上 下
11 / 68

いれぶん どうしてこうなった。僕そこまで貧弱じゃないんですけど。

しおりを挟む
「バルドお兄さん…?」
「駄目だ」

 嫌な予感は当たってしまった。なぜに高校生になってまで抱っこ紐を使われなくちゃいけないんだ。僕は歩けるってば!迷子紐じゃないだけマシ?いやいや、おっきな男性に布で固定されて抱っこされてるちっこい男子高校生。どんなカオスな状況だ!

「まだ僕何も言ってない」
「子供は好奇心でなんにでも近づいてしまうから駄目だ」

 おろしてって言おうとしたのに。ぶーぶー。僕もう年齢明かしたはずだよね?なんで?成人してるよ?成人してるのに抱っこってひどくない?

「何かお菓子でも買っていこうか」
「話そらさないで」

 おろしてほしいんだよ。買い物するならそのあと。確かに家出るときも抱っこだったよ?でもあの時はまだこの布はなかったもん!悪化してるんだよ!

「ほらあそこの店なんてどうだ?」

 バルドお兄さんが指したのは出窓にたくさんのぬいぐるみが並んだところ。だれがぬいぐるみなんて買うか!

「いらない!」

 ぬいぐるみで懐柔とか毎日会う変態さんでもやらなかったぞ!誰が小学生じゃい!はぁはぁしてくんなキモイデブって言ったらさらにはぁはぁ言いだしたから交番に駆け込んでおいた。追っかけてきてたしその後すぐ捕まったはずなのに次の日には別の変態に遭遇するっていうね。しかも全員幼児好き。なに?認めろと?あーでも最後に出会ったラーメン全店無料券を差し出してきた人にはついていこうか迷っちゃったな。行列ができるって話題の店だったのにいったらすぐ出してくれるって言ってたし友達何人でも連れてきていいって。やべ、思い出したらよだれが。

「…前掛けも買おうか」
「いらない!」

 今のは想像しただけ!だって美味しそうだったんだもん!結局その人は近所の人に通報されて無料券渡されたけどそれも取り上げられたし。食べたかったなぁ。

「ぶー僕は赤ちゃんじゃないのに」
「赤子でなくともハルは目を離せんからな」
「どういう意味?」

 僕が危なっかしいとでもいうのか!ゆーちゃんにも言われたよそれ!あ、そうだ。

「バルドお兄さん、僕ゆーちゃんに会いたい」

 ちょっとは教えておかないとオタク以外のクラスメイト全滅だってあり得る。

「ゆーちゃん?あのやけに親しそうだった兄のことか」
「兄じゃなくて幼馴染。ゆーちゃんお金持ちの御曹司だったし若干金銭感覚ずれてるんだよね。僕になんでも買い与えてくるんだもん。全部もらったけど」

 買っちゃったものはしょうがないでしょ?もらわなきゃ捨てるって脅されたし。

「…あいつらならまだ城だろう。客室ならば俺でも入れるはずだ」
「なんでー?」
「保護は城からギルドへと受け継がれるからな。そのための話をしに行くこともある」
「へー」

 この世界は子供に対して優しいな。孤児院の子たちも身綺麗にしてたし教養もあった。異世界改革的なものを期待してたけど多分これはもう先に来た人がやっていったパターン?それとももともとこの国がそんな考えなのか。

「よしじゃあ行こー!」
「そうだな」

 いや頭撫でるんじゃなくておろして。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

特別じゃない贈り物

高菜あやめ
BL
【不器用なイケメン隊長×強がり日雇い苦労人】城下町の食堂で働くセディにとって、治安部隊の隊長アーベルは鬼門だ。しょっちゅう職場にやってきては人の働き方についてあれこれ口を出してお小言ばかり。放っておいて欲しいのに、厳しい口調にもかかわらず気づかうような響きもあって、完全に拒絶できないから困る……互いに素直になれない二人のじれじれストーリーです

ツンデレ貴族さま、俺はただの平民です。

夜のトラフグ
BL
 シエル・クラウザーはとある事情から、大貴族の主催するパーティーに出席していた。とはいえ歴史ある貴族や有名な豪商ばかりのパーティーは、ただの平民にすぎないシエルにとって居心地が悪い。  しかしそんなとき、ふいに視界に見覚えのある顔が見えた。 (……あれは……アステオ公子?)  シエルが通う学園の、鼻持ちならないクラスメイト。普段はシエルが学園で数少ない平民であることを馬鹿にしてくるやつだが、何だか今日は様子がおかしい。 (………具合が、悪いのか?)  見かねて手を貸したシエル。すると翌日から、その大貴族がなにかと付きまとってくるようになってーー。 魔法の得意な平民×ツンデレ貴族 ※同名義でムーンライトノベルズ様でも後追い更新をしています。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。

BL
───…ログインしました。 無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。 そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど… ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・ 『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』 「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」 本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!! 『……また、お一人なんですか?』 なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!? 『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』 なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ! 「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」 ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ… 「僕、モブなんだけど」 ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!! ───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。

神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】 「聖女様が降臨されたぞ!!」  から始まる異世界生活。  夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。  ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。  彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。    そして、必死に生き残って3年。  人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。  今更ながら、人肌が恋しくなってきた。  よし!眷属を作ろう!!    この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。    神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。  ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。    のんびりとした物語です。    現在二章更新中。 現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

祝福という名の厄介なモノがあるんですけど

野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。 愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。 それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。  ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。 イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?! □■ 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 完結しました。 応援していただきありがとうございます! □■ 第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m

処理中です...