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王宮 恋する獣人 編
30:脅迫犯
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なんだかんだ腕組み効果はかなり大きいように思えた。
これまでじっと見つめているだけだったメイドや衛兵たちがはっとしたような顔をし、足早に去って行くのだ。
(これも親密度がかなり上がって見えるってこと?)
それも、周りからすれば正視するのが辛くなるほどに……。
(っていうか、私たち、どんだけバカップルに見えてるわけ!?)
それを考えると、とんでもなく恥ずかしい。
そもそも公衆の面前で恋人同士がこれみよがしに腕を組みながら闊歩する。これだけでも周囲からすれば、十分すぎるほど「もういいから」というものではないのだろうか……。
(……まあ、そんな経験ないから、想像だけなんだけど)
誰へともなく言い訳を胸の内でつぶやく。
「今日は天気が良いな。どこかでお茶でもしようか」
「……どうでもいいわ」
「おいおい、恋人同士なのにそんな顔をしたらだめだろ。もっとこの時間を楽しもう」
アスコットは爽やかな笑顔をたたえながら言った。
「……あんたは私をからかうのがそんなに楽しい?」
「まさか。僕はそんな意地の悪い趣味はないよ」
「どの口でそんなことを言うんだよ」
さっきの口づけからかい事件のことがあるから、イングリットとしてはじっとりとした眼差しを向けざるをえなかった。
「イングリット、きみ、案外、根に持つタイプだね」
「あんなことされたら大概の女は私みたいになると思うけど」
「そうか、それなら、覚えておこう」
「そーよ。だいたい、あんた、キャラかわりすぎじゃない?」
「キャラ?」
「最初あったときはもっと、まともだと思ったっていうこと」
「僕は十分、紳士だと思うけどね」
本当にそういう発言のいちいちが冗談なのかどうなのかわかりにくい。
「猫かぶってたわけ?」
「ひどいな。僕はこれでも十分すぎるくらい気をつかってるんだけど」
「……もういい」
どうにもアスコットの毒気のない笑顔を見ていると、怒る気が薄れる。
意地になって怒っているこっちがバカみたいに思えてくるのだ。
と、回廊の向かい側から侍女たちの集団が現れることに気づく。
「――あら、凄くお似合いね」
シェイリーンがおつきのものたちをぞろぞろつれていたのだ。
「殿下……」
アスコットが背を伸ばす。
「殿下、こんにちわ」
「ふふ、二人ともすごくお似合いね。あら、腕まで組んじゃって」
シェイリーンは口元を手で覆いながら、愉しげに言った。
「そこまで二人の仲が進展していたとは思わなかったわ」
「殿下、これは演技ですので。あくまで」
「イングリットなにも殿下にあらためて言わなくてもいいだろう」
「大事なことは何度も言うんだよ」
「……とまあ、イングリットはなぜか、ご機嫌ななめで」
アスコットは聞き分けの無い子どもでも世話をしているとでもいいたげに、肩をすくめる。
シェイリーンがいなければ、足を思いっきり踏みつけてやるところだ。
「イングリット、何か粗相があれ遠慮無くば言ってね」
「はい、今のところは大丈夫……です」
「でも」
「殿下、何か」
ビシッと指を突きつけられる。
「イングリット、あなた、男が抜け切れてないわよ」
「そ、そうでしょうか……?」
いきなりの指摘にドキッとした。
「ちょっと歩いてみて」
「は、はあ」
イングリットとアスコットは顔を見合わせつつも、試しにその場を軽く歩く。
「やっぱり」
シェイリーンはダメダメと首を横に振った。
「大股だし、胸をそんなに張ってたら威嚇してるみたいじゃない。貞淑な女性はそんな風には絶対に歩かないものなんだから」
(貞淑な、女性……)
おそらくイングリットの極北にある存在だ。
「もう一度、やり直しなさい」
合格をあげるまで許さないと言わんばかりに、シェイリーンは腕を組んでイングリットを見つめる。
(やるしかないっか)
指摘された場所を直すため、歩幅を小さくし、胸もなるべく張らないよう気をつける。
「どうして猫背になるの?」
「あ、すいません。つい……胸のところを意識したら……」
「もう一度」
かなりスパルタだ。
「えっと、こうでしょうか」
「足の踏み出しが力みすぎよ。もっとリラックスして。笑顔も忘れないでね」
「は、はい」
しかしどこかを直すとまたさっき指摘された欠点が現れ、まるでモグラたたきの要領でうまくいかない。
シェイリーンもさすがに呆れてしまったらしい。
「もう。そんなんじゃぜんぜんだめ。遠目から見たら、武官がそろって歩いているようにしか見えないわ」
「申しわけございません……」
しかしシェイリーンはさすがに王族。怒るだけではなく、にこりと微笑んだ。
