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海洞都市シムロ、海だ!修行だ!スリラーだ!編
12.セクハラ相手に優しさはいらぬ
しおりを挟む「ちょ……っ。も、もしかしてお前、今から……」
えっちする気じゃないだろうな、と、言いかけた俺に、ブラックはニンマリする。
「え? ツカサ君たら、もしかしてやらしいコトしたいの~? 僕の為にそんなコトしてくれるなんて優しいなぁ~」
「ちっ、違っ……」
「違うって? でも、ツカサ君が思う『僕に優しくすること』は、セックスすることだって思ってるんでしょ?」
「だ……だから、それはアンタがいつもそう言う事するから……!」
お前が毎度毎度セクハラして来るんだから、当然反射的にそう思うだろうが。
必死に弁解して、俺が「そういう行為をしたい」と思っていない事を証明しようとするが、ブラックはニヤニヤ笑うだけで取り合ってくれない。
それどころか、俺の腹に手を回し無理矢理抱え上げ、背後から抱き締めて来た。
思わず体を緊張させると、肩の辺りに何かが押しつけられる。熱い息を吹きかけられて、それがブラックの鼻だと分かった。
丁度鼻を肩に乗せてる感じだけど……お前は何がしたいんだ。
これも「優しく」許容しなくちゃいけないんだろうか。どうしたら良いのか困ってしまったが、ブラックは構わず俺の体に手を這わせ始めた。
「僕のせい? またまた~。ツカサ君も、本当はこう言うコトしたいんでしょ? ふ、ふふ……ラッタディアでは、ちゃんと最後までセックス出来なかったし、ツカサ君も溜まってるんだよねぇ……。解ってるよ、だって僕はツカサ君の恋人だもん……ふふっ……」
気持ち悪い震え方をした声が首筋に掛かる。
その感覚に気を取られた瞬間、股間に強引に手を突っ込まれた。
「ひぁっ!? やっ、バカちょっと、どこに手ぇ突っ込んで……!」
「ツカサ君も、ココ触って欲しかったんだよね~? 」
「んなワケあるかぁ! なんで今っ、ちょっともうバカ、やめろっ、ん、んんっ……!」
手を離せ、と、言いたいのに、ブラックの手が俺の急所を包んでいて、下手に動く事が出来ない。それに、二本の指で何も無いとこ……会陰の辺りをズボン越しに擦られて、足が勝手に震えてしまう。
さりさりと軽い音なのに、布の上からソコを撫でられると内腿が勝手に締まる。手の内に在る俺の急所も、じわりと変な感覚に襲われていた。
その感覚が何かなんて、口に出せるワケがない。
感じたら終わりだと心の中で必死に抑え込んで、自分を捕えるブラックの腕を引き剥がそうとするが……情けない事に、どれだけ掴もうとも腕はビクともしなかった。
「あは……ツカサ君のココ、僕がちょっと撫でただけでもう熱くなってるよ? 女の子みたいな所を撫でられて感じちゃうなんて、本当ツカサ君ってスキモノだなぁ」
「あっ、あんっ、たが……ッ、変な、ことするから……っ!」
「気持ちよがってるのはツカサ君でしょー? ほら、ここトントンすると……」
そう言われて、陰嚢の裏付近から尻までの平らな部分を撫でるように軽く押し込みながらブラックの指が移動すると、腹の下から全部がビクビクと震えて、何故か力が一気に抜けてしまう。広い指の腹で触れられるだけで、もう、掌を押し当てられているソコが、明確に反応してしまいそうだった。
「んっ、や……や、だっ……それ、も、やだって、ぇ……ッ!」
声を、抑えられない。
いやらしい動きで触られるだけで、声が上擦ってしまう。
会陰なんてただの何も無い所だったはずなのに、ブラックに散々触られて変な風にされてしまった俺の体は、明確に反応してしまって。
嫌だって思ってるのに、こんな事で感じるワケなんてないと思ってるのに、そんな俺の感情に反して下半身はどんどん熱に浮かされて、覚えのある感覚が強くなる。
掌を押し当てられているだけの場所が、ブラックの手よりも熱くなっているようで、恥ずかしくて堪らなかった。
「あは……ツカサ君たら、もう可愛いおちんちん膨らませちゃって……ふっ、ふへへ、そっ……そんなに僕の手が気持ち良かったの……?」
「ちが……っ、ちが、ぅ……ってぇ……!」
我慢しようとするのに、もう全然我慢出来てない。
それどころか、背後から耳を唇で食まれて背中までゾクゾクして来てしまう。
ヤバい。こんなの絶対にヤバいって知ってるのに、なんで全然堪えられないんだよ俺ぇえ……! こんな事になるから毎回ブラックにノせられるのに!
