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25 宿屋★
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魔塔から迎えが来るまで少し時間がかかるらしく、そばの町に宿を取り、そこで待つことになった。
アリッサは母親と子どもたちの使っている部屋を訪ね、食糧や下着、服などの当面必要になりそうなものを置いた。
「もし他にも必要なものがあれば、遠慮なく言ってくださいね」
「何から何まで、本当にいろいろとありがとうございます」
「お姉ちゃん、ありがとぉ!」
「ありがとぉー!」
「何かあったら呼んでください」
子どもたちに手を振り、アリッサは部屋を出た。
――こうしてあの家族を救えたのも、シュヴァルツ様が私を信じてくださったおかげ。
アリッサはシュヴァルツの部屋を訪ねる。
シュヴァルツは書き物から顔を上げた。
「子どもたちは?」
「すっかり落ち着いたみたいで、元気です」
「お前がいて助かった。野郎だけだとどうしても子どもの対応に困るからな」
「お母さんもいらっしゃいましたから」
「いや、あの母親も精神的に一杯一杯だったからな。お前がいてくれたおかげで、ギリギリ冷静さを保てていたんだ」
「今日はありがとうございます。私の根拠のない話を信じてくださって……」
「取り越し苦労ならそれでいい。命が失われたら、どうしようもできないからな。それより、お前がいてくれて良かった。失われるべきじゃない命がなくなっていたかもしれないからな」
シュヴァルツは優しい目をしている。それだけ安堵しているのだろう。
その時、ドクンッと身体の中が強く脈打つ。
――しょ、衝動……。
「……シュヴァルツ様」
体が火照り、落ち着きが失われる。
「衝動か」
「だ、大丈夫です。薬を持ってきているので、それで何とかします。シュヴァルツ様も今日は魔獣退治などあってお疲れでしょうから……」
右腕を掴まれて抱き寄せられ、唇を塞がれた。
「んん……!」
熱い舌が唇を割り、激しく口の中を引っかき回されてしまう。縋り付くように彼の服を掴んだ両手に、力がこもる。
唾液がもたらされる。アリッサは混じりに涙を滲ませながら、甘露を飲み込んだ。
舌を甘噛みされ、歯茎と舌の境目をくすぐられ、ニチャニチャと音が立つほど、互いの舌を絡めあう。痛いくらい舌先を吸われると、あまりの甘美に気が遠くなる。
シュヴァルツからの息もつけぬほどの荒々しい口づけで、淫らな熱は一時的に弱まるが、それでもチリチリと劣情を炙り続けていた。
唇をほどくと、アリッサもシュヴァルツも肩で息をしていた。
「他人の世話を焼くのもいいが、お前ももっと自分のことを考えろ」
「か、考えています。だから……」
「俺のことは考えなくていい」
「……汗を流させてください」
「ちょうどいい。入ろうと思って風呂なら準備ができてる」
シュヴァルツの手で、服を一枚一枚脱がされる。
自分でできると言っても聞いてはくれず、あっという間に一糸まとわぬ姿になる。
シュヴァルツもまた服を脱ぎ捨てる。互いに裸になると、シュヴァルツはアリッサの首と膝裏に手をやって抱き上げて風呂場へ運ぶ。
唇を再び塞がれる。
シュヴァルツに口づけをされると頭がぼうっとして、何もかもどうでもいいようなそんな錯覚に陥ってしまう。
軽い酩酊気分に陥りながら浴槽に浸かる。
アリッサはシュヴァルツの股の間に座る格好になった。
休む間もなく注ぎ込まれる唾液に溺れてしまいそうだ。
口内をまさぐられながら、右胸を優しく揉みしだかれる。
指を食い込まされ、尖った乳首を指の腹で圧迫され、弾かれ、蕩けさせられた。
「あ……はぁ……ぅぅん……」
鼻にかかった声が、浴室に響く。
胸をまさぐられれば、うっすらとだが指の痕が柔肌に残る。
シュヴァルツの左腕が両足の間に滑り込み、指先が秘芽を優しく触れる。
「はぁん」
「……ここはすでに昂奮しているな」
シュヴァルツが囁きながら、耳の輪郭をなぞるように舐める。
