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そして放課後。
景は高鳴る胸を押さえながら、涼介との待ち合わせである校舎裏へ向かった。
涼介の方が先にいた。景を見つけると、笑顔で手を振る。
「ごめん。おまたせ」
「行こうぜ」
そうして肩を並べて校門へ向かったのだが、少し人混みが出来ていた。
その中には教師の姿もあった。
と、野次馬の中の誰かが「おい……」と涼介に気づいた。
ひそひそ声が広がれば、野次馬達がさっと両脇に下がった。
その先には黒塗りの車が止まり、どうやら教師たちはその車の持ち主と何か話をしていたらしい。
生活指導担当の教師がびくびくとした風に話していた。
「ですから、このようなことをされますと……」
生活指導と対面している男は、固太りの印象のある男だった。白いものの混じった黒髪を短くし、鋭い目つきをしている。
「何故ですか。息子に会いに来ただけなんですよ。私は保護者なんですよ」
「それは重々承知しておりますが、他の生徒の……」
「私も次の予定があるんです。だから間を取って、放送で呼び出して欲しいと……」
その中年男性は二人のガタイの大きな男を従えていた。
男たちのまとう雰囲気は一発で堅気ではないと分かるものだった。
と、ガタイの良い男が、生活指導と話している中年の男に耳打ちをする。
中年が顔を上げる。
瞬間、涼介が舌打ちをした。
「涼介君。ど、どうしたの」
涼介は忌々しそうなに顔を曇らせる。
「……オヤジだ」
「よお。涼介。少し時間が空いて来たんだ。メシでもどうだ?」
「こっちは予定があるんだよ」
「予定?」
涼介の父親の目が、景を認める。
「お前、その子、友達か。だったら、二人一緒で来なさい。何でも食べさせてやるぞ。寿司が良いか?」
だが涼介は無視を決め込み、「走るぞ」と小声で言うや、景の手をその厚みのあるがっしりとした手で掴むや、走り出した。
「涼介君!?」
景は、涼介の父親を振り返りながら、懸命に涼介にペースを合わせた。
※
十分くらい全力疾走しただろうか。
心臓が悲鳴を上げた景は、情けなく声を絞り出した。
そこはチェーン店などが並んだ大通りから何本か脇道を入った場所だった。
「りょ、涼介、君……っ」
「あ、悪い」
涼介は足を止めてくれた。
景は全身で呼吸をするように肩を上下させる。
涼介は顔色一つ変えていない。だが、涼介の表情は浮かない。
「大丈夫か?」
景はうまくしゃべれなかった。
「待ってろ」
涼介は立ち去ると、しばらくしてミネラルウォーターを持って来た。
「あ、ありがと」ぐっと飲んだ。
しばらくじっとしていると、どうにかこうにか話せるまでにはなれた。
「付き合わせて悪かった」
「……ううん、それは良いんだけど。でも、良かったの。お父さんのこと」
「良いんだよ。あんな奴。いきなりべたべたしてきやがって、気持ち悪ぃ」
どうやら色々と複雑なことがあるらしい。
「まだあいつらがうろついているかも知れないからな……」
「良いよ。お弁当のお礼ならいつだって」
「いや。校門でのこともあるからな。……こっからうちが近いから」
「え、あ、うん」
そうして涼介に連れられていったのは、駅前にある高級マンションだった。
そもそも玄関ロビーに入る前に、タッチパネルがあるのだ。
(すごいマンションだ)
涼介はタッチパネルに鍵を差して開け、ロビーに入る。
床は大理石で間接照明で飾られ、観賞植物がおかれて、まるでホテルのようだった。
(涼介君ってお金持ちだったんだ)
涼介の後に続いてエレベーターに乗る。
回数表示を見る限り、15階建てらしい。涼介の家は最上階のようだった。
