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ロミオの純情
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「お邪魔します」
この間約束した通り、コウは土曜日になると、勉強道具を鞄に詰め込んで、鷹司の部屋にやってきた。
「じゃあそこに広げて」
鷹司はリビングルームの中央に置かれた硝子のローテーブルを指差すと、お茶を準備するために、部屋に備え付けてある、ミニキッチンの方へと消えた。
コウは言われた通りにガラステーブルの上に教科書やノートを置くと、部屋をぐるりと見渡す。
ったく、何て広さなんだよ!三年生の部屋は!
俺たち一年生の部屋は、狭いワンルームにベッドと勉強机と自分たちの荷物をギュウギュウに押し込められているのに、この部屋は、1LDKだなんて!
まったく、これだけ広いリビングルームに、更にベッドルームが別にあるなんて信じられない!不公平だ!
コウが部屋を見回してため息をつきながら、キョロキョロとしていると、小さなお盆にコーヒーのマグカップを2つと、それから、チョコレートが山盛りになった皿をのせて、鷹司が戻ってきた。
「どうした?コウ」
「別に……」
あまりの環境の違いに、少し憮然とした顔をしていたコウに、鷹司はコーヒーが入ったマグカップを差し出す。
「ベッドルームなら、後で案内してやる」
鷹司がコウの耳元で囁くと、コウは言葉の意味に気がついて、耳まで真っ赤になる。
「ほら、さっさと終わらせるぞ、コウ。昼寝でベッドにいる時間は長い方がいいだろう」
意味深に鷹司が微笑むと、コウは口につけていたコーヒーをむせそうになった。
それから、教科書を開いて、二人は勉強を始める。
コウが問題を一問正解する度に、「ご褒美だ」と言って、鷹司は皿に盛られたチョコレートを一粒、一粒、コウの口の中に放り込んだ。
鷹司が用意していたチョコレートは、洋酒の入った大人のお菓子、ボンボンショコラ。
甘い表面をカリッと噛み砕くと、中からトロリとした高級ブランデーの芳醇な香りが、コウの口の中にふわりと広がる。
ひとつ、また一つ、と食べていくうちに、コウの肌は、ほんのりと茜色に染まり始めた。
「コウ、ほら」
十個目のチョコレートがコウの口の中に押し込まれた時には、既にコウの瞳はお酒のせいで、トロンと眠そうになっていた。
「あっちぃな……」
無意識のうちに、コウは胸元のシャツのボタンを一つ一つゆっくりと外すと、その様子を鷹司はゴクリと喉を鳴らして見つめ続ける。
やがて、熱く上がった体温を放出させるかのように、コウは胸元を大きく広げた。
「コウ、ベッドで休もうか」
我慢出来なくなった鷹司は、コウの体を抱きかかえるようにして、立ち上がる。
「歩けるか?」
「……はい……」
ベッドルームまでコウを連れて来ると、鷹司は自分のベッドにコウを腰掛けさせ、自分も並ぶようにして、隣に座る。
「コウ」
鷹司はコウの肩を抱き寄せると、そっと唇を重ねてキスをする。
「っんん…」
コウの口の中は熱く、甘いチョコレートの香りが満ちていた。
「ああっ」
ちゅるっとコウの舌を吸ってやると、コウは喉をそらせて、気持ち良さそうに喘ぐ。
鷹司はコウと口づけをしながら、一つ一つ、コウのシャツのボタンを外してやると、割れた腹筋に覆われた、引き締まった眩しいコウの体が現れた。
「コウ!」
堪えきれずに、ガバッと覆い被さるようにして、鷹司はコウの体をベッドに押し倒すと、夢中でコウの体から衣服を剥ぎ取り、自分も身につけているもの全てを取り去る。
ベッドの上で、裸の二人は重なると、再びキスを始める。
コウの肌は燃えるように熱く、鷹司は熱にうかされたように、その肌を撫でまわすと、時々、小さな赤い突起に手のひらが、ぶつかった。
淫らな刺激が与えられる度に、コウは呻き声を出して、体を仰け反らせる。
鷹司の右手が下腹部に伸びると、コウのペニスと自分のペニスを重ねて握りしめ、体を上下に動かして、二つの雄筒を擦り合わせる。
その動きに刺激されるように、眠そうにトロンとしていたコウはだんだんと意識を取り戻した。
「…先輩…気持ちいい……」
譫言のように、コウが呟くと
「俺の名前を呼べよ、コウ」
鷹司が耳元で囁く。
「た…鷹司…、俺…イキそう……」
コウのペニスは張りつめて、先端から蜜を零し、ビクンビクンと震えだす。
コウの言葉を聞いた鷹司は、体を起こすと、コウの足の間に入り込み、目の前の立ち上がったペニスの根元を掴むと、ズッポリと口の中に含む。
「っあっ…あっ……」
鷹司の舌がコウの茎を這いまわる度に、コウの体はビクンと跳ねる。
「もう、出…る!出るっ!」
