異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

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七鳴鐘楼モンペルク、月蝕は混沌の影を呼び編

15.結局のところ*

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「ほうら、何故かこんな所に都合のいい縄が」
「お前が隠し持ってたんだろうが!」
「そしてここに丁度ちょうどいい絵画を掛けるために打ち付けられたくぎが」
「なんでそんな都合のいいモンがあるんだよ!」

 何でもかんでもツッコミを入れてしまっているような感じになってしまうが、これはブラックが一々いちいち報告してくるからだ。

 いやもういっそ、この騒ぎで向こうの部屋の人が壁ドンでもして、怪しい雰囲気ふんいきをぶち壊してくれないだろうか。そんな都合のいい未来を考えたが、しかし非常にも隣は俺達の行動に意識を向けてくれなかったようだ。

 それどころか、よっぽど自分達の行為におぼれているのか、生々しい沈黙と再び聞え出す嬌声きょうせいに「何をしているか」が分かって、聞いているだけで耳がこそばゆくなる。
 動画だと興奮するだけだったのに、なんでリアルで他人の喘ぎ声を聞くとこんなに逃げ出したくなるんだろう。

 そうは思ったけど、でも多分これは目の前にブラックがいるからだ。

 友達と一緒に盗み聞きするのもちょっとたまれなくなるとは思うが、それ以上に自分がこういう事に反応してしまうのをブラックに見せたくなかった。

 ……だ、だって……恥ずかしいじゃんか。
 いや、さんざんネットでエロ画像検索する俺が言うのもおかしいけどね!?

 けど、耐えられないんだから仕方ないだろう。
 ああもう、なんでいざって時にいつもの感じが出せないんだよ。
 悪友たちとエロ画像交換してる俺はどこいったんだ、なんでブラックと一緒だと色々ままならなくなるんだろう。

くぎの位置が高いから、爪先立つまさきだちになっちゃうかも。それに……ここボロ宿だから、ツカサ君の力でも壁が壊れるかもしれないし、あんまり動いちゃだめだよ?」
「動くなってお前っ……わっ、ばか、あああっ」

 問い返そうとしていたのに、ブラックは俺の言葉を途中でさえぎり両腕を取る。
 その行動に驚くひまもなく、俺の腕は簡単に上に引き上げられ、数秒でしっかり縄を巻かれ固定された。こうなると、もう抵抗するすべも無い。

 俺は浜に打ち上げられた魚のように逃げようとのたうったが、壁から出ていた釘に縄をひっかけられて、背伸びしたような体勢を強いられてしまった。

「っ……うぐ……」

 背中に壁の硬い感触がある。
 縄に体重を預けたら、壁が壊れるかもしれない。
 そう言われたせいで足に力を入れる事しか出来ず、俺は爪先立つまさきだちになる。いっそ力強ちからづよく足を降ろそうかとも思ったが、そんな勇気は俺には無かった。

 壁を壊したら弁償べんしょうになるし、向こう側の相手とご対面することになる。
 そんな怖ろしい結末は迎えたくない。

 だけど、吊られた状態で爪先立つまさきだちというのは、かなりキツかった。

「あはっ……ツカサ君って本当こういうの似合うよねえ……。恥ずかしい恰好で壁に吊られてるのを想像したら、いい酒のさかなになりそう!」
「俺の危機的状況をつまみにするなぁああ」

 壁を壊すまいと必死に耐えている俺の姿を見てなにが酒のさかなだ。
 つーかこれお前のせいだろ!
 早く解放しろ、とにらみつけるが、変態オヤジ丸出しでニヤつくブラックは俺のそんな怒りの表情を見て、一層いっそう機嫌をよくするばかりで。