鍵を開け、景を招き入れてくれる。
「入ってくれ」
「お邪魔します」
リビングにはソファーセットがあったが、そのソファーには女性ものの下着類や脱ぎ散らかした衣類が散乱していた。景は目を背けた。
「あ、悪いっ!」
涼介が彼らしからぬ慌てた声を出す。
下着や衣類を涼介が慌てて抱える。
「う、うん……大丈夫」
(もしかして彼女、なのかな)
涼介ほどの格好の良い人ならもてて、当然だ。なぜか景は胸の奥が妙に切なくなった。
そんな自分自身の反応に動揺した。下心があってお弁当を作った訳ではないのに……。
「ふぁ、気持ち良かった」
リビングで一人立ち尽くしていると、声が聞こえた。
それは女性だった。それもバスタオル一枚巻いたっきりで、肩に掛かるか、かからないか程度のセミロングの髪はしっとりと濡れていた。
「ご、ごめんなさい!」
「え、あ、誰?」
「おい! 何やっていやがんだっ!」
涼介だった。
「ちょっと、涼介。私の服と下着はー? ここにおいておいたんだけど」
「放り捨ててたの間違いだろ。部屋だよ。ったく」
「ねえねえ、そんなことよりこの子、あんたの友達? マジー? こんな可愛い子が友達なの。なんで?」
「早く着替えてこいよ、みっともないっ!」
「ちょっとぉー」
涼介に追い立てられ、女性は部屋の奥へ消えていった。
涼介は舌打ちをした。
「ったく」
「あの、涼介君。僕、帰ろうか?」
「何でだよ」
「でも彼女さんに悪いんじゃ……」
「彼女? ちげえよ。俺の親だよ」
「え、お母さんだったの?」
凄く美人で驚いてしまった。
「勘弁してくれ。あんな女が彼女とか……。そもそもそんなこと、あいつの目の前で言うんじゃねえぞ。調子に……」
「聞こえてるわよー。んふふ。あんたの友達にしちゃあ、良い子じゃない」
ささっと着替えて来たらしい。
太腿の半ばくらいのスカートにブラウス、ジャケットという出で立ちで、とても良い香りの香水をまとっていた。
「私、涼介の母親の真由美。あなた、お名前は?」
「進藤景、です。初めまして」
「あらあら礼儀正しいわね。良い所のお子さんなんのねえ」
「い、いえ、そんなことは」
「涼介。あんた、こんな可愛い子を拐かしてくるなんて腕を上げたじゃないっ」
「馬鹿なこと言ってねえで、さっさと仕事行け」
「あー、はいはい。じゃあ景君。なんのお構いも出来なくて申し訳ないわね。また今度ゆっくりお話ししましょうね。――涼介。この子とご飯食べるんなら、ケチケチすんじゃないわよ。お金はいつものところにあるから」
「分かったよ」
「じゃあね」
何だかんだ涼介は、母親を玄関まで見送って戻って来た。
「……悪かったな」
「何だか、すっごい若い人、なんだね」
「まあ仕事柄な。立て続けに変なもんみせちまって悪かったな。……っと、結構時間経っちまったな。家の方は連絡とかしなくで良いのか?」
「うん。うちは親が働いてるから」
「そうか。なら何か食おうぜ。何が良い? 外で食うのも良いし、とっても良いし」
色々と相談して、結果、ピザを取って食べた。
そうしてテレビを見たり、涼介の持っている漫画を読んだしていると、あっという間に十時になった。
「あ、もうこんな時間……。ごめんね。こんな遅くまで」
「帰るか? 泊まっていっても良いぜ。客用の布団もあるし」
他意は無いと分かっていても、どきりとしてしまう。
「ううん。明日も学校だし」
「そうか。じゃあ送って行くよ」
「大丈夫だよ」
「俺が付き合わせたんだ。帰りに何かあったら寝覚めが悪いだろ」
景も、涼介と離れがたさを感じ、「じゃあ、うん……」とうなずいた。
(こんな時間まで友達と一緒にいたなんて初めてだ)
