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ないん …うん、わかってた。そうなるよねとは思ってた。

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「…」
「ハル。気に入らなかったか?」
「そうじゃ…ないけど」

 こう…さ、異世界なんだからローブばさっとかやってみたかったよね。なんで僕のローブにはうさ耳がついているんでしょうか。ばさっってやってもかっこよくないじゃん!むしろかわいいって言われるやつだよ‼

「我ながら上出来…」
「アン、他の仕事もあるのだろう?ハルの服を作っていてよかったのか?仮縫いといえど時間はかかっただろう」
「妖精に手伝ってもらったから平気よ」
「妖精!?」

 妖精いるの!?なにそれ契約したい!妖精と契約できた者だけが魔法を使えるとかそんなこと!?あ…でも精霊視とかの特別なスキルが必要だったり…。人生…いや異世界はそんなに甘くない。あと今の今まで忘れてたけどゆーちゃん達ってどうなった?

「バルドお兄さん」
「どうした?」
「僕の他にいた人ってどうなったの?」
「うちに来た奴ら以外は国が引き取ったみたいだな。しばらく城の客室に住まわせて能力がありそうなら引き抜く。それ以外は一定期間を過ぎたら金だけ持たせて追い出す…そんな感じだったか」
「うわぁ…」

 明らかに自分でギルドに行ったほうがいいやつだ。なんの情報も得られないまま外に出るとか危険すぎる。まぁそれは僕も同じなんだけど。いいもん、お兄さんにいろいろ教えてもらうもん。

「…ハルくんは迷い子なの?」
「あぁ。触手に襲われていたところを俺が助けたんだ。そのあと兄弟たちと別れさせてハルひとりだけ俺が引き取った」
「なんでこの子だけ?確かにかわいいけど」
「ハルは怪我がひどかったからな。治療院から孤児院に移っても周りになじめない可能性が高かったんだ。今まで過ごしてきた環境がひどい子供は大抵部屋の隅でおびえるようになってしまうからな」

 それは虐待されていたからでは?僕の怪我は腹パンが原因だったんだけど。渾身の腹パンを食らってその場でダウンしただけ。

「ハルくん…そんな辛い思いをしてきたんだね…お菓子食べる?」
「いる」

 とりあえず差し出された棒付きキャンディーを咥えた。だってもらえるのならもらいたいもん。異世界のお菓子もそれなりに美味しいってわかったし。

「…日用品はどれくらいそろえたの?」
「まだアンの店が初めてだ。女に会うので怖がるかもしれないと思ったが大丈夫そうだな。酒屋でも給仕の女をじっと見ていたし」
「じゃあこれも持って行って」

 アリシアさんが奥から取り出してきた箱には小さい子用のものがたくさん入っていた。なんでこんなもの持ってるの?もしかしてアリシアさん子持ち?若そうなのに。

「趣味で集めたので悪いんだけど未使用品ばかりだから。ハルくんによかったら使ってほしいわ」
「助かる」
「そのかわり!服はうちだけにして!その分安くするから‼」
「いいか?ハル」
「うん」

 別に他のお店で買うことにして何か変わるとも思えないしお得意様になっておけば融通が利くかもしれない。とりあえず変な耳をつけるのやめてほしい。

「ありがと!」

 アリシアさん…笑った顔ものすごく美人だ。さっきまで興奮状態だったから気づかなかった。
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