悲鳴のような声をあげると、コウのペニスはいっぱいに膨れ上がり、筒の先端から、ビシャっと大量の白濁液が吹き出した。
鷹司はそれらを、一滴もこぼさずに飲み干す。
はぁっ…はぁっ…
荒く肩で息をしているコウに腕枕をしてやると、鷹司は右手をコウのキュッと締まった蕾へと這わせる。
「っ!」
指を一本差し込むと、そこはギチギチと音を立てるかのように固く閉じていた。
「コウ、力抜いて」
言われた通りにコウは力を抜くが、それでもそこは固いままだった。
指を二本に増やして、広げてみたらどうかと、鷹司は思い立ち、人差し指と中指を同時にグイとコウの中に差し込むと、
「ひいっ……!」
とコウは悲鳴をあげて呻く。
「痛かったか?」
気遣うように鷹司が言うと、「大丈夫……」と、コウは頭を振る。しかし、額には脂汗がうっすらと浮いていた。
「少し我慢をしてくれ、コウ」
鷹司の言葉に、コウは頷く。
早く身も心も鷹司と一つになりたい。その一心で、コウは痛みをぐっとこらえる。
二本の指を鷹司がそっと出し入れすると、最初は痛みで顔を歪ませていたコウも、次第にその口から小さな喘ぎ声が漏れるようになってきた。
指を出し入れさせながら、慎重にコウの表情を伺っていた鷹司は、コウの表情が苦痛から快楽へと変化したのを確信すると、指を一度抜き、自分のペニスを二度、三度こすって硬くする。
しっかりと屹立した自身を持ち上げ、ピタリとコウの後孔に押し当てると、
「鷹司、待って……」
ビクっ、とコウの体に緊張が走る。
「なに?」
「鷹司は経験あるの?」
「いや、初めてだ」
鷹司の返事を聞いたコウは、顔を曇らせて、眉を寄せる。
「なんだ、その不満そうな顔は。俺がヤリチンの方が良かったのか?」
"不満"じゃなくて、"不安" なんだよ! 初めて同士、ちゃんと上手く出来るかどうか不安なんだよ!
コウは体を固くする。
「大丈夫だ。お前は何も心配するな」
鷹司は不安そうなコウの額に自信満々にキスをすると、コウの引き締まった足を大きく開いて、ペニスを蕾に押し当て、グイッと力いっぱいに押し込む。
いきなり挿れられた衝撃で、コウの体に破瓜の強い痛みが走った。
「痛い!!痛い!鷹司、痛てぇよ!」
悲鳴のようなコウの声に、鷹司は慌てて、自身を引き抜く。
「わ、悪い」
「鷹司、もう少し、後ろほぐして」
涙目のコウに言われて、鷹司はあわてて指を再びソコに当てて、マッサージをするようにほぐしてやる。
「どうだ?」
「少し気持ちがいい」
コウの言葉に、鷹司は安心する。
指を二本、出し入れしてもコウが嫌がらなくなったのを見て、鷹司は再び自分のペニスを持ち上げる。
「コウ、リラックスして力抜いて」
「この状況でリラックスなんて出来ない」
コウはふてくされたような表情をする。
「じゃあ、もう一度イカせてやるから」
鷹司はそう言うと、コウに覆い被さり、キスをしながら、コウのペニスを手で扱いてやる。
「あっ…あ……」
ぬるぬるとした零れた蜜で覆われた先端部分を鷹司の掌でこねくりまわされると、ビクンビクンとコウのペニスは脈打ち始める。
「俺の事を想像して抜いた事はあるのか?」
コウの耳元で囁くと、コウは恥ずかしい質問に、顔を真っ赤にして、キッと鷹司を睨みつける。
「俺はお前で抜いたよ、コウ」
鷹司に囁かれると、鷹司の掌の中のコウのペニスは、グンと大きくなる。
「…俺も… 鷹司で抜いた……」
小さな声でコウが答えると、鷹司は嬉しそうにコウの蜜芯をギュウギュウと扱いてやる。
「あっ、ああ…… 鷹司…気持ちいい……」
コウの腕が伸びて、鷹司の首に絡みつく。
じっとりと汗ばんだ二人の肌が擦れる度に、鷹司の体にも快楽の刺激が走り、呻き声を出す。
「コウ… コウ……」
名前を呼ばれると、コウはそれに答えるように、鷹司の体に回した手に力を込める。
「鷹司… ああっ…… またイク……」
コウは鷹司にしがみつくようにして、全身に力を込めると、
「あああっ」
と喘ぎ声を漏らして、ピュッと雄芯から蜜を飛ばし、再び達した。
まだビクンビクンと小刻みに震わせているコウの足を鷹司は急いで持ち上げて広げると、達して緩んだ後ろに、鷹司のしっかりと硬くなったペニスを押し当て、ズブリと先端を埋め込む。
「ひっああっ」
押し開かれる感覚に、コウは緊張した声を出すが、さっきよりも痛みは少なかった。
「コウ、大きく息、吐いて」
鷹司に言われた通りに息を吐き出すと、鷹司のペニスがゆっくりと侵入を始める。
「あっ…ああっ……や…だ…」
ぐいっと内蔵を広げられるような、初めての感覚に、コウは嫌がるように頭を振る。
「コウ」
鷹司は一度、動きを止めると、コウを慰めるようにコウのペニスを数回扱いてやる。