「危機的状況? じゃあもっと恥ずかしい恰好にならないとね!」
「えっ……ちょ、ちょっと待てブラック、今のは言葉のあや……」

 あ、ヤバい。ブラックに余計なことを言ってしまった。
 このスケベ顔丸出しの時に反論しても、言葉を逆手に取られて俺はさらに危機におちいってしまうのだ。今までもそうだったじゃないか。
 しかし、反省したってもう遅い。

 ブラックは俺のズボンのベルトに手をかけると、簡単に外してズボンの留め具すらも開けてしまった。

「ふふっ……ズボン残しよりシャツを残した方が、ツカサ君は映えるよねえ」
「やだっ、あっ、うわっあ、ああぁ……」

 素肌と布の間にグッと指を突っ込まれて下着ごとズボンを降ろされる。
 シャツのすそが長いおかげでギリギリ股間は隠せているけど、しかしだからと言って下半身が素っ裸になって喜べるわけがない。

 挙句あげくてに靴まで脱がされて、俺は下半身全体で外気を受ける事になってしまった。爪先立つまさきだちのこの状況で、外からの隙間風はつらい。
 っていうか、明かり取りのために窓が開いてるんだ。

 ここは上階だし、外からはこちらの様子が見えないと思うけど……でも、このままだとヤバい。せめて窓だけでも閉じて貰わなきゃ。

「ん~? むっちりした太腿ふとももを擦り合わせてどうしたの? おちんちんが勃起しそうなのを我慢してるのかなぁ。ふっ、ふへへ、たまんない……」
「う……うぅ……」

 ブラックの視線が、足の爪先つまさきからゆっくりと上へ這い上がってくる。
 目の動きが自分の震える太腿ふともも執拗しつようながめているのを見て、恥ずかしさに股間にぎゅうっと力がこもってしまった。

 こんなことしたって、自分の愚息に悪影響なのはわかっている。
 だけど、身動きできない状況で恥ずかしい部分に興奮した視線を向けられているのを見せつけられると、どうしてもそうせずには居られなかった。

 恥ずかしい。
 「お前の姿を見ている」と真正面から見せつけられると、羞恥が増して余計にのどが震えて声が出なくなってしまう。
 でも、このまま先に進まれるともっと恥ずかしい事になるんだ。

 逃げる逃げないにかかわらず、マジで窓は閉めて貰わないと……っ。

「まだシャツを押し上げるくらいの勃起はしてないかぁ。うーん残念」
「ぶ……ブラック、あの……っ、た、頼むから窓閉めてよ……!」

 ブツブツ独り言を言う目の前の相手に、声が震えないよう気を付けながら言う。
 すると、ブラックはキョトンとした顔で首をかしげた。

「ん? 窓?」
「そ、そう……! 窓が開いてるのヤダって……!」
「あ~、なるほどなるほど。このままだと、ツカサ君の恥ずかしいメス丸出しの声が外にまで聞こえちゃうもんねぇ。でもどうしよっかなぁ。ちょっとの声くらいなら他の奴にも聞かせてやってもいいと思ってるんだけど」
「俺は良く思ってないわい! た、頼むから窓だけは閉めてくれって……!」

 爪先立つまさきだちで腕に力を入れないように気を付け続けるのは、かなりつらい。
 自然と声にこらえをにじませてしまう俺に、ブラックはあおっているのか何なのか、大仰に悩むポーズを見せつつ、うーんとうなりやがる。

 チクショウこういう時に限ってワザと悩みやがって。
 この縄をほどいたら覚えてろよ、と、俺は内心激しくいきどおっていたのだが……次にブラックが吐いた台詞に、息が引っ込んだ。

「閉めても良いけど……じゃあ、反対にツカサ君が足を開いてよっ。そしたら、窓を閉めてあげる!」
「は……はぁっ!?」
「下品な開き、出来るでしょ? ねっ、見せてよ……そしたら、開いてる間は窓を閉じてあげるから」
「そん、なの……」

