さよならの向こう側

よんど

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あの日

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***

なんて事ない、何処にでもいる高校生だった。
迄は。




井口晴也。成績は優秀でスポーツ万能。昔から基本的に何事も器用に上手くこなせていた。加えて顔がたまたま整っていた事もあり、今迄告白される回数も多かった。

小学生の時の健康診断でαだと判明してから余計に増えた気がする。




みんなが自分を羨望の眼差しで見つめる。嫌ではなかったが、俺は日々居た堪れない気持ちでいっぱいだった。なんだか居心地が悪かった。そんなある日、進学先の高校でと出会う。

『Ωだって普通の人間だ。同じ人間な筈なのに、あんたはαとかΩとか、そんな事関係なく相手を見る事が出来ないの?』

──昼休み、たまたま通り掛かった廊下での出来事だった。

蹲り震えるΩの男子生徒に制服のジャケットを着せ、体格の大きい男の前に立ちはだかる青年。

その青年を睨みつけているのは話を聞く限り恐らくα──青年の言葉に苛ついたのか、グイッと首元の襟ごと持ち上げ鋭く睨みつけながら男は見下ろす。

『上級生に向かって偉く生意気な口だな。女みてーな顔....お前、Ωか?俺の仲間を呼んで襲ってやろうか』
『可哀想に。会話が出来ないのかな。性関係なく喋れって言ってんの。──くそレイプ野郎』
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