上 下
290 / 345

葛藤 2

しおりを挟む
夏視点

惟くんとゲームをしながらも意識は後ろで眠っている柚に向けていた。
メイド達が世話をしているし夏のしっぽも握らせているから大丈夫だとは思うんだけど…。
「あー!!え、ちょなんで初心者なのに!!」
「柚とたまに遊んでたからね」
「なんでゆず相手にこんなに強くなれるんだよ…」
気づかれないように手を抜くって難しいんだよ?
柚は自分が教えたいみたいで疲れきった翔兄さんが加減間違えて買っちゃった時すっごい拗ねてたもん。
「夏羽様、柚琉様は…」
「いいよ。このまま寝かせておいて」
「しかし…」
「布団敷いてるだけだと思ってるかもしれないけどその布団衝撃吸収とかの魔法が何重にもかけられてるからベッドと変わらないよ。母さんがかけたから安心して」
「奥様が…それなら安心ですね」
うん、メイド達の母さんに対する絶対的信頼はなんだろう。
逆に執事だと父さんに対してなんだよね。
うちの親ふたりは同性の心を掴むのに優れてるのかな?
「ん…むぅ…」
よく眠ってるのにしっぽは離してくれない。
時々牙を立ててるから痛い…。
「…あとで母さんに治癒かけてもらお…」
「ん?夏さんどこか怪我してんの?」
「現在進行形で柚に噛まれてるから。…あー…吸ってるし…もう寝ながら飲むのは危ないって言ってるのに」
「噛む?吸う?…やっぱゆずって魔族なんだな」
「まぁ見た目以外は魔族らしくないよね」
普通なら魔族と人族って関わりあいを持とうとしないし。
父さんと母さんが特殊なんだよ。
そんな特殊な2人に育てられたから翔兄さんや直人兄さんも積極的に関わろうとしてるの。
「…羽としっぽって隠さねぇの?夏さんうちに来る時隠してるよな?」
「柚は魔法使えないからね。夏は人にかけられるほど上手くないし尚且つ柚が嫌がるから」
「ゆずが?…俺の友達に言われた時すっごい泣いてたのに?」
「柚にとって羽としっぽはなんなんだろうね。とっても大事なもの、としか教えてくれないんだよ」
「へー」
…なんとなく理由はわかるけどね。
多分…吸血鬼と淫魔って見た目的にそう変わらないから父さんや母さんと羽が同じだ!って喜んでるんだと思う。
あのふたりなら柚に言われれば普段隠してるけど喜んで見せそうだし。
「…あ、死んだ。なんで話しながら…くっそ」
「それさっきも言ってたよ?言ったでしょ?夏はにぃにだから」
柚のかっこいいにぃにだからね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

下賜される王子

シオ
BL
【武官(年上)×第三王子(年下)】 ◆ 和風+中華風な異世界 ◆ 複数視点 ◆ 受けの攻め以外との性描写(近親相姦含む)あり 《予告無くR18表現が出てくるので、18歳以下の方は閲覧をお控え下さい》 世界に一人だけの黒髪黒目の第三王子である吉乃は、天の寵愛が厚い存在として敬われていた。敬われながらも、いずれ戦勝の報酬に自国の武官にその体を差し出す「姫宮」となる宿命を負っている。愛する人以外にも、体を許さなければならない苦悩を抱えながら、自分の宿命と向き合っていく。

兄の恋人(♂)が淫乱ビッチすぎる

すりこぎ
BL
受験生の直志の悩みは、自室での勉強に集中できないこと。原因は、隣室から聞こえてくる兄とその交際相手(男)のセックスが気になって仕方ないからだ。今日も今日とて勉強そっちのけで、彼らをオカズにせっせと自慰に励んでいたのだが―― ※過去にpixivに掲載した作品です。タイトル、本文は一部変更、修正しています。

冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話

岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ! 知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。 突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。 ※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。

ひとりぼっちのぼくが異世界で公爵さまに溺愛されています

波木真帆
BL
<最終章完結しました!ただいま番外編を随時更新中です!> これにて本編完結となります。 今まで読んで頂きありがとうございます! これからは番外編を随時更新していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします♫ <あらすじ> 中学を卒業した日、花村 柊は母親に捨てられた。 生きるために一生懸命働いていたが、ある時事件が起きて仕事をクビになってしまう。 疲れ果てた柊が公園のベンチでうたた寝をしているうちに知らない世界へ迷い込んでしまった。 そこで出会ったのはイケメンの公爵さま。 事情を話すと彼の秘書として雇ってもらうことに…。 しかし、公爵さまには別の思惑があって…。 紆余曲折を経て恋人になった柊と公爵フレッドはあるものを探しに王都へ。 ところが王城でとんでもないことに巻き込まれて……。 R18には※付けます。 第一章 出逢い〜両想い編  完結 第二章 恋人編       完結 第三章 王都への旅〜王城編 完結 第四章 王城 過去編    完結 第五章 王城〜帰郷編    完結 最終章 領地での生活編   完結 別視点で交互に話が進みます。

完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!

音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。 頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。 都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。 「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」 断末魔に涙した彼女は……

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

処理中です...