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【結】1on1
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なんだかんだ少年と出会って数ヶ月が過ぎて気づいたんだけど。
「少年が可愛い。」
「通報した。」
「個人の趣味に口を出す気はありませんが
節度を守ってくださいね。」
今日は研究室に来ている。
二人とも酷いな?
「節度守ってるよーー!
それに少年は先日2mに届きましたとさ。
ボクと話そうとするせいでめちゃくちゃ猫背になったけど。
つまり少年とは犯罪ではありませーん。」
「チッ、惚気かよ。
くそリア充滅びろ。」
「恋愛、恋人、結婚、、うぐぅぅぅぅ。」
いや、彼女も教授も闇抱えすぎでしょ。
ちょっと引くわ。
っていうか、
「いや、付き合ってないけど。」
「「はぁぁああぁ??????」」
「何言ってんの、何言ってんの、何言ってんの???」
「ん?ボクと少年は付き合ってないよ。
あれ、じゃあなんなんだろ、、。
友達でもないし、、?」
「いやいやまてまて。」
「?」
「え、まじで言ってる?」
「うん。」
「じゃあ【ワンッワンッ】も【ピーー】も【ドキューン】もシてないの!?」
「君はボクらをなんだと思ってるの?」
「うわぁ、少年かわいそすぎる。」
「君たち、私もいることを忘れていないかい?
内容がエグすぎてもう女子大生怖い。」
「え、教授もしかして童t、、「それ以上はいけない!!!」
「やめなさいよアンタ、教授泣いちゃったじゃない。」
「やっぱり童貞なのかぁ、、、。」
「裏の言葉が表に出過ぎよ。」
まぁ童貞教授のことはどうでもいいや。
「そういや、少年に真剣になったらって話だったな。
そもそも真剣になるってどういう感覚?」
「アンタそれ、レポート書いてるゼミ生に
絶対聞くんじゃないわよ。」
「真剣って言うのはですね。」
お、教授が教えてくれるのか。
若干涙目だけどまぁ気にしない。
「絶対に、何があっても
手放したくないもののことですよ。」
「手放したくない、、?」
「ものに対して真剣になると言うことは、
そのものを大切に慈しみ、片時も離さず
共にあるほど真剣というものです。」
「片時も離さず、共に、、。」
「えぇ、絶対に無くさない、
なくてはならないものなんです。」
「なくてはならない。」
「教授にはあるわけ?」
「もちろん、片時も離さず持っていますし、
慈しんで大切に大切にしていますよ。
見てください!この可愛いカリフラワー!!!
このふわっとした部分ともこもこのフォルム!
そしてツルツルとした茎。
この世で最も愛おしい!!!
そして食べると美味しい!!!」
あー、なんか。
「教授が結婚できない理由が分かったわね、、。」
「うん。」
常に鞄にカリフラワー入れてる人とは結婚したくないよな。
、、、ボクも嫌だ。
「でも教授の言葉はとても参考になった。」
「あら、よかったじゃない。」
「しばらく少年と会うの辞める。」
「は?」
よく考えたらこの数ヶ月、ずっと一緒にいて
休日もよく会ってたし迎えにきてくれたり
迎えに行ったりして
ほぼ毎日少年と会ってるもん。
これじゃ、
いつ少年に真剣になったか気づかないじゃないか。
「うん、そうと決まれば
来なくていいって連絡して帰ろう。」
「いやちょっとアンタ、」
「善は急げだ!帰る!!」
「人の話聞きなさいよ!!
このおば、、くぅぅ、天才!!」
「じゃーまたね。」
「扉閉めやがった!
、、、、彼との在り方について考えた時点で
それは真剣なんだって
なんで気づかないのかしら。」
∞
少年の携帯に連絡を入れて、電源を落とす。
少年と連絡取り合う前は
常に携帯の電源入れてなかったんだよね。
誰からも連絡来ないしいいかって。
とりあえず帰ろう。
家への道をてこてこ歩いていると
この数ヶ月で見慣れた巨体がヌッと現れた。
「あにゃ、早速会っちゃった。」
「なんですかこれ。」
そんな見せつけるように
携帯を突き出さなくても、、。
うわ、、
少年、めちゃくちゃ無表情だな?
いや、いつもだけど。
今日はなんか、負のオーラが漂ってる。
あれ、ボク何かしたっけ、、?
「少年と距離をおこうと思って。」
んぁ、、?な、なんか、少年の空気が真っ黒に、、。
心なしか怒ってるような、、?