「ううっ…」
コウの表情が和らいだのを見て、鷹司は再び腰を押し進める。
コウのナカは熱くて、ギチギチと締め付けがキツく、鷹司はあっという間に達しそうになる。
「はぁっ… はぁっ……」
半分まで埋め込んだところで、鷹司は動きを止める。
「コウ、お前のココ凄いな」
鷹司は額に浮かんだ滝のような汗を手の甲で拭う。
少しでも気を抜けば、いきなり爆ぜてしまいそうで、一度呼吸を整える。
「鷹司……」
「ん…?」
「キス…して欲しい……」
コウのおねだりに、鷹司は喜んでキスを与える。
「んんっ」
熱い口腔に舌を差し入れて、グミキャンディのように弾力のあるコウの舌を、ちゅるっと勢い良く吸ってやると、「ああっ…」とコウは嬉しそうに喉を鳴らす。
憎らしいほどに端正に整った顔の鷹司とのキスは、コウに何よりもの喜びを与え、コウは、繋がっている部分に無意識に力を込める。
「あっ、ダメだ!コウ!締めるな! …ウッ……」
鷹司は呻くと、勢いよくコウの中に熱い白濁液をぶちまけてしまう。
「ああ、クソ!」
ズルリと、柔らかくなったペニスをコウの体内から引き抜くと、何が起こったのか分からないといった表情で、コウはキョトンとする。
「鷹司?」
「何でもない。大丈夫だ」
鷹司はチュッとコウの額にキスをする。
不思議そうな顔をしていたコウは、鷹司の手の中の萎んだペニスを見て、やっと状況を理解する。
「鷹司、もしかして、もうイっちゃったの?」
クックックッと笑い出したコウの顎を取ると、鷹司はコウの笑いを塞ぐように、唇にキスを与える。
「あまりからかうと、手加減してやらんぞ」
コウとキスをしながら、しぼんだペニスを二、三回ほど扱くと、それはあっという間に硬さを取り戻し、再びコウの蕾に押し当てる。
「え?もう?あっ……」
あまりのリカバリーの早さに、目を丸くしてコウは驚く。
グイッとコウの熱い中に埋め込むと、中で吐き出されたヌルヌルの蜜のせいで、今度はスルスルと、スムーズに押し入れる事が出来た。
「コウ、全部はいったぞ」
鷹司はコウの手を取ると、繋がっている部分をそっと触らせる。
それは想像していた以上に大きくて、コウは息を呑む。
ずっと憧れの人だった鷹司が、俺のナカにいる。
コウは感動で胸を震わせ、大きく感嘆の溜め息をついた。
「コウ、動いていいか?」
鷹司に問われて、コウは小さくコクリと頷く。
コウの表情を確認しながら、鷹司はソロリソロリとゆっくり抽送を開始する。
「ああっ」
ビリビリと引き裂かれるような痛みに、コウは顔を歪める。
鷹司は腰をゆっくり打ちつけながら、脂汗を再び浮かべた顔のコウのペニスをそっと握ってやり、上下に擦ると、痛みで身体を固くしていたコウも気持ち良さそうに喘ぎだす。
コウの体が震える度に、真っ白なシーツが、さざ波を作った。
「んんっ……」
鷹司は目を閉じて汗を流しながら喘いでいるコウの手に、自分の手をそっと重ねると、二人は快楽の大海原へと、共に漕ぎ出してゆく。
淫らに繋がっている箇所は、たとえようも無いほどに熱くて、少し動いただけでも、鷹司とコウの体から、次から次へと汗が噴き出してくる。
抉るように、鷹司が腰を打つと、「っ…く」とコウの体が跳ね、艶やかな喘ぎ声がその唇から漏れた。
コウの体は痛みよりも快楽が徐々に支配し始めていた。
コウのペニスが硬く立ち上がったのをみて、鷹司は嬉しそうに腰を揺らす。
「コウっ……」
名前を呼びながら、堪えきれずに、強く腰をコウの体にぶつけると、コウも鷹司の名前を譫言のように、何度も何度も繰り返し叫ぶ。
鷹司の身体にぞくぞくとした快楽が這い上がってきて、いよいよ達する寸前までに行き着く。
「コウ、俺も…もうイキそうだ……」
コウを見れば、快感と痛みで流した涙で、顔をぐちゃぐちゃにしながら、美しく引き締まった体を捩らせて、夢中で喘いでいた。
エロティックに乱れている恋人の姿に、鷹司の頭は真っ白になる。
「…コウっ!……」
腹の底からの呻き声を出して、愛しい人の名を叫びながら、コウの体内に、熱い飛沫を力強く叩きつけると、鷹司はあっという間に果てた。
「うッ…ッぁぁ……」
同時に、コウの蜜筒から白濁液が、びゅっと飛びだして、コウも体をビクンビクンと痙攣させ、気を失った。
「起きたか?」
気がつくと、コウは鷹司の腕のなかにいた。
鷹司にじっと見つめられていたコウは、ついさっきまで激しく喘いでいた自分の姿を思い出し、恥ずかしさで、ぷいと横を向く。
「顔、見せろよ、コウ」
顎を鷹司の長い指で取られて、顔を無理やりに鷹司の方に向けられる。
「生意気なお前でも、あんな色っぽい表情するんだな」
鷹司に言われて、コウは顔を赤らめる。
「あんま、ジロジロ見るなっ」