 そんなの、体勢的にもつらいし……なにより、そんなことしたらシャツに直接俺のが当たって、へ、変な事に……。

「じゃあこのままツカサ君とセックスしちゃおうかな~。ツカサ君の喘ぎ声って凄く大きいから、確実に外にも聞こえちゃうけど……まあ仕方ないよね!」
「うううううう分かったやりますやりますよコンチクショー!!」

 なんでそうお前はこういう時ばっかり気前がいいんだよ。
 普段はクロウが俺の肩に手を置いてもにらんでくるってのに、えっちなことをする時に限ってこんなこんなことを言うのはどういう風の吹き回しなんだ。

 文句が無限に湧き出るようだったが、しかしもう俺は取引に応じてしまった。

「やったー! あはっ、だったらもう足、開いてくれるよね? ほら、早くぅ」
「…………うぅう……」

 うなってみたって何も変わらない。
 それに、俺が躊躇ちゅうちょすればするほど、ブラックはさらに恐ろしい条件を突き付けてくるのだ。コイツはそういうオッサンなのだ。

 ……だったら、覚悟を決めて……あ、あんな、恥ずかしいポーズをするしかない。

 俺は息を吸ってのどに力を込めると――意を決して、ゆっくりと足を開いた。

「っ……」

 知らぬ間に熱くなっていた内腿うちももと股間を、外気の冷たさが撫でていく。
 その感覚に思わず腰を震わせてしまった俺を、ブラックは満足げな笑みで見つめていた。全くもって「もう良いよ」なんていう気配がない。

 その容赦なさに泣きそうになったが、俺はこらえてなんとか足を広げた。
 しかし、相手がそれだけで許すはずもなく。

「がに股。足を曲げて、恥ずかしい格好でおちんちんとお尻の穴が見えるように突き出してくれないとこまるよぉ。それとも……このままあえがされたい?」

 それだけは、いやだ。
 ……背後の壁から、再び隣室の情事の音が聞こえてくるのを感じつつ、俺は自分の心が暴れ出さないよう気を付けながら……とうとう、ブラックの言うとおりに、足を軽く曲げながら腰をひかえめに突き出す“がに股ポーズ”に屈してしまった。

「っ……く……うぅっ……」

 シャツが、股間に張り付く。
 熱を持った素肌がすでに汗ばんでいるせいか、敏感な部分を包むようにおおかぶさってきて、軽く腰を突き出しただけなのに、その感覚に一層恥ずかしさが募った。

 だけど、そんな俺にブラックは目を見開いて輝かせ、口をだらしなくゆるめて。
 まるで獲物を見つけてよだれを垂らす獣みたいに、俺の股間を凝視ぎょうししていた。

「あはっ……! も、もうツカサ君も興奮しておちんちん熱くしちゃってるじゃないか! っふ、ふははっ、い、良いよぉっ、すっごくやらしくて興奮しちゃう……!」

 そう言うなり、我慢が出来ないのかブラックは即座に動いて窓を閉めると、薄暗くなった部屋の明かりをともした。
 安宿やすやど特有の蝋燭ろうそくの明かりが、部屋の中を照らす。
 だけどその明かりが独特な雰囲気ふんいきかもすせいで、自分のしていることが余計に「いやらしいこと」なんだと思えてきて恥ずかしさが増してしまった。

 だ、だって、こんな……薄暗いと、えっちなシーンとか……ブラックと夜中にする時のことを思い出して……う、うううああもう何考えてんだってば俺え!

 でもこんなのなっちゃうじゃん、しょうがないじゃんか!
 薄暗いボロ宿なんてスケベなシチュエーションでしかないんだよっ。

 そ、そんな中で縛られて、こんな恥ずかしいポーズ取らされてたら……っ。

「さーて、ご希望通りツカサ君の大好きな“セックスする雰囲気ふんいき”にしてあげたし……今度は、僕が好きにしていい番だよね?」
「す、好きなんて誰も言ってないだろ!?」
「そんなでちっちゃい子供おちんちん強調しながら怒っても、いやらしいだけで全然怖くないんだよな~」

 お前がやらせたんだろーが!!

