浮遊霊は山カフェに辿り着く ～アロマとハーブティーで成仏を～

プロローグ

憂鬱な始まり

　遺書

　お父さん、お母さんへ。

これを読んでいる頃には、私はもう、この世にはいないでしょう。
今まで育ててくれて、本当にありがとうございました。
十七年間で、一度も親孝行ができなくて、心から申し訳なく思います。

せっかく生んでくれたのに、出来損ないの娘に育ってしまいました。
こんなことなら、生まれてこなければ良かったですよね。
別に死ぬことは怖くありません。だから、心配しないでください。
今死んでも、何も失うものはありませんし、後悔もありません。

死を決意した理由を記すとしたら、生きる理由がなくなってしまったからです。
学校でいじめられたからとか、何か被害を受けたからとか、そういう理由ではありません。
この先生きていても、何の希望も湧かないだろうし、家族に迷惑をかけるだけです。
生きる気力がなくなったので、潔くこの世から退きます。

最後にお願いです。
加奈子のことを、縛らないであげてください。
加奈子は、私と違って将来有望な人間です。
厳しく育てなくても、必ず成功するでしょう。
だから、少しは自由にさせてあげてください。
これだけは約束してほしいです。
天国から、家族のことを見守っています。


　加奈子へ

ダメなお姉ちゃんでごめんね。
走り幅跳び、頑張って。
加奈子なら、きっと金メダリストになれるよ。
夢のためにも、今を大事に生きてね。
愛してるよ。


ーー先立つ不孝を、お許しください。


　恵那より