いつもは感情豊かな無表情(???)なのに
今日は感情がストンと落ちたような顔だ。
「ど、どしたの、少年、、?」
「、、、ったんですか。」
「ん、なんて?」
「俺のこと、嫌になったんですか。」
嫌いに、、はなってない。
けど好きでもない、と思う。
うーん、なんだろう。
ただ誰といるよりも心地いいし楽しい。
それこそいつでも縁を切れる友人とか、
ボク自身の家族なんかよりずっと大切だ。
わからない。
ボクが彼に真剣であるかどうかがわからない。
「許さない。」
「え?」
「俺から離れるなんて絶対許さない。」
少年、、あれ、これやばいか?
嫌な予感が、、。
「いっ、、、」
「俺が、どれほどあなたを、、。」
「少年、?」
強引に掴まれた腕よりも、
少年の苦しそうな顔を見てなぜか胸が痛くなった。
「でもごめんなさい。
俺はあなたを諦めてあげられない。」
苦しそうに悔しそうに話す少年。
なんというか、何度も羽を動かしているのに
全く飛べない文鳥のようだ。
、、、、、ごめん、例えが下手くそだよね。
自覚はある。
ただ、いま言いたいのは、
少年がすごく可愛いってこと。
本人はきっと苦しくて辛い気持ちなのだろうけど
不覚にも少年の可愛さにきゅんときた。
おかしい、ボクの嫌な予感はすごく良く当たるはずなのに。
「あなたが俺から離れようとするなら、
俺はあなたを捕らえるしかなくなってしまいます。
たとえ嫌われても泣かれても叫ばれても、
決して側をはなれないように、、。」
少し、喜んでいる自分がいる。
何にも真剣になれなかった。
執着なんてできなかった。
そんなボクが、求められている。
「少年、ボクと1on1しようか。」
「え、、、、、。」
少年の顔が明らかに絶望に変わった。
「それは、つまり、、。」
「ひとつ、ボクと勝負をしよう。」
ドキドキと高揚する気持ちを悟らせないように、
どこかで聞いたような誘い文句を紡ぐ。
少年の顔つきが険しいものに変わり、
やがて犬歯を剥き出しにしてグルグルと唸る。
「対価を示してくれるんですよね?」
くくっ、、ちゃっかりしてるな。
「1on1は君の望みだった筈だけどね。
いいよ。
勝負は何かを賭けて初めて成立するものだから。」
あ、楽しんでるのバレちゃったかな?
いつもの無表情が信じられないくらい
感情を露わにしてる。
向けられたのは怒りと悲しみだ。
「さて少年、君はボクに何を望む?」
心拍数の上がる胸に思わず口角が上がる。
あぁ、そうそうこれだ。
「あなたの、全てを、、。」
「うん、いいね。」
面白くなってきた。
∞
地面に叩きつけられるボールの音。
互いに弾む息。
コートの中は激しい熱気で包まれていた。
少女がフェイントをかけて少年の横を抜ける。
気づいた少年は一歩引いて後を追う。
低姿勢の少女がバネのように飛べば
背後から、手を伸ばした巨体にボールを叩き落とされた。
転がるボールを間髪入れずに拾い上げるのは少女。
しかし着地と同時に少女を追った少年は
彼女の前に立ちはだかった。
少女は面白そうに目を細めて少年を抜こうとする。
少年は巨体に似合わぬ素早い動きで
少女の動きについて行ってみせた。
何時間経ったかすらわからない。
ただ二人はコートを縦横無尽に駆け回り
互角の戦いを見せていた。
想像以上に動ける少年に少女は少し驚いている。
ついて来れるとは思っていなかったのだ。
少女は手にしたボールを高く上に投げる。
思わぬ行動に少年が動きを止めた一瞬、
彼女は少年の肩に足を乗せて、跳んだ。
難なくボールを掴んで少年の向きと反対側に着地すると
流れるようなフォームでボールを放る。
綺麗な放物線を描いたボールはストンと
ゴールをくぐり、地面に落ちた。
少年は目を細めて少女の姿を見る。
真上に伸ばされた腕と繊細な指、
軽く反らされた背中と上を向いた時に浮き出る喉。
そしてあの、なんてことない顔でいて
ゴールを見つめる瞳の隠しきれない快感の熱。
ロングシュートを決める少女の姿は、、
「えっろ、、、、。」
少年が呟かずにはいられないほど扇情的だった。
少女がゴールを決めたと同時に少年が膝から崩れ落ちる。
コートの中央で仰向けになった少年は
息も絶え絶えに目を閉じた。
「きっつ。」
勝者は地面に背を預けない。
勝敗は決した。