肩を並べている涼介を盗み見る。外套に照らし出されたその精悍な顔立ちは、まるで外国の血が混ざっているように彫りが深く、陰影に彩られていた。
「どうした?」
「う、ううん……何でも……ないっ」
涼介はきょとんとした。
「あのね……すっごく、その……涼介君と遊べて、すごく楽しかったよ。今日。僕、友達とこんなに夜遅くまで一緒にいて楽しかったことなんてなかったから」
自分が勢いにかられて余計なことまで言ってしまったと、はっと我に返って、目を伏せた。
涼介は思わずといった風に噴き出す。
「ご、ごめんね。変な事いって……」
「ちげえよ。俺も今、同じこと思ってたんだ。いや、でも恥ずかしいなとか思ってさ……お前が言ってくれて、その、嬉しかったぜ」
涼介は少しはにかんだ。彼の新しい表情が見られて嬉しかった。
そうしてマンションの近くで「ここで大丈夫。ありがとう」と言った。
涼介はキョロキョロして辺りを見回す。
「どれがお前ん家?」
「あ、えっと、ここからもうちょっと行った所……だけど」
「じゃあそこまで。ここまで来たんだからさ」
そう言われてしまえば、もう拒めない。
渋々、古ぼけたマンションの前まできた。涼介の住んでいる豪華なマンションと比べれば雲泥の差。今にも崩れてしまいそうにすら見えてしまう。
「こんな古いマンションで……ごめん」
「なーに、謝ってんだよ。お前んちって、両親とも働いて夜遅いのか?」
「あ、うん。うちは母親だけだけど」
「じゃあ、今度はお前んちな。でさ、夕飯つくってくれよ」
「うん。そんなことだったらいつだって……」
「言ったな! 俺、ハンバー食いてえなあ」
「分かった」
「じゃあ、また明日、学校でな!」
「じゃあね」
景は、涼介の大きな背中が見えなくなるまで見送った。
涼介を見送ったあとの心はほんの少しの寂しさと、それよりもずっと大きな温もりを覚えた。
景は高鳴る胸を押さえながら、涼介との待ち合わせである校舎裏へ向かった。
涼介の方が先にいた。景を見つけると、笑顔で手を振る。
「ごめん。おまたせ」
「行こうぜ」
そうして肩を並べて校門へ向かったのだが、少し人混みが出来ていた。
その中には教師の姿もあった。
と、野次馬の中の誰かが「おい……」と涼介に気づいた。
ひそひそ声が広がれば、野次馬達がさっと両脇に下がった。
その先には黒塗りの車が止まり、どうやら教師たちはその車の持ち主と何か話をしていたらしい。
生活指導担当の教師がびくびくとした風に話していた。
「ですから、このようなことをされますと……」
生活指導と対面している男は、固太りの印象のある男だった。白いものの混じった黒髪を短くし、鋭い目つきをしている。
「何故ですか。息子に会いに来ただけなんですよ。私は保護者なんですよ」
「それは重々承知しておりますが、他の生徒の……」
「私も次の予定があるんです。だから間を取って、放送で呼び出して欲しいと……」
その中年男性は二人のガタイの大きな男を従えていた。
男たちのまとう雰囲気は一発で堅気ではないと分かるものだった。
と、ガタイの良い男が、生活指導と話している中年の男に耳打ちをする。
中年が顔を上げる。
瞬間、涼介が舌打ちをした。
「涼介君。ど、どうしたの」
涼介は忌々しそうなに顔を曇らせる。
「……オヤジだ」
「よお。涼介。少し時間が空いて来たんだ。メシでもどうだ?」
「こっちは予定があるんだよ」
「予定?」
涼介の父親の目が、景を認める。
「お前、その子、友達か。だったら、二人一緒で来なさい。何でも食べさせてやるぞ。寿司が良いか?」
だが涼介は無視を決め込み、「走るぞ」と小声で言うや、景の手をその厚みのあるがっしりとした手で掴むや、走り出した。
「涼介君!?」