鷹司の手をパシンとコウは払いのけると、背を向けて、枕に顔を埋める。
「コウ……」
ギシリ…とベッドが軋んで、鷹司の体が再びコウの体に覆い被さる。
「っちょっ… 鷹司!」
必死でコウは抵抗するが、寝技で鷹司に敵うわけがなく、俯せだった体はあっさりと仰向けにさせられ、その引き締まった体を鷹司の目の前に開かされる。
「寝込みを襲うのも悪いと思って、お前が起きるのをじっと待ってたんだ。偉いだろ?ほら、ここも待ちきれなくなってる」
鷹司はそう言って、コウの手を取ると、自分のペニスへとそっと当てる。
偉いとか偉くないとか、そういう問題じゃない!とコウは思ったが、ガチガチに硬くなった鷹司のペニスを握ると、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
「それに、お前のも大きくなってる」
「え?」
鷹司に言われて、恐る恐る見れば、確かにそこは、持ち主の知らぬ間に、大きく膨らんで勃ちあがっていた。
「え?え? っ…あっ… なんで……?」
実のところ、寝ているコウの魅惑的な体に我慢が出来なくなった鷹司が、コウを起こさないようにそっと握っていたら、硬く勃ってしまったのが真相だが、もちろん、本人に告げるつもりは無かった。
「コウ、もう一回、いいだろう?」
鷹司はコウの耳元で囁くと、コウの返事を待たずに、コウのペニスを握りしめて、扱きはじめる。
「あっ、ああっ……」
知らず知らずに、コウの足はだんだんと開いていき、気がつけば、鷹司を誘うように腰を揺らしていた。
「今、挿れてあげるから」
鷹司は一度、コウの唇にチュッとキスをすると、己の屹立を掴み、コウの蕾にあて、ゆっくりと差し込む。
「っああ」
さっきよりも痛みが減った代わりに、強い快感がコウの全身を駆け巡る。
「あっ…… 気持ちいい… 鷹司、気持ちいいっ」
コウの喘ぎ声に鷹司は嬉しそうに腰を打ちつける。
コウの初体験を痛い思いだけで終わりにさせたくは無かった。
出来る限りの快楽をコウに与えてあげたい。
鷹司は汗を流しながらも、必死でコウの身体を抱き続ける。
「ああっ、イキそう……」
コウが叫ぶと、鷹司はコウの上に覆い被さり、より深く繋がるように、腰をピタリと押し付けてグラインドさせる。
「イケよ、コウ」
鷹司が耳元で囁くと、コウは「ああっ」と甘い声を出し、四肢をピンと張り詰めさせて、やがてビクンビクンと弾けるように身体を震わせると、雄芯から密を零しながら達した。
コウに自身の根元をギュッと締め付けられた鷹司も、歯を食いしばると、「うっ」と呻いて、耐えきれずに、コウの中に飛沫を放出した。
「コウ……」
寝ているコウのなめらかな肌に手のひらを滑らせながら、鷹司が名前を呼ぶと、コウはうっすらと目を開ける。
そろそろ九条が部屋に帰ってくる時間だった。
「もう起きるぞ。大丈夫か?」
「あぁ…もう時間?…」
鷹司に言われて、コウはうーんと伸びをすると、眠そうな目を擦りながら起き上がり、床に落ちていたシャツを拾い上げる。
情事の後の、艶やかな疲れがまだ僅かに残るコウの顔を眺めながら、鷹司は、ふと、今度の春休みに、コウを実家に連れて行ったら、親はどんな顔をするだろうかと考える。
『打倒!ミューズ!』
を人生のスローガンに掲げている、リンベルの会長である鷹司の父親は、一体、どんな反応をするだろうか。
コウを目の前にして、目を白黒させている父親を想像をすると、なんだかおかしさが込み上げてくる。
「コウ」
呼びかけて、振り返ったコウを抱き寄せて、その赤い唇に、鷹司は優しいキスを落とす。
いつか、リンベルとミューズで組んで、新しいお菓子を開発して売るのも良いかもしれない。
リンベルとミューズが協力すれば、世界中で自分たちの商品を売ることだって可能だ。
NYで、パリで、ロンドンで、俺とコウの作ったお菓子が街角に並ぶ。
世界中の子供たちが、キラキラと目を輝かせて、俺たちのお菓子を頬ばる姿は、きっと素敵なものに違いない。
「コウ、愛してる」
うっとりとした表情で胸に寄りかかっている愛しい恋人の耳元で愛の言葉を囁きながら、鷹司はチョコレートの香りが甘く包み込むバラ色の未来を、いつまでも夢に描き続けていた。
『ロミオの純情』
終
この間約束した通り、コウは土曜日になると、勉強道具を鞄に詰め込んで、鷹司の部屋にやってきた。
「じゃあそこに広げて」
鷹司はリビングルームの中央に置かれた硝子のローテーブルを指差すと、お茶を準備するために、部屋に備え付けてある、ミニキッチンの方へと消えた。
コウは言われた通りにガラステーブルの上に教科書やノートを置くと、部屋をぐるりと見渡す。
ったく、何て広さなんだよ!三年生の部屋は!