耳殻を甘噛み、優しく吸われてしまえば、ゾワゾワと性感をともなう震えが体を走り抜けた。
彼はすでに、アリッサの体の弱い部分を知り尽くしている。
どこに触れれば、アリッサを身悶えさせられるのか。
どうすれば嗚咽をあげさせられるのか。
そしてどのタイミングなら、強めに胸を刺激しても、アリッサが痛みを訴えないか。
――恥ずかしいのに……嬉しい……。
シュヴァルツがそれだけ、アリッサのことを見てくれているからに他ならない。
痛いくらい張った胸の突起を指のお腹で潰されつつ、左手が秘裂をなぞる。
表面をくすぐるように刺激されているだけなのに、溺れそうなくらい悦びが溢れた。
「あぁ……ぁあん……はぁん……」
アリッサは柳眉をたわめ、頬を染め、シュヴァルツの指に身悶えずにはいられない。
中指が熱く潤んだ秘処へ指が挿入される。
「あぁぁぁっ」
秘めた場所が広げられ、蕩けた粘膜を引っかかれてしまう。
彼の太く節くれ立った指が敏感になっている部位を引っ掻くように動かされる。
そこは恥ずかしいくらい濡れている。
「もう一本増やすぞ」
「は……い……っ」
ずぶっと中指に続いて人差し指が柔壁を掻き分けるようにして入れられた。
アリッサは緩やかに上半身を仰け反らせる。
シュヴァルツは「ドロドロだな」と淡々と囁き、首筋を伝う汗を舐めとる。
今のアリッサの体は引き絞られた弓のように全身が張り詰め、過敏になっていた。
ざらざらした舌の表面でしゃぶられるだけで、総毛立ってしまう。
指がゆっくりと前後に動かされる。
「ああっ……はあぁっ……ぁあっ……」
息が弾み、涙目になる。
体が恥ずかしく反応し、彼の指をぎゅっと締め付けた。
しかしシュヴァルツは構わず指を動かし続け、乳首を指の腹で強く圧迫すると同時に、お腹側の柔壁を削るように擦った。
「あああああ!」
糸引くような声を上げると同時に、アリッサは果ててしまう。
全身のあちこちを引き攣らせ、がっくりとうな垂れた。
荒い息を繰り返し、涙の雫を涙の端に盛り上がらせる。
「辛いか?」
「……は、はい……頭がクラクラして……」
アリッサは、シュヴァルツの筋肉で盛り上がった雄の体へ身を預ける。
――あ、お尻に……。
お尻の表面が火傷してしまいそうなほどの存在感を放つ牡杭。
そこはもうはちきれんばかりになっていた。
意図せずお尻の表面でそこを圧迫してしまうと、シュヴァルツが呻きをこぼす。
「入れるぞ」
指が抜かれる。そんな些細な刺激に、アリッサの発情した体が敏感に反応してしまう。
鼓動が高鳴り、全身が期待と悦びで熱くなる。
一つになる瞬間、シュヴァルツの身も心も自分のものになっているのだと、束の間の錯覚であると理解しつつも、思うことができるのだ。
「私は、どうしたらよろしいですか?」
「そのままでいい」
シュヴァルツの両手が、膝裏にかかり、浮力を利用して持ち上げる。
そして昂ぶりの切っ先と、ひくひくと反応する蜜口が重なった。
「んんんっ」
「ゆっくり入れるぞ」
それはシュヴァルツからしたら気遣いなのかもしれないが、色欲の呪紋によって強制的に蕩けさせられている身の上からしたらもどかしい。
しかしその一方、アリッサは少しでも長く、この甘い空気を味わいたかった。
普段、シュヴァルツに甘えることはできないし、甘えられるような立場でもない。
でもこうして体を重ねる時であれば、多少、彼に甘え、求めることも許されるような気がしていた。
槍の穂先がズッと埋まれば、自重もあいまって飲み込まされていく。
この格好ではどれだけ強い刺激を受けても、腰を逃がせない。
そのまま太く逞しいものを根元まで受け入れる。
「んん……イク……」
そして最奥を突かれると目の前が真っ白に染まり、絶頂してしまう。
しかしどれだけ甘美な頂点を極めさせられても昂ぶった体は、強い魔力のこもった体液を受け止めなければ治まらない。
「……う、動かないのですか?」
荒い呼吸を繰り返すシュヴァルツの筋肉が小刻みに引き攣るのを、背中ごしに感じる。
「達したばかりだ。少し間をおいたほうがいいだろう」