「お疲れ様、すごくいい勝負だった。」
少女はぐぃっ、と口角を上げて少年を上から覗き込む。
漏れる吐息と汗ばんだ額、張り付いたシャツが視界に入り
少年は拷問かと思った。
これからきっと少女は自身の望みを示す。
もう二度と、少女と会えないかもしれない。
少女の額から滴る汗が少年の頬に落ちた。
少年は自身の汗と混じったソレを拭って舐める。
「なっ、、、、!」
「これくらい許してくださいよ。」
少年が力なく笑った姿に少女は言う。
「ねぇ少年、ボクの望みはね。」
∞
ボクはいつだって、何にも真剣になれなかった。
それはきっと、なんでもできてしまう代償だと思ってた。
家族とか友人とかにも全然真剣になれなかった。
相手は真剣に接してくれるから、
余計に申し訳なくて距離を置いてたんだって、
今ならわかる。
誰が悪いわけじゃないけど
息苦しかったんだと思う。
「何してるんですか?」
「ん、過去に想いを馳せていたんだよ。」
「へぇ、、ちなみにそれは男ですか?」
「ふふふ。」
少年は今日も可愛い。
「男なんですか、?」
少年が詰め寄るようにこちらに体をグイグイと押し付けてくる。
もちろんいつもの無表情に負のオーラを纏って。
ってかシンプルに体がデカイな。
鼻先が触れるほどの距離まで少年が近づいてきたので
軽く上を向いてその唇を奪った。
「はは、内緒。」
悪戯っぽく微笑んで啄むように唇を合わせれば
ぐいっと顎を掴まれてしっかり目線を合わせられる。
「誰。」
少年は力強く睨んで離してくれそうにない。
「女は秘密が多い方がいいんだよ?
ゼミの子が言ってた。」
誘うように少年の首に手を回せば
腰に手が回り、さらに少年と密着する形になった。
「なら、他の男の記憶は全部俺が消せばいいか?」
いつもよりも低く、色っぽい声で言い放ってから
答えも待たずに荒々しく唇に噛みつかれた。
ボクは、今日も少年と共にいる。
この関係を望んだのは果たしてボクか、少年か。
ロングシュートを決めたのはどちらかは
ご想像にお任せしますよ。
「少年が可愛い。」
「通報した。」
「個人の趣味に口を出す気はありませんが
節度を守ってくださいね。」
今日は研究室に来ている。
二人とも酷いな?
「節度守ってるよーー!
それに少年は先日2mに届きましたとさ。
ボクと話そうとするせいでめちゃくちゃ猫背になったけど。
つまり少年とは犯罪ではありませーん。」
「チッ、惚気かよ。
くそリア充滅びろ。」
「恋愛、恋人、結婚、、うぐぅぅぅぅ。」
いや、彼女も教授も闇抱えすぎでしょ。
ちょっと引くわ。
っていうか、
「いや、付き合ってないけど。」
「「はぁぁああぁ??????」」
「何言ってんの、何言ってんの、何言ってんの???」
「ん?ボクと少年は付き合ってないよ。
あれ、じゃあなんなんだろ、、。
友達でもないし、、?」
「いやいやまてまて。」
「?」
「え、まじで言ってる?」
「うん。」
「じゃあ【ワンッワンッ】も【ピーー】も【ドキューン】もシてないの!?」
「君はボクらをなんだと思ってるの?」
「うわぁ、少年かわいそすぎる。」
「君たち、私もいることを忘れていないかい?
内容がエグすぎてもう女子大生怖い。」
「え、教授もしかして童t、、「それ以上はいけない!!!」
「やめなさいよアンタ、教授泣いちゃったじゃない。」
「やっぱり童貞なのかぁ、、、。」
「裏の言葉が表に出過ぎよ。」
まぁ童貞教授のことはどうでもいいや。
「そういや、少年に真剣になったらって話だったな。
そもそも真剣になるってどういう感覚?」
「アンタそれ、レポート書いてるゼミ生に
絶対聞くんじゃないわよ。」
「真剣って言うのはですね。」
お、教授が教えてくれるのか。
若干涙目だけどまぁ気にしない。
「絶対に、何があっても
手放したくないもののことですよ。」
「手放したくない、、?」
「ものに対して真剣になると言うことは、
そのものを大切に慈しみ、片時も離さず
共にあるほど真剣というものです。」
「片時も離さず、共に、、。」
「えぇ、絶対に無くさない、
なくてはならないものなんです。」
「なくてはならない。」
「教授にはあるわけ?」
「もちろん、片時も離さず持っていますし、
慈しんで大切に大切にしていますよ。
見てください!この可愛いカリフラワー!!!
