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4章 八丁味噌の豆乳味噌スープ 〜挽肉とブロッコリーと香るごま油〜

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 神様って、案外厄介な仕事だと同情するアキ。
 春風も、アキをこの店に導いたといって、活動が終わるわけではない。
 アキのように、また瀬戸際の人間を見つけて、生きるか死ぬかを選択させるのだ。
 猫神様は「うむ」といってネトの言葉に頷き、そして「ま、早く成仏したい神もおる」と言った。

「春風君はどっちなんだろう……」

 疑問が浮かぶと同時に言葉にする。ネトは見当がつかないといったように、お手上げポーズで「さあな」と言った。
 サリもネトもまだ成仏したくはないみたいで、でも猫神様が言うには、早く成仏したい神もいるという。
 神様という存在はいまいち掴めないと、アキは心底思った。

「ワシはちょっと散歩してくる。ずっと店の中にいて疲れたからな。ネト、あとは頼んだぞ」
「どうぞご勝手に」

 猫神様は両手をカリカリとやって、扉を開けた。ちょっとの隙間からぴょこっと外へ飛び出す。
 普通の猫と一緒で、やっぱり窮屈な思いはするものなんだと感心するアキ。
 ネトが「ようやくうるさいのがいなくなった」と笑った。

 すると、ガラガラという音が大きく鳴った。

「あ、あの……やってますか?」

 店の中に、白髪で五十代くらいの男性が立っていた。
 スーツの上にトレンチコート、身長はネトと同じくらいで大きめだ。メガネはレンズが分厚く、目力が強い。だけど物腰は柔らかそうで、優しそうに微笑んでこっちを見ている。

「いらっしゃい。そちらへどうぞ」

 お決まりの、カウンターの端の席。アキから一番離れている席に座るおじさん。
 季節外れのトレンチコートを脱ぎ、おしぼりで手を拭く。トレンチコートは適当にぐるぐると丸められており、隣の椅子の上に置かれていた。

「見ての通り、ここは普通の居酒屋じゃないけど大丈夫か?」
「あ、ああ。存じてるよ」
「……そうか」

 存じている? 最初からこの店の存在を知っているなんて、普通じゃない。ネトもそう思ったはずだけど、何かを察したのか、流してオーダーを取り出した。
 アキは話を聞きたかったけど、その流れに入っていくのはやめておく。

「まずは生でいいか? それとも焼酎とか?」
「あ、ああ……芋の水割りで頼む」
「はいよ」
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