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幼児編

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「つーいーたー…」
僕は宿に着いた途端、ぺたんと座り込んだ。
「よく頑張りましたね」
「数百は歩けるようになったか。偉いぞ」
あ、数百の単位はmだよ。
だって僕今まで続けて歩いたの100m以下だも~ん。
「…でもこの部屋は上なのよね。翔、直人樹。3人の誰かが柚を抱っこして行ってくれるかしら」
「じゃあ俺が」
「なら兄さんの分の荷物持つよ」
「悪いな」
翔兄さんは肩に掛けていた鞄を直人兄さんに渡し、僕を抱き抱えた。
「眠いか?寝てていいぞ」
「うにゅぅ…」
じゃあちょっとだけ…。
お部屋も見たいしお外も行きたいから…ちょっとなの。





「すぴー…すぅ……ふにゃ!?」
僕は手が冷たいものに触れて飛び起きた。
「…なんだ」
ベッド横の机に手が当たっただけか。
…みんな…またいないし。
「…ふにゅぅ…おといれ…」
僕はもそもそとベッドから降り、目の前にあった扉を開けた。
「柚、起きたのね」
「かあさん!!」
僕は母さんに飛びついた。
「疲れはとれた?」
「うん。…みんなは?」
「必要なものの買い出しや観光に出かけたわ。柚も起きたことだし私達も行きましょうか」
「うん!!」
「柚琉様、奥様、お荷物を」
「私はいいわ。柚のだけお願い」
「かしこまりました」
樹くんは僕のリュックを持った。
…樹くん…いたんだ。
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