このふわっとした部分ともこもこのフォルム!
そしてツルツルとした茎。
この世で最も愛おしい!!!
そして食べると美味しい!!!」
あー、なんか。
「教授が結婚できない理由が分かったわね、、。」
「うん。」
常に鞄にカリフラワー入れてる人とは結婚したくないよな。
、、、ボクも嫌だ。
「でも教授の言葉はとても参考になった。」
「あら、よかったじゃない。」
「しばらく少年と会うの辞める。」
「は?」
よく考えたらこの数ヶ月、ずっと一緒にいて
休日もよく会ってたし迎えにきてくれたり
迎えに行ったりして
ほぼ毎日少年と会ってるもん。
これじゃ、
いつ少年に真剣になったか気づかないじゃないか。
「うん、そうと決まれば
来なくていいって連絡して帰ろう。」
「いやちょっとアンタ、」
「善は急げだ!帰る!!」
「人の話聞きなさいよ!!
このおば、、くぅぅ、天才!!」
「じゃーまたね。」
「扉閉めやがった!
、、、、彼との在り方について考えた時点で
それは真剣なんだって
なんで気づかないのかしら。」
∞
少年の携帯に連絡を入れて、電源を落とす。
少年と連絡取り合う前は
常に携帯の電源入れてなかったんだよね。
誰からも連絡来ないしいいかって。
とりあえず帰ろう。
家への道をてこてこ歩いていると
この数ヶ月で見慣れた巨体がヌッと現れた。
「あにゃ、早速会っちゃった。」
「なんですかこれ。」
そんな見せつけるように
携帯を突き出さなくても、、。
うわ、、
少年、めちゃくちゃ無表情だな?
いや、いつもだけど。
今日はなんか、負のオーラが漂ってる。
あれ、ボク何かしたっけ、、?
「少年と距離をおこうと思って。」
んぁ、、?な、なんか、少年の空気が真っ黒に、、。
心なしか怒ってるような、、?
いつもは感情豊かな無表情(???)なのに
今日は感情がストンと落ちたような顔だ。
「ど、どしたの、少年、、?」
「、、、ったんですか。」
「ん、なんて?」
「俺のこと、嫌になったんですか。」
嫌いに、、はなってない。
けど好きでもない、と思う。
うーん、なんだろう。
ただ誰といるよりも心地いいし楽しい。
それこそいつでも縁を切れる友人とか、
ボク自身の家族なんかよりずっと大切だ。
わからない。
ボクが彼に真剣であるかどうかがわからない。
「許さない。」
「え?」
「俺から離れるなんて絶対許さない。」
少年、、あれ、これやばいか?
嫌な予感が、、。
「いっ、、、」
「俺が、どれほどあなたを、、。」
「少年、?」
強引に掴まれた腕よりも、
少年の苦しそうな顔を見てなぜか胸が痛くなった。
「でもごめんなさい。
俺はあなたを諦めてあげられない。」
苦しそうに悔しそうに話す少年。
なんというか、何度も羽を動かしているのに
全く飛べない文鳥のようだ。
、、、、、ごめん、例えが下手くそだよね。
自覚はある。
ただ、いま言いたいのは、
少年がすごく可愛いってこと。
本人はきっと苦しくて辛い気持ちなのだろうけど
不覚にも少年の可愛さにきゅんときた。
おかしい、ボクの嫌な予感はすごく良く当たるはずなのに。
「あなたが俺から離れようとするなら、
俺はあなたを捕らえるしかなくなってしまいます。
たとえ嫌われても泣かれても叫ばれても、
決して側をはなれないように、、。」
少し、喜んでいる自分がいる。
何にも真剣になれなかった。
執着なんてできなかった。
そんなボクが、求められている。
「少年、ボクと1on1しようか。」
「え、、、、、。」
少年の顔が明らかに絶望に変わった。
「それは、つまり、、。」
「ひとつ、ボクと勝負をしよう。」
ドキドキと高揚する気持ちを悟らせないように、
どこかで聞いたような誘い文句を紡ぐ。
少年の顔つきが険しいものに変わり、
やがて犬歯を剥き出しにしてグルグルと唸る。
「対価を示してくれるんですよね?」
くくっ、、ちゃっかりしてるな。
「1on1は君の望みだった筈だけどね。
いいよ。
勝負は何かを賭けて初めて成立するものだから。」
あ、楽しんでるのバレちゃったかな?