「いいわ。また時間を設けてそのあたりを特訓しましょう。きっとドレスを着ていないことも影響してるのかもしれないし。
これから少しずつでも覚えていけばいいと思うの。だって、そんなに綺麗な髪をしているんですもの。
あなたにはドレスが似合う女性になって欲しいわ。そうしたらその髪はもっと映えるに違いないから」
そう彼女に髪を褒められると、恥ずかしくて口元をもごもご動かしてしまう。
「しょ、精進をつづけます……っ」
「――そういう言葉遣いが、体育会系という感じだけどね」
アスコットは優しく笑う。
「ところで、殿下はこれからどちらへ……?」
「お兄様のところよ。今頃、暇をもてあましているだろうと思ったから。イングリットががんばっているって伝えておくわね」
「はい」
そうしてシェイリーン一行が去って行くのを、イングリットたちは頭を下げて見送った。
「ふぅ……」
「疲れたか? まあ、馴れないことをしたんだからしょうがない」
「歩幅に、胸……そんなに変?」
自分ではぜんぜん分からなかった。マクヴェスからも指摘されなかったのは、男性だからだろうか。
「あまり意識しないほうがいい。さっきなんて、手と足が同時に出ていたからな。あれでは女性らしさ以前のものだから」
「え、嘘……あー……殿下たちの前で、恥ずかしい……っ」
アスコットが吹き出す。
「まったく、きみは本当に表情がよく変わるな。見ていて飽きない」
「それ、褒めてる?」
「もちろん」
カップルになるのも大変だなとしみじみ思ってしまう。
■■
それから王宮内をたっぷり散策し、日が暮れる。
いつもはマクヴェスの部屋の前までアスコットがエスコートしてくれるのだが、今回は、シェイリーンから急ぎの使者が現れたので、彼とは一足早く別れていた。
イングリットが迷う彼をいかせたのだった。
アスコットと歩き回ったおかげか、何とか道は覚えられていたから一人で大丈夫だった。
夕暮れのなか、イングリットは回廊を進んでいく。
(足幅は小さく、胸は張り切りすぎず……)
口の中でつぶやきながら、実戦してみるが。
「とぅああっ!?」
淑女はほど遠い上擦り声と共に、足がもつれて転げそうになってしまうのを間一髪のところで踏みとどまる。
(やっぱり馴れないことはよそう……)
と、廊下に長い影が差していることに気づいて、思わず足を止める。
柱から侍女姿の女性が姿を現す。
偶然というのではなく、イングリッを待ち受けていたのは明らかだった。
「何か?」
できるかぎり、いつものトーンで話しかける。
「あなたって相当、鈍いのね。頭も身体も」
イングリットは怪訝に眉をひそめた。
「さっきの歩き方も男そのものだったものね。シェイリーン殿下はああ仰っていたけれど、あなたのような人がここに出入りしていること事態、ありえないわ」
「あなた、もしかしてシェイリーン殿下付の……?」
「ええ……。あなたは、本当にどうしようもない。私はしっかりあなたに、警告をしてあげたのにそれに一切、耳を傾けなかったわよね?」
警告――ずいぶんと押しつけがましい言い方だ。
「そう、きみが脅迫犯だったのか」
イングリットはそう強調して言いながら、周囲に目をやるが人の気配はなかった。
「無駄よ。今の時間帯は誰もが忙しく立ち働いてるの。助けは来ないわ」
つまりそういう時間帯を狙ったのか。
女性はあらためてイングリットの姿をまじまじと眺めると、鼻で笑う。
「あなたみたいなオトコオンナがアスコット様の恋人? そんなの認めないわっ!」
急に女性は感情を爆発させる。
「どうして私ではなく、あんたみたいなメスがッ……許せない……!」
言うや、女性はナイフを取り出した。
ペーパーナイフよりも一回りは大ぶりで、刺されればそなりの痛みを覚悟しなければならないであろう代物だ。
「……落ち着いて」
「大丈夫、こんなところで刺したりしない。ただ、私につきあってもらうッ」
女性の目は完全に瞳孔が開いてしまっている。
「……わかった」
イングリットはあっさりとと両手を挙げた。
「ふん、殿下の護衛をつとめているか抵抗するとは思ったけど……あんがい、見かけだおしなのね」
「…………」
もちろん心からあきらめたわけではない。
今回の脅迫をくわだてたやつが目の前の侍女ひとりかどうか、確かめる必要があると思ったのだ。
もし脅迫犯がこの女性一人であれば、あとで隙を見て腕をねじあげるなりなんなりして制圧すればいい。
「さあ、私にしばらくつきあってもらうわ。オトコオンナさん」
女性がイングリットの背後に回ると、背中にナイフをつきつけ、進むよう命じた。
これまでじっと見つめているだけだったメイドや衛兵たちがはっとしたような顔をし、足早に去って行くのだ。
(これも親密度がかなり上がって見えるってこと?)
