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幼児編

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「…んぐ」
もぐもぐ。
「…柚?」
もぐもぐもぐもぐ。
「夏もどうした?」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
「…飲み込めないんだね?」
「「なんでぇ!?」」
やっと許可をもらって1人でご飯を食べれたのにナイフは上手く使えないしお肉はずーっと口に残ってるし。
「夏羽と柚琉には別のものを用意させた方がよかったか?」
「いや、父さん。この子達の望みでこうしたんだから」
「…ふにゅぅ」
「にいさん…」
「ほらね」
「やっぱりまだ1人で食べさせられないな」
4歳なのに。
4歳になったのに…。
僕達は兄さんに助けを求めた。
「ナイフの持ち方が悪いんだよ」
「ナイフはこう。本当はフォークで押さえるんだけど…どこかに飛んでいきそうだから今は兄さんがやるね」
…飛んでくってそんなのあるわけないよ。
あのぷるぷる震えたあとにぽーんって飛んでくやつでしょ?
漫画で見たことある。
「はい、あーん」
「あー…」
僕はちらっと横を見て慌てて口を閉じた。
そうだった。
おじいちゃんがいたんだった…。
「…どうした?食べないのか?」
「…父さんが見てるからだよ。柚は恥ずかしがり屋だから」
「ちがうもん!!」
「なつは、とうさんとおなじいけん」
「なんで!?」
…僕ってそんなに恥ずかしがり屋なの?
僕がおかしいの?
「柚。食べないと冷めちゃうよ?」
「あむ!!」
僕は覚悟を決めてお肉に齧り付いた。
うまうま。
「ちゃんと飲み込めるよね?」
「うん。なんで?」
「切る方向の違いだ」
…そんなに変わるの?
「…夏はもう食べ終わったのか」
「いつも通りの食欲だね」
「…柚琉は全然食べないんだな」
「こっちが心配するくらいの少食だよ。なんかお菓子とかある?柚のそばに置いておきたいんだけど」
「クッキーやチョコの方がいいのか?」
「そうだね」
クッキーとか…チョコ。
多分高いやつだよね?
GO○IVAとか?
「…父さん。夏達が自分から来ようとしないからうずうずしてるでしょ」
「う…」
「…ゆず。いくよ」
夏は椅子からおりると僕の手をとった。
「おじーさまやだ」
「なつ。そんなふうにいっちゃいけないよ。ぼくたちなにもしらないでしょ?」
「なんかやだ。ゆず、とられそう」
…理由…それでいいの?
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