 恥ずかしさよりも怒りが湧いて思わずそうツッコミを入れようと口を開いた。
 ……の、だが……急に目の前にブラックがひざをついてきて、俺は驚きのあまりその言葉を飲み込んでしまった。

「う……ぁ……い、いや、そこに顔を近付けんなって……っ」
「でも、折角せっかくツカサ君が『どうぞ』って突き出してくれてるのに……触れないままなのは失礼でしょ?」
「アンタがやらせてんだよ!」
「それでもぉ……ツカサ君のおちんちんは喜んでるじゃない……ほら……」
「っ……! い、いや、だ……やっ……そ、そんな風に触るなってば……っ!」

 突き出した腰に顔を近付けたブラックは、シャツ越しに俺のモノの形を浮き上がらせるかのように、指でなぞり出した。
 周囲を指で押されて、どんどん俺のモノの形が浮き上がっていく。
 それが恥ずかしくて腰を逃そうとするけど、ブラックのもう片方の手が俺のがに股ポーズを維持いじさせようとひざを強くつかんでいて、動く事も出来なかった。

「ほーら、ツカサ君の可愛いおちんちんが出てきた。ふふ……布越しでもわかるよ? ツラい体勢で縛られて、恥ずかしい格好を強制されるのが嬉しいって、おちんちんがヒクヒクしてる……ツカサ君って本当淫乱だよねえ」
「ち、違っ……これはアンタが触って来たりやらせるから……っ」
「でも、僕に恥ずかしい格好を見られたり、おちんちんを愛撫されるの……ツカサ君は大好きでしょ……? ほら、これだけでも感じちゃうんだから」
「ひぐっ!? ぃっ、いやっ、やだそれっ、ぃ、あっ、あぁっ、やだってばぁっ! つ、つんつんしないでぇ……っ!」

 い、いやだ。
 シャツ越しに浮き上がった俺のモノの先端を、ブラックが色んな角度から執拗に指で触れてくる。しかも本当につつくみたいに、軽く触れる程度ていど
 それを細かく何度もヤられたら、そんなの男なら音を上げないはずが無い。

 しかも今は、下半身にちからが入っててすごくヤバいのに……っ。

「あはっ。ほらほらぁ、ツカサ君のおちんちんがムクムク起き上がって来たよ! 汗かどうか分からないけど、シャツもちょっとけてきてるねえ……」
「や、だっ……い、いや、だ……っ、もうやめろってぇ……っ」
「軽くつつくだけで勃起しちゃうなんて、ツカサ君ったら本当にオス好みの肉奴隷の素質あるよねえ……。この、勃起しても小さいまんまの子供おちんちんとかさ」
「ひぐっ!? ひっ、い……いぁっ、あっ……つ、つかむのまだ……っ」
「その可愛い声とか……この体とか……ああ、やっぱり……こんなの誰が見たって、ぐちゃぐちゃのドロドロにして雌穴が精液まみれでぽっかり開いたままになるくらい犯したくなるに決まってる……」

 な、に。何言ってるの。
 ちゃんと聞くから、頼むからそこしごかないで。シャツ越しにされたらもどかしいのと、変な感じで、いつもと違うことに混乱してしまう。

 それでなくても、恥ずかしいポーズを強制されていて、爪先立つまさきだちで下半身にちからが入っていつも以上に敏感になってるってのに。
 なのに、そんな時にこんなことされたら、もう。

「や……いやっ、だ……も、しごくのやめてぇ……っ!」
「可愛い……っ、ああっ、可愛い、ツカサ君の全部、姿も声もおちんちんも何もかもが全部可愛い……! こんなに可愛かったらもう他の誰かに強姦されてクソ野郎どもの精液そそがれちゃう! そんなの許せない、僕の、ツカサ君は僕の物なのに……!」
「なっ、なに言っへ……ひっ!? う、うあぁあっ! やぁっあ、あ゛あぁ!」