それも、周りからすれば正視するのが辛くなるほどに……。
(っていうか、私たち、どんだけバカップルに見えてるわけ!?)
それを考えると、とんでもなく恥ずかしい。
そもそも公衆の面前で恋人同士がこれみよがしに腕を組みながら闊歩する。これだけでも周囲からすれば、十分すぎるほど「もういいから」というものではないのだろうか……。
(……まあ、そんな経験ないから、想像だけなんだけど)
誰へともなく言い訳を胸の内でつぶやく。
「今日は天気が良いな。どこかでお茶でもしようか」
「……どうでもいいわ」
「おいおい、恋人同士なのにそんな顔をしたらだめだろ。もっとこの時間を楽しもう」
アスコットは爽やかな笑顔をたたえながら言った。
「……あんたは私をからかうのがそんなに楽しい?」
「まさか。僕はそんな意地の悪い趣味はないよ」
「どの口でそんなことを言うんだよ」
さっきの口づけからかい事件のことがあるから、イングリットとしてはじっとりとした眼差しを向けざるをえなかった。
「イングリット、きみ、案外、根に持つタイプだね」
「あんなことされたら大概の女は私みたいになると思うけど」
「そうか、それなら、覚えておこう」
「そーよ。だいたい、あんた、キャラかわりすぎじゃない?」
「キャラ?」
「最初あったときはもっと、まともだと思ったっていうこと」
「僕は十分、紳士だと思うけどね」
本当にそういう発言のいちいちが冗談なのかどうなのかわかりにくい。
「猫かぶってたわけ?」
「ひどいな。僕はこれでも十分すぎるくらい気をつかってるんだけど」
「……もういい」
どうにもアスコットの毒気のない笑顔を見ていると、怒る気が薄れる。
意地になって怒っているこっちがバカみたいに思えてくるのだ。
と、回廊の向かい側から侍女たちの集団が現れることに気づく。
「――あら、凄くお似合いね」
シェイリーンがおつきのものたちをぞろぞろつれていたのだ。
「殿下……」
アスコットが背を伸ばす。
「殿下、こんにちわ」
「ふふ、二人ともすごくお似合いね。あら、腕まで組んじゃって」
シェイリーンは口元を手で覆いながら、愉しげに言った。
「そこまで二人の仲が進展していたとは思わなかったわ」
「殿下、これは演技ですので。あくまで」
「イングリットなにも殿下にあらためて言わなくてもいいだろう」
「大事なことは何度も言うんだよ」
「……とまあ、イングリットはなぜか、ご機嫌ななめで」
アスコットは聞き分けの無い子どもでも世話をしているとでもいいたげに、肩をすくめる。
シェイリーンがいなければ、足を思いっきり踏みつけてやるところだ。
「イングリット、何か粗相があれ遠慮無くば言ってね」
「はい、今のところは大丈夫……です」
「でも」
「殿下、何か」
ビシッと指を突きつけられる。
「イングリット、あなた、男が抜け切れてないわよ」
「そ、そうでしょうか……?」
いきなりの指摘にドキッとした。
「ちょっと歩いてみて」
「は、はあ」
イングリットとアスコットは顔を見合わせつつも、試しにその場を軽く歩く。
「やっぱり」
シェイリーンはダメダメと首を横に振った。
「大股だし、胸をそんなに張ってたら威嚇してるみたいじゃない。貞淑な女性はそんな風には絶対に歩かないものなんだから」
(貞淑な、女性……)
おそらくイングリットの極北にある存在だ。
「もう一度、やり直しなさい」
合格をあげるまで許さないと言わんばかりに、シェイリーンは腕を組んでイングリットを見つめる。
(やるしかないっか)
指摘された場所を直すため、歩幅を小さくし、胸もなるべく張らないよう気をつける。
「どうして猫背になるの?」
「あ、すいません。つい……胸のところを意識したら……」
「もう一度」
かなりスパルタだ。
「えっと、こうでしょうか」
「足の踏み出しが力みすぎよ。もっとリラックスして。笑顔も忘れないでね」
「は、はい」
しかしどこかを直すとまたさっき指摘された欠点が現れ、まるでモグラたたきの要領でうまくいかない。
シェイリーンもさすがに呆れてしまったらしい。
「もう。そんなんじゃぜんぜんだめ。遠目から見たら、武官がそろって歩いているようにしか見えないわ」
「申しわけございません……」
しかしシェイリーンはさすがに王族。怒るだけではなく、にこりと微笑んだ。
「いいわ。また時間を設けてそのあたりを特訓しましょう。きっとドレスを着ていないことも影響してるのかもしれないし。
これから少しずつでも覚えていけばいいと思うの。だって、そんなに綺麗な髪をしているんですもの。