「……大丈夫ですから、動いてください。シュヴァルツ様もおつらいでしょう?」
「俺のことはいい。お前のためにしてることだ」
これを素面で言ってもらえたらどれだけいいだろう。
義務でも責務でもなく、シュヴァルツが望んでしてくれていることだったら。
切なさに胸が締め付けられながら、望みすぎてはいけないと戒める。
「……口づけをお願いしても?」
「ああ」
唇を奪われ、舌が這わされる。お互いの舌先が出会い、交わった。
鼻にかかった声を漏らし、「動いても大丈夫です……」と求める。
シュヴァルツがゆっくりとした調子で、腰を動かす。
凪いでいた湯面がゆっくりと波打った。
何度彼を受け入れても、馴れるということがない。
はじめての時とそう変わらず、その重厚感のある存在で満たされるのと、鮮やかな快感が背筋を這い上がるのだ。
「……ぐ……すごい締め付けだ……」
「ごめんなさい……あ、ああっ……」
「いや、いいんだ、これで。恥ずかしがる必要もない……ぐ……」
蜜口が締まり、彼のものを強く咥え込んだ。
腰が動き、奧を執拗に突く。
寄り添うように密着する蜜に濡れた内壁を擦り上げるように、大きく腰が遣われた。
何度も何度も執拗に奧を穿たれた。
まるでシュヴァルツが自らの存在を、強く焼き付けようとするかのよう。
――シュヴァルツ様のが、ビクビクと脈打って……。
それがアリッサをますます発情させるのだ。
「シュヴァルツ様っ」
アリッサは自ら、シュヴァルツの唇を奪い、ぎこちなく舌を動かし、彼の口内を優しく探る。うまく飲みきれなかった唾液が口の端からこぼれ、顎を伝う。
シュヴァルツの普段以上に顰められた顔が、ますます引き攣る。
腰のうねりが大きく、律動が激しくなって、アリッサの全身を征服するような勢いで突き上げを繰り返す。
口づけも生々しい唾液の音をまじえ、交わす。
唾液をもたらすと、シュヴァルツが一瞬驚きに目を見開きながら飲んでくれる。
彼の大きく張った喉仏が小刻みに動く。
そしてお返しというかのように唾液がもたらされる。
唇も、そして蜜口もどちらも彼の香りと肉体で満たされる。
「アリッサッ」
シュヴァルツの声が切ない響きを伴う。
両足をすくいあげていた両腕が離れると、ウェストを抱きしめるように腕が回されたかと思えば、中腰でさっきよりもさらに激しく腰を遣った。
「あああああ! シュヴァルツ様ぁ、は、激しい!」
「辛いか? 苦しいのか?」
濡れた肌に彼の熱い息吹が絡みつく。
「いいえ、気持ちいいんです……」
その時、深い場所まで遠慮なく侵略している彼のものが太くなり、硬度が増す。
お尻と彼の筋肉の隆起した腰が打ち付けあい、奧を捏ねられ、蜜路を掻き混ぜられる。
「ああああっ! シュヴァルツ様っ!」
まるで肉食獣に貪られる獲物になったような心地だったが、もたらされるのは気が触れそうになるほど。
「出すぞ、アリッサ!」
「はい、はぃっ!」
シュヴァルツが全身を震わせた直後、お腹めがけ熱い飛沫を注ぎ込まれた。
「ああああ……い、く……んんん!」
糸を引くような声を、浴室いっぱいに反響させ、アリッサはビクビクと全身を痙攣させながら果てた。
蕩けた体の中で、シュヴァルツのものが力強く脈打ちながら、射精を繰り返す。
お腹が熱く燃え上がった。
何もかも投げ出してしまえるような絶頂だ。
お互いの上擦った息遣いと、今にも壊れそうなくらいバクバクと拍動する鼓動を感じあった。
「治まったか?」
とても声を出す余裕はなく、アリッサは小さく頷く。
彼の指が、呪紋を撫でる。
「……だいぶ、薄くなっているな」
「そうですね……」
「もうじき、完全に解呪できるだろう」
満たされていた気持ちがみるみる萎んでいく。
温かなはずのお湯なのに体が芯から冷えてしまう。
シュヴァルツとの時間がもうすぐ終わる。
もうすぐ、彼から気遣われるということがなくなる、
副団長と、いち団員の関係になるのだ。
――この色欲の呪いがもっと続いて欲しいと思うなんて……。
しかしアリッサにとっては、それが今の偽らざる気持ちだった。
