普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

183

ぷくぅ｡
僕は頬を膨らませていた｡
｢仕方ないでしょ？病院でお熱出して倒れたのは誰？｣
｢…ぼくだけど｣
診察室から出てね､車に戻ろうとしてたの｡
そしたらいきなり目の前がふわふわしてきて倒れちゃったの｡
｢…お父さんの話によるとちょっといつもより体温は高かったって言ってたから無理しすぎて上がっちゃったんだね｣
｢…にゃんど？｣
｢39.8度｡高すぎ｡よく気づかなかったね？｣
僕もよくわかんない｡
でもずーっとふわふわしてる…｡
｢ほら､お喋りはおしまい｡点滴終わるまで寝てようね｣
｢…ぼくねみゅくにゃいもん｣
｢じゃあ目を閉じてるだけでもいいから｣
目を閉じればいいの？
僕は目を閉じた｡




｢る…ずるくん…柚琉くん｣
｢ふぇ…？｣
｢おはよう｡もう1回体温計挟むからね｣
近くに控えていた看護師さんは僕の脇に体温計を挟んだ｡
｢ちめたい…｣
｢ちょっとだけ我慢してね｡………先生38度です｣
｢…下がったっちゃ下がったけど…まだ高いなぁ｣
｢かえりゅ!!｣
｢言うと思ったよ｡…帰すか｡点滴外してあげて｣
｢はい｣
僕は点滴の針を外されてすぐ､ベッドをおりた｡
｢ばいばい!!｣
｢こらこら､まだお父さん来てないから｣
｢…ぷぅ｣
｢ぷぅじゃない｡…かわいいけど｣