いつもの無表情が信じられないくらい
感情を露わにしてる。
向けられたのは怒りと悲しみだ。
「さて少年、君はボクに何を望む?」
心拍数の上がる胸に思わず口角が上がる。
あぁ、そうそうこれだ。
「あなたの、全てを、、。」
「うん、いいね。」
面白くなってきた。
∞
地面に叩きつけられるボールの音。
互いに弾む息。
コートの中は激しい熱気で包まれていた。
少女がフェイントをかけて少年の横を抜ける。
気づいた少年は一歩引いて後を追う。
低姿勢の少女がバネのように飛べば
背後から、手を伸ばした巨体にボールを叩き落とされた。
転がるボールを間髪入れずに拾い上げるのは少女。
しかし着地と同時に少女を追った少年は
彼女の前に立ちはだかった。
少女は面白そうに目を細めて少年を抜こうとする。
少年は巨体に似合わぬ素早い動きで
少女の動きについて行ってみせた。
何時間経ったかすらわからない。
ただ二人はコートを縦横無尽に駆け回り
互角の戦いを見せていた。
想像以上に動ける少年に少女は少し驚いている。
ついて来れるとは思っていなかったのだ。
少女は手にしたボールを高く上に投げる。
思わぬ行動に少年が動きを止めた一瞬、
彼女は少年の肩に足を乗せて、跳んだ。
難なくボールを掴んで少年の向きと反対側に着地すると
流れるようなフォームでボールを放る。
綺麗な放物線を描いたボールはストンと
ゴールをくぐり、地面に落ちた。
少年は目を細めて少女の姿を見る。
真上に伸ばされた腕と繊細な指、
軽く反らされた背中と上を向いた時に浮き出る喉。
そしてあの、なんてことない顔でいて
ゴールを見つめる瞳の隠しきれない快感の熱。
ロングシュートを決める少女の姿は、、
「えっろ、、、、。」
少年が呟かずにはいられないほど扇情的だった。
少女がゴールを決めたと同時に少年が膝から崩れ落ちる。
コートの中央で仰向けになった少年は
息も絶え絶えに目を閉じた。
「きっつ。」
勝者は地面に背を預けない。
勝敗は決した。
「お疲れ様、すごくいい勝負だった。」
少女はぐぃっ、と口角を上げて少年を上から覗き込む。
漏れる吐息と汗ばんだ額、張り付いたシャツが視界に入り
少年は拷問かと思った。
これからきっと少女は自身の望みを示す。
もう二度と、少女と会えないかもしれない。
少女の額から滴る汗が少年の頬に落ちた。
少年は自身の汗と混じったソレを拭って舐める。
「なっ、、、、!」
「これくらい許してくださいよ。」
少年が力なく笑った姿に少女は言う。
「ねぇ少年、ボクの望みはね。」
∞
ボクはいつだって、何にも真剣になれなかった。
それはきっと、なんでもできてしまう代償だと思ってた。
家族とか友人とかにも全然真剣になれなかった。
相手は真剣に接してくれるから、
余計に申し訳なくて距離を置いてたんだって、
今ならわかる。
誰が悪いわけじゃないけど
息苦しかったんだと思う。
「何してるんですか?」
「ん、過去に想いを馳せていたんだよ。」
「へぇ、、ちなみにそれは男ですか?」
「ふふふ。」
少年は今日も可愛い。
「男なんですか、?」
少年が詰め寄るようにこちらに体をグイグイと押し付けてくる。
もちろんいつもの無表情に負のオーラを纏って。
ってかシンプルに体がデカイな。
鼻先が触れるほどの距離まで少年が近づいてきたので
軽く上を向いてその唇を奪った。
「はは、内緒。」
悪戯っぽく微笑んで啄むように唇を合わせれば
ぐいっと顎を掴まれてしっかり目線を合わせられる。
「誰。」
少年は力強く睨んで離してくれそうにない。
「女は秘密が多い方がいいんだよ?
ゼミの子が言ってた。」
誘うように少年の首に手を回せば
腰に手が回り、さらに少年と密着する形になった。
「なら、他の男の記憶は全部俺が消せばいいか?」
いつもよりも低く、色っぽい声で言い放ってから
答えも待たずに荒々しく唇に噛みつかれた。
ボクは、今日も少年と共にいる。
この関係を望んだのは果たしてボクか、少年か。
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