俺たち一年生の部屋は、狭いワンルームにベッドと勉強机と自分たちの荷物をギュウギュウに押し込められているのに、この部屋は、1LDKだなんて!
まったく、これだけ広いリビングルームに、更にベッドルームが別にあるなんて信じられない!不公平だ!
コウが部屋を見回してため息をつきながら、キョロキョロとしていると、小さなお盆にコーヒーのマグカップを2つと、それから、チョコレートが山盛りになった皿をのせて、鷹司が戻ってきた。
「どうした?コウ」
「別に……」
あまりの環境の違いに、少し憮然とした顔をしていたコウに、鷹司はコーヒーが入ったマグカップを差し出す。
「ベッドルームなら、後で案内してやる」
鷹司がコウの耳元で囁くと、コウは言葉の意味に気がついて、耳まで真っ赤になる。
「ほら、さっさと終わらせるぞ、コウ。昼寝でベッドにいる時間は長い方がいいだろう」
意味深に鷹司が微笑むと、コウは口につけていたコーヒーをむせそうになった。
それから、教科書を開いて、二人は勉強を始める。
コウが問題を一問正解する度に、「ご褒美だ」と言って、鷹司は皿に盛られたチョコレートを一粒、一粒、コウの口の中に放り込んだ。
鷹司が用意していたチョコレートは、洋酒の入った大人のお菓子、ボンボンショコラ。
甘い表面をカリッと噛み砕くと、中からトロリとした高級ブランデーの芳醇な香りが、コウの口の中にふわりと広がる。
ひとつ、また一つ、と食べていくうちに、コウの肌は、ほんのりと茜色に染まり始めた。
「コウ、ほら」
十個目のチョコレートがコウの口の中に押し込まれた時には、既にコウの瞳はお酒のせいで、トロンと眠そうになっていた。
「あっちぃな……」
無意識のうちに、コウは胸元のシャツのボタンを一つ一つゆっくりと外すと、その様子を鷹司はゴクリと喉を鳴らして見つめ続ける。
やがて、熱く上がった体温を放出させるかのように、コウは胸元を大きく広げた。
「コウ、ベッドで休もうか」
我慢出来なくなった鷹司は、コウの体を抱きかかえるようにして、立ち上がる。
「歩けるか?」
「……はい……」
ベッドルームまでコウを連れて来ると、鷹司は自分のベッドにコウを腰掛けさせ、自分も並ぶようにして、隣に座る。
「コウ」
鷹司はコウの肩を抱き寄せると、そっと唇を重ねてキスをする。
「っんん…」
コウの口の中は熱く、甘いチョコレートの香りが満ちていた。
「ああっ」
ちゅるっとコウの舌を吸ってやると、コウは喉をそらせて、気持ち良さそうに喘ぐ。
鷹司はコウと口づけをしながら、一つ一つ、コウのシャツのボタンを外してやると、割れた腹筋に覆われた、引き締まった眩しいコウの体が現れた。
「コウ!」
堪えきれずに、ガバッと覆い被さるようにして、鷹司はコウの体をベッドに押し倒すと、夢中でコウの体から衣服を剥ぎ取り、自分も身につけているもの全てを取り去る。
ベッドの上で、裸の二人は重なると、再びキスを始める。
コウの肌は燃えるように熱く、鷹司は熱にうかされたように、その肌を撫でまわすと、時々、小さな赤い突起に手のひらが、ぶつかった。
淫らな刺激が与えられる度に、コウは呻き声を出して、体を仰け反らせる。
鷹司の右手が下腹部に伸びると、コウのペニスと自分のペニスを重ねて握りしめ、体を上下に動かして、二つの雄筒を擦り合わせる。
その動きに刺激されるように、眠そうにトロンとしていたコウはだんだんと意識を取り戻した。
「…先輩…気持ちいい……」
譫言のように、コウが呟くと
「俺の名前を呼べよ、コウ」
鷹司が耳元で囁く。
「た…鷹司…、俺…イキそう……」
コウのペニスは張りつめて、先端から蜜を零し、ビクンビクンと震えだす。
コウの言葉を聞いた鷹司は、体を起こすと、コウの足の間に入り込み、目の前の立ち上がったペニスの根元を掴むと、ズッポリと口の中に含む。
「っあっ…あっ……」
鷹司の舌がコウの茎を這いまわる度に、コウの体はビクンと跳ねる。
「もう、出…る!出るっ!」
悲鳴のような声をあげると、コウのペニスはいっぱいに膨れ上がり、筒の先端から、ビシャっと大量の白濁液が吹き出した。
鷹司はそれらを、一滴もこぼさずに飲み干す。
はぁっ…はぁっ…
荒く肩で息をしているコウに腕枕をしてやると、鷹司は右手をコウのキュッと締まった蕾へと這わせる。
「っ!」
指を一本差し込むと、そこはギチギチと音を立てるかのように固く閉じていた。
「コウ、力抜いて」