アリッサは母親と子どもたちの使っている部屋を訪ね、食糧や下着、服などの当面必要になりそうなものを置いた。
「もし他にも必要なものがあれば、遠慮なく言ってくださいね」
「何から何まで、本当にいろいろとありがとうございます」
「お姉ちゃん、ありがとぉ!」
「ありがとぉー!」
「何かあったら呼んでください」
子どもたちに手を振り、アリッサは部屋を出た。
――こうしてあの家族を救えたのも、シュヴァルツ様が私を信じてくださったおかげ。
アリッサはシュヴァルツの部屋を訪ねる。
シュヴァルツは書き物から顔を上げた。
「子どもたちは?」
「すっかり落ち着いたみたいで、元気です」
「お前がいて助かった。野郎だけだとどうしても子どもの対応に困るからな」
「お母さんもいらっしゃいましたから」
「いや、あの母親も精神的に一杯一杯だったからな。お前がいてくれたおかげで、ギリギリ冷静さを保てていたんだ」
「今日はありがとうございます。私の根拠のない話を信じてくださって……」
「取り越し苦労ならそれでいい。命が失われたら、どうしようもできないからな。それより、お前がいてくれて良かった。失われるべきじゃない命がなくなっていたかもしれないからな」
シュヴァルツは優しい目をしている。それだけ安堵しているのだろう。
その時、ドクンッと身体の中が強く脈打つ。
――しょ、衝動……。
「……シュヴァルツ様」
体が火照り、落ち着きが失われる。
「衝動か」
「だ、大丈夫です。薬を持ってきているので、それで何とかします。シュヴァルツ様も今日は魔獣退治などあってお疲れでしょうから……」
右腕を掴まれて抱き寄せられ、唇を塞がれた。
「んん……!」
熱い舌が唇を割り、激しく口の中を引っかき回されてしまう。縋り付くように彼の服を掴んだ両手に、力がこもる。
唾液がもたらされる。アリッサは混じりに涙を滲ませながら、甘露を飲み込んだ。
舌を甘噛みされ、歯茎と舌の境目をくすぐられ、ニチャニチャと音が立つほど、互いの舌を絡めあう。痛いくらい舌先を吸われると、あまりの甘美に気が遠くなる。
シュヴァルツからの息もつけぬほどの荒々しい口づけで、淫らな熱は一時的に弱まるが、それでもチリチリと劣情を炙り続けていた。
唇をほどくと、アリッサもシュヴァルツも肩で息をしていた。
「他人の世話を焼くのもいいが、お前ももっと自分のことを考えろ」
「か、考えています。だから……」
「俺のことは考えなくていい」
「……汗を流させてください」
「ちょうどいい。入ろうと思って風呂なら準備ができてる」
シュヴァルツの手で、服を一枚一枚脱がされる。
自分でできると言っても聞いてはくれず、あっという間に一糸まとわぬ姿になる。
シュヴァルツもまた服を脱ぎ捨てる。互いに裸になると、シュヴァルツはアリッサの首と膝裏に手をやって抱き上げて風呂場へ運ぶ。
唇を再び塞がれる。
シュヴァルツに口づけをされると頭がぼうっとして、何もかもどうでもいいようなそんな錯覚に陥ってしまう。
軽い酩酊気分に陥りながら浴槽に浸かる。
アリッサはシュヴァルツの股の間に座る格好になった。
休む間もなく注ぎ込まれる唾液に溺れてしまいそうだ。
口内をまさぐられながら、右胸を優しく揉みしだかれる。
指を食い込まされ、尖った乳首を指の腹で圧迫され、弾かれ、蕩けさせられた。
「あ……はぁ……ぅぅん……」
鼻にかかった声が、浴室に響く。
胸をまさぐられれば、うっすらとだが指の痕が柔肌に残る。
シュヴァルツの左腕が両足の間に滑り込み、指先が秘芽を優しく触れる。
「はぁん」
「……ここはすでに昂奮しているな」
シュヴァルツが囁きながら、耳の輪郭をなぞるように舐める。
耳殻を甘噛み、優しく吸われてしまえば、ゾワゾワと性感をともなう震えが体を走り抜けた。
彼はすでに、アリッサの体の弱い部分を知り尽くしている。
どこに触れれば、アリッサを身悶えさせられるのか。
どうすれば嗚咽をあげさせられるのか。
そしてどのタイミングなら、強めに胸を刺激しても、アリッサが痛みを訴えないか。