 俺のモノをしごきながらブツブツ何かを言っていたブラックが急に興奮しだして、手を離すと俺のがに股の太腿ふとももを手で鷲掴わしづかむ。何をするかと思ったら――いきなり、くちを大きく開いて、俺のモノに食らいついてきたのだ。

 シャツがへだてているのに、それにも構わずブラックは俺のを根元までくちに収めて、すぐに舌で俺のモノを舐め回し始める。

「んぐっ、ん、つかひゃく……ん、んん……っ!」
「ぅあぁっ! やっ、や、ら……しゃ、つ……シャツ、がっ、ぁっ、あぁ……!!」

 シャツの感触が間に挟まって、いつもと違う感覚を叩きこんでくる。
 濡れて張り付く少しざらついた厚目の布の感触が、舌の動きに合わせて執拗しつようこすってきて、初めての感覚に頭が追い付かなくなってきて。

 い、いやだ、ざらついてる。なのに濡れてて、ブラックの舌が動いてるのも分かって、先端を濡れてやわらかくなった布越しにぐりぐりされたら、もう、それだけでこしくだけてずり落ちそうになる。なのに、許してくれない。

 ブラックの手が俺を恥ずかしい格好のまま押さえつけて、腰が跳ねるのに逃げる事すら叶わない。どんなにやりすごそうとしても、口の中では逃げ場なんてないんだ。
 腰を無意識に動かすたびに舌が追い付いて来て、お仕置きとでも言うかのように、先端をしつこくったりつついたりしてくる。

 それだけじゃイケないのは同じ男のブラックだって充分わかってるはずなのに、俺を追い詰めるためなのか、逃げようとするたびに何度も何度も濡れた布を先端に押し付けられ舌でぐりぐりされて、もどかしさもあるその感覚に、頭が熱でバカになってくる。

 恥ずかしい。つらい、気持ちいいはずなのにもどかしい。
 そんな事を考えている自分がさらに恥ずかしい存在みたいに思えて、頭がどんどん物を考えられなくなっていく。

 ブラックのさっきのブツブツ言ってた言葉すら聞き取れなかったのに、何を言ったのかと考える事も出来ない内に、もう、頭の中は刺激でいっぱいいっぱいになって。
 足は震えて、腕はぶら下がる寸前で、必死にこらえていても、もう。

「ひぐっ、ぃ、いあぁっあああ゛ぁっ! もっ、やらっ、や、ぁ、ああ……! ぶ、らっ、う、も、やめっ……舐め、ぁ、いぇえ……っ、!」
「っぷは……もうイッちゃう? おちんちんイきたいの? じゃあ、ちゃんと『おちんちんをいじめられてイっちゃう』って言って……」

 そうしなければ、ずっとさいなむ。
 言外にそう言われたようで背筋がゾクリとしたけど、だからってもう、我慢できる段階はうに過ぎていた。頭がおかしくなる。

 理性がまだ物を考えているせいで、そんなことまで考えちまって自分自身を勝手に追い詰めていく自分に腹が立ってくるけど、それと同時にブラックが俺の……俺の、を、吸い上げてきて、もう、頭の中が完全に真っ白になってしまった。

 また、もどかしい「気持ちいい」を叩きこまれる。
 イキたいのにイケない、先端ばっかりの、だけどいつもより弱い刺激がずっと続いて中途半端なこの状態で延々苦しむことになるんだ。

 そんなの、もう耐えられない。
 お……俺の……。

「俺、の……お……おちん、ちん……い、いじめられてい、いっ、ちゃう……いっちゃう、から……もう……っ」

 自分の持っている語彙ごいではもう出てこないはずの、幼稚な言葉。
 だけど俺は、ブラックにずっとそう言うようにいられている。それでも、その事にも慣れたはずだったのに……いざ、こうして強要されると……心が、きしむ。