言われた通りにコウは力を抜くが、それでもそこは固いままだった。
指を二本に増やして、広げてみたらどうかと、鷹司は思い立ち、人差し指と中指を同時にグイとコウの中に差し込むと、
「ひいっ……!」
とコウは悲鳴をあげて呻く。
「痛かったか?」
気遣うように鷹司が言うと、「大丈夫……」と、コウは頭を振る。しかし、額には脂汗がうっすらと浮いていた。
「少し我慢をしてくれ、コウ」
鷹司の言葉に、コウは頷く。
早く身も心も鷹司と一つになりたい。その一心で、コウは痛みをぐっとこらえる。
二本の指を鷹司がそっと出し入れすると、最初は痛みで顔を歪ませていたコウも、次第にその口から小さな喘ぎ声が漏れるようになってきた。
指を出し入れさせながら、慎重にコウの表情を伺っていた鷹司は、コウの表情が苦痛から快楽へと変化したのを確信すると、指を一度抜き、自分のペニスを二度、三度こすって硬くする。
しっかりと屹立した自身を持ち上げ、ピタリとコウの後孔に押し当てると、
「鷹司、待って……」
ビクっ、とコウの体に緊張が走る。
「なに?」
「鷹司は経験あるの?」
「いや、初めてだ」
鷹司の返事を聞いたコウは、顔を曇らせて、眉を寄せる。
「なんだ、その不満そうな顔は。俺がヤリチンの方が良かったのか?」
"不満"じゃなくて、"不安" なんだよ! 初めて同士、ちゃんと上手く出来るかどうか不安なんだよ!
コウは体を固くする。
「大丈夫だ。お前は何も心配するな」
鷹司は不安そうなコウの額に自信満々にキスをすると、コウの引き締まった足を大きく開いて、ペニスを蕾に押し当て、グイッと力いっぱいに押し込む。
いきなり挿れられた衝撃で、コウの体に破瓜の強い痛みが走った。
「痛い!!痛い!鷹司、痛てぇよ!」
悲鳴のようなコウの声に、鷹司は慌てて、自身を引き抜く。
「わ、悪い」
「鷹司、もう少し、後ろほぐして」
涙目のコウに言われて、鷹司はあわてて指を再びソコに当てて、マッサージをするようにほぐしてやる。
「どうだ?」
「少し気持ちがいい」
コウの言葉に、鷹司は安心する。
指を二本、出し入れしてもコウが嫌がらなくなったのを見て、鷹司は再び自分のペニスを持ち上げる。
「コウ、リラックスして力抜いて」
「この状況でリラックスなんて出来ない」
コウはふてくされたような表情をする。
「じゃあ、もう一度イカせてやるから」
鷹司はそう言うと、コウに覆い被さり、キスをしながら、コウのペニスを手で扱いてやる。
「あっ…あ……」
ぬるぬるとした零れた蜜で覆われた先端部分を鷹司の掌でこねくりまわされると、ビクンビクンとコウのペニスは脈打ち始める。
「俺の事を想像して抜いた事はあるのか?」
コウの耳元で囁くと、コウは恥ずかしい質問に、顔を真っ赤にして、キッと鷹司を睨みつける。
「俺はお前で抜いたよ、コウ」
鷹司に囁かれると、鷹司の掌の中のコウのペニスは、グンと大きくなる。
「…俺も… 鷹司で抜いた……」
小さな声でコウが答えると、鷹司は嬉しそうにコウの蜜芯をギュウギュウと扱いてやる。
「あっ、ああ…… 鷹司…気持ちいい……」
コウの腕が伸びて、鷹司の首に絡みつく。
じっとりと汗ばんだ二人の肌が擦れる度に、鷹司の体にも快楽の刺激が走り、呻き声を出す。
「コウ… コウ……」
名前を呼ばれると、コウはそれに答えるように、鷹司の体に回した手に力を込める。
「鷹司… ああっ…… またイク……」
コウは鷹司にしがみつくようにして、全身に力を込めると、
「あああっ」
と喘ぎ声を漏らして、ピュッと雄芯から蜜を飛ばし、再び達した。
まだビクンビクンと小刻みに震わせているコウの足を鷹司は急いで持ち上げて広げると、達して緩んだ後ろに、鷹司のしっかりと硬くなったペニスを押し当て、ズブリと先端を埋め込む。
「ひっああっ」
押し開かれる感覚に、コウは緊張した声を出すが、さっきよりも痛みは少なかった。
「コウ、大きく息、吐いて」
鷹司に言われた通りに息を吐き出すと、鷹司のペニスがゆっくりと侵入を始める。
「あっ…ああっ……や…だ…」
ぐいっと内蔵を広げられるような、初めての感覚に、コウは嫌がるように頭を振る。
「コウ」
鷹司は一度、動きを止めると、コウを慰めるようにコウのペニスを数回扱いてやる。
「ううっ…」
コウの表情が和らいだのを見て、鷹司は再び腰を押し進める。
コウのナカは熱くて、ギチギチと締め付けがキツく、鷹司はあっという間に達しそうになる。