――恥ずかしいのに……嬉しい……。
シュヴァルツがそれだけ、アリッサのことを見てくれているからに他ならない。
痛いくらい張った胸の突起を指のお腹で潰されつつ、左手が秘裂をなぞる。
表面をくすぐるように刺激されているだけなのに、溺れそうなくらい悦びが溢れた。
「あぁ……ぁあん……はぁん……」
アリッサは柳眉をたわめ、頬を染め、シュヴァルツの指に身悶えずにはいられない。
中指が熱く潤んだ秘処へ指が挿入される。
「あぁぁぁっ」
秘めた場所が広げられ、蕩けた粘膜を引っかかれてしまう。
彼の太く節くれ立った指が敏感になっている部位を引っ掻くように動かされる。
そこは恥ずかしいくらい濡れている。
「もう一本増やすぞ」
「は……い……っ」
ずぶっと中指に続いて人差し指が柔壁を掻き分けるようにして入れられた。
アリッサは緩やかに上半身を仰け反らせる。
シュヴァルツは「ドロドロだな」と淡々と囁き、首筋を伝う汗を舐めとる。
今のアリッサの体は引き絞られた弓のように全身が張り詰め、過敏になっていた。
ざらざらした舌の表面でしゃぶられるだけで、総毛立ってしまう。
指がゆっくりと前後に動かされる。
「ああっ……はあぁっ……ぁあっ……」
息が弾み、涙目になる。
体が恥ずかしく反応し、彼の指をぎゅっと締め付けた。
しかしシュヴァルツは構わず指を動かし続け、乳首を指の腹で強く圧迫すると同時に、お腹側の柔壁を削るように擦った。
「あああああ!」
糸引くような声を上げると同時に、アリッサは果ててしまう。
全身のあちこちを引き攣らせ、がっくりとうな垂れた。
荒い息を繰り返し、涙の雫を涙の端に盛り上がらせる。
「辛いか?」
「……は、はい……頭がクラクラして……」
アリッサは、シュヴァルツの筋肉で盛り上がった雄の体へ身を預ける。
――あ、お尻に……。
お尻の表面が火傷してしまいそうなほどの存在感を放つ牡杭。
そこはもうはちきれんばかりになっていた。
意図せずお尻の表面でそこを圧迫してしまうと、シュヴァルツが呻きをこぼす。
「入れるぞ」
指が抜かれる。そんな些細な刺激に、アリッサの発情した体が敏感に反応してしまう。
鼓動が高鳴り、全身が期待と悦びで熱くなる。
一つになる瞬間、シュヴァルツの身も心も自分のものになっているのだと、束の間の錯覚であると理解しつつも、思うことができるのだ。
「私は、どうしたらよろしいですか?」
「そのままでいい」
シュヴァルツの両手が、膝裏にかかり、浮力を利用して持ち上げる。
そして昂ぶりの切っ先と、ひくひくと反応する蜜口が重なった。
「んんんっ」
「ゆっくり入れるぞ」
それはシュヴァルツからしたら気遣いなのかもしれないが、色欲の呪紋によって強制的に蕩けさせられている身の上からしたらもどかしい。
しかしその一方、アリッサは少しでも長く、この甘い空気を味わいたかった。
普段、シュヴァルツに甘えることはできないし、甘えられるような立場でもない。
でもこうして体を重ねる時であれば、多少、彼に甘え、求めることも許されるような気がしていた。
槍の穂先がズッと埋まれば、自重もあいまって飲み込まされていく。
この格好ではどれだけ強い刺激を受けても、腰を逃がせない。
そのまま太く逞しいものを根元まで受け入れる。
「んん……イク……」
そして最奥を突かれると目の前が真っ白に染まり、絶頂してしまう。
しかしどれだけ甘美な頂点を極めさせられても昂ぶった体は、強い魔力のこもった体液を受け止めなければ治まらない。
「……う、動かないのですか?」
荒い呼吸を繰り返すシュヴァルツの筋肉が小刻みに引き攣るのを、背中ごしに感じる。
「達したばかりだ。少し間をおいたほうがいいだろう」
「……大丈夫ですから、動いてください。シュヴァルツ様もおつらいでしょう?」
「俺のことはいい。お前のためにしてることだ」
これを素面で言ってもらえたらどれだけいいだろう。
義務でも責務でもなく、シュヴァルツが望んでしてくれていることだったら。
切なさに胸が締め付けられながら、望みすぎてはいけないと戒める。