 完全に屈服したみたいで、自分のモノを「子供のままです」と言われることを肯定するみたいで、今更いまさらなのに何故かその事に強烈な恥ずかしさを覚えて――――
 ずきずきとした痛みをともなうような刺激に、何故か体が大きく震えた。

「あは……はっ、あははっ、やっぱりツカサ君最高に可愛いよぉ……っ!」
「んぅ゛!? ひっ、あぁっあああ! やっらぇっ、いっいきなり゛っぃ、ぃう゛ぅ……!」

 ねっとりと張り付いていたシャツが、がされる。
 その感覚に慣れるひまもないまま再び生暖かい空間におちんちんが囚われて、根元には少しザラついた皮の厚い指の感覚があった。

 そう認識した瞬間に、根元から擦り上げられ、先端を執拗しつように舐め回される強い刺激を受けて俺は頭を壁にぶつけてしまった。
 体が浮く。限界までって、はしたなく腰を口に押しつけるようになってしまったが、その事を恥ずかしく思う余裕すら与えて貰えなかった。

 勝手にくちからあえぎ声が出る。
 腰が、体がビクビクと波打つ。なのに足は固定されていて、気持ちいいのを逃がせなくて、ブラックの大きな舌が、俺のおちんちんを包んだかと思うと、一気に吸い上げてきて……――!

「~~~~~……ッ!!」

 体が痙攣けいれんし、急に、何も見えなくなる。
 頭が真っ白になったと同時に、俺の下腹部でわだかまっていた重苦しい熱が、一気に消えて……強烈な刺激と共にいつもの感じ慣れた射精の快楽がやってきたことに、俺は涙でゆがんだ視界にまばたきしながら、少しばかり安堵あんどしたのだった。

 …………だけど、ブラックは満足していなかったようで。

「ふぅ~……。ツカサ君の精液美味しっ」
「……う、うぅ……」
のどうるおしたところで……本番、いこっか?」

 そう言って、俺の足を一度解放すると、ブラックは上着を脱ぎズボンをくつろげた。

「っ……」

 軽く留め具を外して下へずらしただけなのに、そこから勢いよく……う……えっと、その……ブラックの、おちんちんが、飛び出して、きて。

 蝋燭ろうそくの明かりに照らされたソレは、いつも以上に凶悪に見える。
 頭がいまだにぼうっとしている俺から見ても、とんでもないもののように思えた。

 ……改めて見せつけられると、俺が「子供」だと言われても仕方がない。
 それくらい赤黒くて、大きくて……なんでそんな恐ろしい角度で勃起してるんだと、段々冷静さを取り戻す思考の中で怖くなってくる。

 こんなのが、いつも俺の中に入って来てるのか。
 そう思うと、肌が何かの緊張で粟立あわだつとともに、また体が変に熱くなってくる。

 今日は何故だか、慣れているはずのソレにおののいてしまっていた。

「あれっ……ツカサ君も、久しぶりに僕のペニスをじっくり見て興奮してくれてるの? ふ、ふへへ……う、嬉しいなぁ……! じゃあ今日は、ツカサ君の知らない体位でセックスしようね……!」

 前半と後半の言葉がどうつながったのか俺には理解できない。
 出来ないんだが、もうしようとしても無駄なんだろう。

 今から何をされるのかと思うと不安だったが……結局俺は、ブラックと触れ合う事に、本気で逃げ出したいとは思えないのだ。
 どんなに恥ずかしくても、たぶん……。

 だからもう、こうなったら何もかも忘れて後でやむ方が良いのかも知れない。

「ゆ……夕方までに戻らなきゃ、だめなんだからな……」

 でもやっぱり、そんな事を考えているなんて言えるはずもなくて。
 くるまぎれにそう言うと、ブラックは苦笑しながら俺に近付いてきた。













 
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