｢……人形の下着やアクセサリーもありかな｡球体関節を隠すにはちょうどいいかも｣
｢きゅーたいかんせつ？｣
｢お人形さんの関節は特別なんだよ｣
へ～見たことないからわかんない｡
僕がこのお仕事手伝うのだってお人形さんが届かなかったからなんだって｡
…職務怠慢だぁ!!
郵便屋さんは何してるんだか…｡
｢よし｡じゃあ着せてくけどくすぐったいのは我慢してね｣
｢うん!!｣
創一おじさんはそーっと僕を抱き上げて､ドレスを着せた｡
…うん､分かってた｡
創一おじさんの後ろにドレスあったもん｡
ピンクと白で､フリルいっぱいのやつ｡
可愛いんだけど…僕が着ても可愛いの？
｢よし､終わり｡痛いところない？｣
｢ううん｡だいじょうぶ｣
｢じゃあ写真撮るね｣
｢はぁい｣
見栄え？も大事だからって｡
オークション出す写真なんだけど僕の顔は映らないようにするって言ってたし｡
この手袋も『きゅーたいかんせつ』を隠すためのやつなのかな？
白のタイツも？
｢終わり｡…随分綺麗に撮れたよ｣
創一おじさんは撮った写真を見せてくれた｡
｢……これ､ぼく？｣
｢そうだよ｣
｢…おんなのこみたい｣
…兄さん達ごめんなさい｡
僕に女の子服着せたい理由がわかったかも｡
めちゃくちゃ似合ってるもん｡
……………これからはちょっとだけ着てあげようかな｡