景は、涼介の父親を振り返りながら、懸命に涼介にペースを合わせた。
※
十分くらい全力疾走しただろうか。
心臓が悲鳴を上げた景は、情けなく声を絞り出した。
そこはチェーン店などが並んだ大通りから何本か脇道を入った場所だった。
「りょ、涼介、君……っ」
「あ、悪い」
涼介は足を止めてくれた。
景は全身で呼吸をするように肩を上下させる。
涼介は顔色一つ変えていない。だが、涼介の表情は浮かない。
「大丈夫か?」
景はうまくしゃべれなかった。
「待ってろ」
涼介は立ち去ると、しばらくしてミネラルウォーターを持って来た。
「あ、ありがと」ぐっと飲んだ。
しばらくじっとしていると、どうにかこうにか話せるまでにはなれた。
「付き合わせて悪かった」
「……ううん、それは良いんだけど。でも、良かったの。お父さんのこと」
「良いんだよ。あんな奴。いきなりべたべたしてきやがって、気持ち悪ぃ」
どうやら色々と複雑なことがあるらしい。
「まだあいつらがうろついているかも知れないからな……」
「良いよ。お弁当のお礼ならいつだって」
「いや。校門でのこともあるからな。……こっからうちが近いから」
「え、あ、うん」
そうして涼介に連れられていったのは、駅前にある高級マンションだった。
そもそも玄関ロビーに入る前に、タッチパネルがあるのだ。
(すごいマンションだ)
涼介はタッチパネルに鍵を差して開け、ロビーに入る。
床は大理石で間接照明で飾られ、観賞植物がおかれて、まるでホテルのようだった。
(涼介君ってお金持ちだったんだ)
涼介の後に続いてエレベーターに乗る。
回数表示を見る限り、15階建てらしい。涼介の家は最上階のようだった。
鍵を開け、景を招き入れてくれる。
「入ってくれ」
「お邪魔します」
リビングにはソファーセットがあったが、そのソファーには女性ものの下着類や脱ぎ散らかした衣類が散乱していた。景は目を背けた。
「あ、悪いっ!」
涼介が彼らしからぬ慌てた声を出す。
下着や衣類を涼介が慌てて抱える。
「う、うん……大丈夫」
(もしかして彼女、なのかな)
涼介ほどの格好の良い人ならもてて、当然だ。なぜか景は胸の奥が妙に切なくなった。
そんな自分自身の反応に動揺した。下心があってお弁当を作った訳ではないのに……。
「ふぁ、気持ち良かった」
リビングで一人立ち尽くしていると、声が聞こえた。
それは女性だった。それもバスタオル一枚巻いたっきりで、肩に掛かるか、かからないか程度のセミロングの髪はしっとりと濡れていた。
「ご、ごめんなさい!」
「え、あ、誰?」
「おい! 何やっていやがんだっ!」
涼介だった。
「ちょっと、涼介。私の服と下着はー? ここにおいておいたんだけど」
「放り捨ててたの間違いだろ。部屋だよ。ったく」
「ねえねえ、そんなことよりこの子、あんたの友達? マジー? こんな可愛い子が友達なの。なんで?」
「早く着替えてこいよ、みっともないっ!」
「ちょっとぉー」
涼介に追い立てられ、女性は部屋の奥へ消えていった。
涼介は舌打ちをした。
「ったく」
「あの、涼介君。僕、帰ろうか?」
「何でだよ」
「でも彼女さんに悪いんじゃ……」
「彼女? ちげえよ。俺の親だよ」
「え、お母さんだったの?」
凄く美人で驚いてしまった。
「勘弁してくれ。あんな女が彼女とか……。そもそもそんなこと、あいつの目の前で言うんじゃねえぞ。調子に……」
「聞こえてるわよー。んふふ。あんたの友達にしちゃあ、良い子じゃない」
ささっと着替えて来たらしい。
太腿の半ばくらいのスカートにブラウス、ジャケットという出で立ちで、とても良い香りの香水をまとっていた。
「私、涼介の母親の真由美。あなた、お名前は?」