「……口づけをお願いしても?」
「ああ」
唇を奪われ、舌が這わされる。お互いの舌先が出会い、交わった。
鼻にかかった声を漏らし、「動いても大丈夫です……」と求める。
シュヴァルツがゆっくりとした調子で、腰を動かす。
凪いでいた湯面がゆっくりと波打った。
何度彼を受け入れても、馴れるということがない。
はじめての時とそう変わらず、その重厚感のある存在で満たされるのと、鮮やかな快感が背筋を這い上がるのだ。
「……ぐ……すごい締め付けだ……」
「ごめんなさい……あ、ああっ……」
「いや、いいんだ、これで。恥ずかしがる必要もない……ぐ……」
蜜口が締まり、彼のものを強く咥え込んだ。
腰が動き、奧を執拗に突く。
寄り添うように密着する蜜に濡れた内壁を擦り上げるように、大きく腰が遣われた。
何度も何度も執拗に奧を穿たれた。
まるでシュヴァルツが自らの存在を、強く焼き付けようとするかのよう。
――シュヴァルツ様のが、ビクビクと脈打って……。
それがアリッサをますます発情させるのだ。
「シュヴァルツ様っ」
アリッサは自ら、シュヴァルツの唇を奪い、ぎこちなく舌を動かし、彼の口内を優しく探る。うまく飲みきれなかった唾液が口の端からこぼれ、顎を伝う。
シュヴァルツの普段以上に顰められた顔が、ますます引き攣る。
腰のうねりが大きく、律動が激しくなって、アリッサの全身を征服するような勢いで突き上げを繰り返す。
口づけも生々しい唾液の音をまじえ、交わす。
唾液をもたらすと、シュヴァルツが一瞬驚きに目を見開きながら飲んでくれる。
彼の大きく張った喉仏が小刻みに動く。
そしてお返しというかのように唾液がもたらされる。
唇も、そして蜜口もどちらも彼の香りと肉体で満たされる。
「アリッサッ」
シュヴァルツの声が切ない響きを伴う。
両足をすくいあげていた両腕が離れると、ウェストを抱きしめるように腕が回されたかと思えば、中腰でさっきよりもさらに激しく腰を遣った。
「あああああ! シュヴァルツ様ぁ、は、激しい!」
「辛いか? 苦しいのか?」
濡れた肌に彼の熱い息吹が絡みつく。
「いいえ、気持ちいいんです……」
その時、深い場所まで遠慮なく侵略している彼のものが太くなり、硬度が増す。
お尻と彼の筋肉の隆起した腰が打ち付けあい、奧を捏ねられ、蜜路を掻き混ぜられる。
「ああああっ! シュヴァルツ様っ!」
まるで肉食獣に貪られる獲物になったような心地だったが、もたらされるのは気が触れそうになるほど。
「出すぞ、アリッサ!」
「はい、はぃっ!」
シュヴァルツが全身を震わせた直後、お腹めがけ熱い飛沫を注ぎ込まれた。
「ああああ……い、く……んんん!」
糸を引くような声を、浴室いっぱいに反響させ、アリッサはビクビクと全身を痙攣させながら果てた。
蕩けた体の中で、シュヴァルツのものが力強く脈打ちながら、射精を繰り返す。
お腹が熱く燃え上がった。
何もかも投げ出してしまえるような絶頂だ。
お互いの上擦った息遣いと、今にも壊れそうなくらいバクバクと拍動する鼓動を感じあった。
「治まったか?」
とても声を出す余裕はなく、アリッサは小さく頷く。
彼の指が、呪紋を撫でる。
「……だいぶ、薄くなっているな」
「そうですね……」
「もうじき、完全に解呪できるだろう」
満たされていた気持ちがみるみる萎んでいく。
温かなはずのお湯なのに体が芯から冷えてしまう。
シュヴァルツとの時間がもうすぐ終わる。
もうすぐ、彼から気遣われるということがなくなる、
副団長と、いち団員の関係になるのだ。
――この色欲の呪いがもっと続いて欲しいと思うなんて……。
しかしアリッサにとっては、それが今の偽らざる気持ちだった。
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クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
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