「はぁっ… はぁっ……」
半分まで埋め込んだところで、鷹司は動きを止める。
「コウ、お前のココ凄いな」
鷹司は額に浮かんだ滝のような汗を手の甲で拭う。
少しでも気を抜けば、いきなり爆ぜてしまいそうで、一度呼吸を整える。
「鷹司……」
「ん…?」
「キス…して欲しい……」
コウのおねだりに、鷹司は喜んでキスを与える。
「んんっ」
熱い口腔に舌を差し入れて、グミキャンディのように弾力のあるコウの舌を、ちゅるっと勢い良く吸ってやると、「ああっ…」とコウは嬉しそうに喉を鳴らす。
憎らしいほどに端正に整った顔の鷹司とのキスは、コウに何よりもの喜びを与え、コウは、繋がっている部分に無意識に力を込める。
「あっ、ダメだ!コウ!締めるな! …ウッ……」
鷹司は呻くと、勢いよくコウの中に熱い白濁液をぶちまけてしまう。
「ああ、クソ!」
ズルリと、柔らかくなったペニスをコウの体内から引き抜くと、何が起こったのか分からないといった表情で、コウはキョトンとする。
「鷹司?」
「何でもない。大丈夫だ」
鷹司はチュッとコウの額にキスをする。
不思議そうな顔をしていたコウは、鷹司の手の中の萎んだペニスを見て、やっと状況を理解する。
「鷹司、もしかして、もうイっちゃったの?」
クックックッと笑い出したコウの顎を取ると、鷹司はコウの笑いを塞ぐように、唇にキスを与える。
「あまりからかうと、手加減してやらんぞ」
コウとキスをしながら、しぼんだペニスを二、三回ほど扱くと、それはあっという間に硬さを取り戻し、再びコウの蕾に押し当てる。
「え?もう?あっ……」
あまりのリカバリーの早さに、目を丸くしてコウは驚く。
グイッとコウの熱い中に埋め込むと、中で吐き出されたヌルヌルの蜜のせいで、今度はスルスルと、スムーズに押し入れる事が出来た。
「コウ、全部はいったぞ」
鷹司はコウの手を取ると、繋がっている部分をそっと触らせる。
それは想像していた以上に大きくて、コウは息を呑む。
ずっと憧れの人だった鷹司が、俺のナカにいる。
コウは感動で胸を震わせ、大きく感嘆の溜め息をついた。
「コウ、動いていいか?」
鷹司に問われて、コウは小さくコクリと頷く。
コウの表情を確認しながら、鷹司はソロリソロリとゆっくり抽送を開始する。
「ああっ」
ビリビリと引き裂かれるような痛みに、コウは顔を歪める。
鷹司は腰をゆっくり打ちつけながら、脂汗を再び浮かべた顔のコウのペニスをそっと握ってやり、上下に擦ると、痛みで身体を固くしていたコウも気持ち良さそうに喘ぎだす。
コウの体が震える度に、真っ白なシーツが、さざ波を作った。
「んんっ……」
鷹司は目を閉じて汗を流しながら喘いでいるコウの手に、自分の手をそっと重ねると、二人は快楽の大海原へと、共に漕ぎ出してゆく。
淫らに繋がっている箇所は、たとえようも無いほどに熱くて、少し動いただけでも、鷹司とコウの体から、次から次へと汗が噴き出してくる。
抉るように、鷹司が腰を打つと、「っ…く」とコウの体が跳ね、艶やかな喘ぎ声がその唇から漏れた。
コウの体は痛みよりも快楽が徐々に支配し始めていた。
コウのペニスが硬く立ち上がったのをみて、鷹司は嬉しそうに腰を揺らす。
「コウっ……」
名前を呼びながら、堪えきれずに、強く腰をコウの体にぶつけると、コウも鷹司の名前を譫言のように、何度も何度も繰り返し叫ぶ。
鷹司の身体にぞくぞくとした快楽が這い上がってきて、いよいよ達する寸前までに行き着く。
「コウ、俺も…もうイキそうだ……」
コウを見れば、快感と痛みで流した涙で、顔をぐちゃぐちゃにしながら、美しく引き締まった体を捩らせて、夢中で喘いでいた。
エロティックに乱れている恋人の姿に、鷹司の頭は真っ白になる。
「…コウっ!……」
腹の底からの呻き声を出して、愛しい人の名を叫びながら、コウの体内に、熱い飛沫を力強く叩きつけると、鷹司はあっという間に果てた。
「うッ…ッぁぁ……」
同時に、コウの蜜筒から白濁液が、びゅっと飛びだして、コウも体をビクンビクンと痙攣させ、気を失った。
「起きたか?」
気がつくと、コウは鷹司の腕のなかにいた。
鷹司にじっと見つめられていたコウは、ついさっきまで激しく喘いでいた自分の姿を思い出し、恥ずかしさで、ぷいと横を向く。
「顔、見せろよ、コウ」
顎を鷹司の長い指で取られて、顔を無理やりに鷹司の方に向けられる。
「生意気なお前でも、あんな色っぽい表情するんだな」