「進藤景、です。初めまして」
「あらあら礼儀正しいわね。良い所のお子さんなんのねえ」
「い、いえ、そんなことは」
「涼介。あんた、こんな可愛い子を拐かしてくるなんて腕を上げたじゃないっ」
「馬鹿なこと言ってねえで、さっさと仕事行け」
「あー、はいはい。じゃあ景君。なんのお構いも出来なくて申し訳ないわね。また今度ゆっくりお話ししましょうね。――涼介。この子とご飯食べるんなら、ケチケチすんじゃないわよ。お金はいつものところにあるから」
「分かったよ」
「じゃあね」
何だかんだ涼介は、母親を玄関まで見送って戻って来た。
「……悪かったな」
「何だか、すっごい若い人、なんだね」
「まあ仕事柄な。立て続けに変なもんみせちまって悪かったな。……っと、結構時間経っちまったな。家の方は連絡とかしなくで良いのか?」
「うん。うちは親が働いてるから」
「そうか。なら何か食おうぜ。何が良い? 外で食うのも良いし、とっても良いし」
色々と相談して、結果、ピザを取って食べた。
そうしてテレビを見たり、涼介の持っている漫画を読んだしていると、あっという間に十時になった。
「あ、もうこんな時間……。ごめんね。こんな遅くまで」
「帰るか? 泊まっていっても良いぜ。客用の布団もあるし」
他意は無いと分かっていても、どきりとしてしまう。
「ううん。明日も学校だし」
「そうか。じゃあ送って行くよ」
「大丈夫だよ」
「俺が付き合わせたんだ。帰りに何かあったら寝覚めが悪いだろ」
景も、涼介と離れがたさを感じ、「じゃあ、うん……」とうなずいた。
(こんな時間まで友達と一緒にいたなんて初めてだ)
肩を並べている涼介を盗み見る。外套に照らし出されたその精悍な顔立ちは、まるで外国の血が混ざっているように彫りが深く、陰影に彩られていた。
「どうした?」
「う、ううん……何でも……ないっ」
涼介はきょとんとした。
「あのね……すっごく、その……涼介君と遊べて、すごく楽しかったよ。今日。僕、友達とこんなに夜遅くまで一緒にいて楽しかったことなんてなかったから」
自分が勢いにかられて余計なことまで言ってしまったと、はっと我に返って、目を伏せた。
涼介は思わずといった風に噴き出す。
「ご、ごめんね。変な事いって……」
「ちげえよ。俺も今、同じこと思ってたんだ。いや、でも恥ずかしいなとか思ってさ……お前が言ってくれて、その、嬉しかったぜ」
涼介は少しはにかんだ。彼の新しい表情が見られて嬉しかった。
そうしてマンションの近くで「ここで大丈夫。ありがとう」と言った。
涼介はキョロキョロして辺りを見回す。
「どれがお前ん家?」
「あ、えっと、ここからもうちょっと行った所……だけど」
「じゃあそこまで。ここまで来たんだからさ」
そう言われてしまえば、もう拒めない。
渋々、古ぼけたマンションの前まできた。涼介の住んでいる豪華なマンションと比べれば雲泥の差。今にも崩れてしまいそうにすら見えてしまう。
「こんな古いマンションで……ごめん」
「なーに、謝ってんだよ。お前んちって、両親とも働いて夜遅いのか?」
「あ、うん。うちは母親だけだけど」
「じゃあ、今度はお前んちな。でさ、夕飯つくってくれよ」
「うん。そんなことだったらいつだって……」
「言ったな! 俺、ハンバー食いてえなあ」
「分かった」
「じゃあ、また明日、学校でな!」
「じゃあね」
景は、涼介の大きな背中が見えなくなるまで見送った。
涼介を見送ったあとの心はほんの少しの寂しさと、それよりもずっと大きな温もりを覚えた。
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