あなたにはドレスが似合う女性になって欲しいわ。そうしたらその髪はもっと映えるに違いないから」
そう彼女に髪を褒められると、恥ずかしくて口元をもごもご動かしてしまう。
「しょ、精進をつづけます……っ」
「――そういう言葉遣いが、体育会系という感じだけどね」
アスコットは優しく笑う。
「ところで、殿下はこれからどちらへ……?」
「お兄様のところよ。今頃、暇をもてあましているだろうと思ったから。イングリットががんばっているって伝えておくわね」
「はい」
そうしてシェイリーン一行が去って行くのを、イングリットたちは頭を下げて見送った。
「ふぅ……」
「疲れたか? まあ、馴れないことをしたんだからしょうがない」
「歩幅に、胸……そんなに変?」
自分ではぜんぜん分からなかった。マクヴェスからも指摘されなかったのは、男性だからだろうか。
「あまり意識しないほうがいい。さっきなんて、手と足が同時に出ていたからな。あれでは女性らしさ以前のものだから」
「え、嘘……あー……殿下たちの前で、恥ずかしい……っ」
アスコットが吹き出す。
「まったく、きみは本当に表情がよく変わるな。見ていて飽きない」
「それ、褒めてる?」
「もちろん」
カップルになるのも大変だなとしみじみ思ってしまう。
■■
それから王宮内をたっぷり散策し、日が暮れる。
いつもはマクヴェスの部屋の前までアスコットがエスコートしてくれるのだが、今回は、シェイリーンから急ぎの使者が現れたので、彼とは一足早く別れていた。
イングリットが迷う彼をいかせたのだった。
アスコットと歩き回ったおかげか、何とか道は覚えられていたから一人で大丈夫だった。
夕暮れのなか、イングリットは回廊を進んでいく。
(足幅は小さく、胸は張り切りすぎず……)
口の中でつぶやきながら、実戦してみるが。
「とぅああっ!?」
淑女はほど遠い上擦り声と共に、足がもつれて転げそうになってしまうのを間一髪のところで踏みとどまる。
(やっぱり馴れないことはよそう……)
と、廊下に長い影が差していることに気づいて、思わず足を止める。
柱から侍女姿の女性が姿を現す。
偶然というのではなく、イングリッを待ち受けていたのは明らかだった。
「何か?」
できるかぎり、いつものトーンで話しかける。
「あなたって相当、鈍いのね。頭も身体も」
イングリットは怪訝に眉をひそめた。
「さっきの歩き方も男そのものだったものね。シェイリーン殿下はああ仰っていたけれど、あなたのような人がここに出入りしていること事態、ありえないわ」
「あなた、もしかしてシェイリーン殿下付の……?」
「ええ……。あなたは、本当にどうしようもない。私はしっかりあなたに、警告をしてあげたのにそれに一切、耳を傾けなかったわよね?」
警告――ずいぶんと押しつけがましい言い方だ。
「そう、きみが脅迫犯だったのか」
イングリットはそう強調して言いながら、周囲に目をやるが人の気配はなかった。
「無駄よ。今の時間帯は誰もが忙しく立ち働いてるの。助けは来ないわ」
つまりそういう時間帯を狙ったのか。
女性はあらためてイングリットの姿をまじまじと眺めると、鼻で笑う。
「あなたみたいなオトコオンナがアスコット様の恋人? そんなの認めないわっ!」
急に女性は感情を爆発させる。
「どうして私ではなく、あんたみたいなメスがッ……許せない……!」
言うや、女性はナイフを取り出した。
ペーパーナイフよりも一回りは大ぶりで、刺されればそなりの痛みを覚悟しなければならないであろう代物だ。
「……落ち着いて」
「大丈夫、こんなところで刺したりしない。ただ、私につきあってもらうッ」
女性の目は完全に瞳孔が開いてしまっている。
「……わかった」
イングリットはあっさりとと両手を挙げた。
「ふん、殿下の護衛をつとめているか抵抗するとは思ったけど……あんがい、見かけだおしなのね」
「…………」
もちろん心からあきらめたわけではない。
今回の脅迫をくわだてたやつが目の前の侍女ひとりかどうか、確かめる必要があると思ったのだ。
もし脅迫犯がこの女性一人であれば、あとで隙を見て腕をねじあげるなりなんなりして制圧すればいい。
「さあ、私にしばらくつきあってもらうわ。オトコオンナさん」
女性がイングリットの背後に回ると、背中にナイフをつきつけ、進むよう命じた。
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