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最終話 相武ミオの春

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「おい、相武! 心配したぞぉ」
「すいません! 雨が酷くて、迷子になってしまって」
「ああ、話は聞いたよ。無事に合流できて良かった」
 何事もなかったように、自由研修は終了した。多少は、生徒たちがざわついたみたいだけど、大きく目立つようなことはなかったみたいだ。
 そんなハプニングもあった中、その日の夜に、優斗に告白された。
 場所は、ホテルのロビー。先生が寝静まった後に、生徒同士は部屋を抜け出して、彼氏や彼女に会いに行く。何故か私も友達に誘われてロビーに行ったのだけど、待っていたのは私目当ての優斗だった。
 それで理解した。優斗は私の友達に頼んで、私をここに呼んだのだなと。
「優斗、どうしたの?」
「いや、さ……ミオ、今日大丈夫だったかなって」
「今日ね、最悪だったよね」
「だよな……」
 この時点で、いつもの優斗じゃないことはわかった。そして、告白されるだろうなという予想もついた。最近の優斗は、どこか余所余所しく、集中力に欠けている。幼馴染だったけど、お互い成長していくにつれて、恋愛対象として意識し出した。私の中にも、優斗の存在が大きくなっていたから。
「俺らってさ……付き合うべきじゃない?」
 それは……あまりにも心に響かない告白だ。同意の求め方が、何かダサい。
 まあ、それもひっくるめて、優斗らしいと思えたし、何よりも優斗と付き合うことができるという感情が先に動いたので、喜んでオッケーをした。
 まだ中学三年生だったけど、一生分の幸せを得た気がするほど、幸せな修学旅行だった。
 私と優斗の日々は、ここから色濃く残っていく……。

 優斗とは、高校も同じところに通った。これは意図的に合わせたわけではなく、偶然同じくらいの偏差値だったためにそこになった。
 別に離れ離れの高校でも良いと思っていたけど、お互い合格だと聞いて、心の底から安堵したのを覚えている。
 高校は特に喧嘩することもなく、順調に愛を育んでいった。幼馴染で仲良く付き合えるなんて、マンガみたいな恋だねとかなんとか言われたけど、私と優斗からしたら普通だった。
 気になり出したのはお互いに中学三年生の時だから、幼馴染のロマンチックな恋なんてものは薄れていた。
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