鷹司に言われて、コウは顔を赤らめる。
「あんま、ジロジロ見るなっ」
鷹司の手をパシンとコウは払いのけると、背を向けて、枕に顔を埋める。
「コウ……」
ギシリ…とベッドが軋んで、鷹司の体が再びコウの体に覆い被さる。
「っちょっ… 鷹司!」
必死でコウは抵抗するが、寝技で鷹司に敵うわけがなく、俯せだった体はあっさりと仰向けにさせられ、その引き締まった体を鷹司の目の前に開かされる。
「寝込みを襲うのも悪いと思って、お前が起きるのをじっと待ってたんだ。偉いだろ?ほら、ここも待ちきれなくなってる」
鷹司はそう言って、コウの手を取ると、自分のペニスへとそっと当てる。
偉いとか偉くないとか、そういう問題じゃない!とコウは思ったが、ガチガチに硬くなった鷹司のペニスを握ると、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
「それに、お前のも大きくなってる」
「え?」
鷹司に言われて、恐る恐る見れば、確かにそこは、持ち主の知らぬ間に、大きく膨らんで勃ちあがっていた。
「え?え? っ…あっ… なんで……?」
実のところ、寝ているコウの魅惑的な体に我慢が出来なくなった鷹司が、コウを起こさないようにそっと握っていたら、硬く勃ってしまったのが真相だが、もちろん、本人に告げるつもりは無かった。
「コウ、もう一回、いいだろう?」
鷹司はコウの耳元で囁くと、コウの返事を待たずに、コウのペニスを握りしめて、扱きはじめる。
「あっ、ああっ……」
知らず知らずに、コウの足はだんだんと開いていき、気がつけば、鷹司を誘うように腰を揺らしていた。
「今、挿れてあげるから」
鷹司は一度、コウの唇にチュッとキスをすると、己の屹立を掴み、コウの蕾にあて、ゆっくりと差し込む。
「っああ」
さっきよりも痛みが減った代わりに、強い快感がコウの全身を駆け巡る。
「あっ…… 気持ちいい… 鷹司、気持ちいいっ」
コウの喘ぎ声に鷹司は嬉しそうに腰を打ちつける。
コウの初体験を痛い思いだけで終わりにさせたくは無かった。
出来る限りの快楽をコウに与えてあげたい。
鷹司は汗を流しながらも、必死でコウの身体を抱き続ける。
「ああっ、イキそう……」
コウが叫ぶと、鷹司はコウの上に覆い被さり、より深く繋がるように、腰をピタリと押し付けてグラインドさせる。
「イケよ、コウ」
鷹司が耳元で囁くと、コウは「ああっ」と甘い声を出し、四肢をピンと張り詰めさせて、やがてビクンビクンと弾けるように身体を震わせると、雄芯から密を零しながら達した。
コウに自身の根元をギュッと締め付けられた鷹司も、歯を食いしばると、「うっ」と呻いて、耐えきれずに、コウの中に飛沫を放出した。
「コウ……」
寝ているコウのなめらかな肌に手のひらを滑らせながら、鷹司が名前を呼ぶと、コウはうっすらと目を開ける。
そろそろ九条が部屋に帰ってくる時間だった。
「もう起きるぞ。大丈夫か?」
「あぁ…もう時間?…」
鷹司に言われて、コウはうーんと伸びをすると、眠そうな目を擦りながら起き上がり、床に落ちていたシャツを拾い上げる。
情事の後の、艶やかな疲れがまだ僅かに残るコウの顔を眺めながら、鷹司は、ふと、今度の春休みに、コウを実家に連れて行ったら、親はどんな顔をするだろうかと考える。
『打倒!ミューズ!』
を人生のスローガンに掲げている、リンベルの会長である鷹司の父親は、一体、どんな反応をするだろうか。
コウを目の前にして、目を白黒させている父親を想像をすると、なんだかおかしさが込み上げてくる。
「コウ」
呼びかけて、振り返ったコウを抱き寄せて、その赤い唇に、鷹司は優しいキスを落とす。
いつか、リンベルとミューズで組んで、新しいお菓子を開発して売るのも良いかもしれない。
リンベルとミューズが協力すれば、世界中で自分たちの商品を売ることだって可能だ。
NYで、パリで、ロンドンで、俺とコウの作ったお菓子が街角に並ぶ。
世界中の子供たちが、キラキラと目を輝かせて、俺たちのお菓子を頬ばる姿は、きっと素敵なものに違いない。
「コウ、愛してる」
うっとりとした表情で胸に寄りかかっている愛しい恋人の耳元で愛の言葉を囁きながら、鷹司はチョコレートの香りが甘く包み込むバラ色の未来を、いつまでも夢に描き続けていた。
『ロミオの純情』
終
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