「ほらぁ……ツカサ君、もうたまんないんでしょ……? ねぇ、もうセックスしちゃおうよ。久しぶりのセックス、きっとすっごく気持ち良いよぉ……?」
「あっ、ぅ、あ……あぁあ……ッ!」
低い声が耳に直接吹き込まれて、腹の奥が震える。
たったの指二本なのに、会陰の真ん中あたりをぐっと押されると、触られていない部分にまでじぃんと滲み込んでくるような刺激が来て、体が勝手に動いてしまう。
恥ずかしくて、気持ち良いのを認めたくなくて、逃げたくなる。
なのに、逃げられない。
こんな事で感じているなんて、自分の体が変だ。
ブラックに数えきれないくらいえっちな事をされたから、俺の体が変になってる。
……そりゃ、コイツとは恋人……だし……。ヤることはヤってんだから、体を開発されてしまっているのは当たり前なんだけど。
でも、突きつけられると恥ずかしい。自分の変化を認めたくなくなる。
何と言われようが、俺はこの世界のメスじゃない。俺は異世界の男で、こんな変な部分を同じ男に弄られて感じるような存在じゃ無かったはずなんだ。
なのに、ブラックに触れられるだけで……俺は、おかしくなってしまう。
ブラックの恋人になって、一応は俺も「自分はメス」って受け入れたけど……それでもそれはブラックやクロウにだけで、それ以外の俺は変わってないはずなんだよ。だけど、おかしくなるんだ。
変な事をされても、抱き締められて囁かれると体が浮かれてしまって、普通なら手で触れて擦らないと勃たないはずの俺の分身まで反応してて……。
…………う、うぅう……ッ。
やだ、やっぱりヤダ、恥ずかしい、なんでこんな事になっちまうんだ。
いや別にブラックの事がイヤなんじゃないけど! でも、こんな場所で昼間っから発情して「ヤりたいな~」なんて流されちまうのは、さすがに日本男児としてどうかと思うんだよ俺は!! いや女の子と二人きりの場所なら良いんだけどね!?
つーかだいたい、昼間っからえっちな事すんのとか本当ありえないだろ!
そりゃブラックに流されて、昼間でも何度かしちゃったけど、でも、その……こ、こういうふしだらな事は、普通夜とかにするもんだろ!?
旅の途中ならまだしも、しばらく定住するし他人も来るってのに、なんでこの昼日中からえっちなことしなきゃいかんのだ!
俺は女の子も二次元エロも大好きだけど、自分がオッサンとえっちな事をするのは範囲外なの! 何度やろうが実際にやるのは違うんだよ昼はヤなんだよ!!
するのは別に、その……い……いいけど!
良いんだけど夜にしてよ、人に声が聞こえそうな時間帯にしないでよぉお!
「ツカサ君、ほぉーら脱ぎ脱ぎしようねぇ」
「やっ、ぁ……やだ……って、ばあ……っ! こ……こんな、昼から、やだ……!」
「そんなこと言っても、こんな状態じゃ説得力ないなぁ~」
必死に身を捩るけど、ブラックの腕の中から逃げられない。
片手で囚われているのに、本当になんで俺ってば振り解く力も無いんだよ。いや、ブラックが怪力なんだ、絶対そうなんだ。
そうは思うけど、思っている間に俺はズボンを脱がされて下着も剥ぎ取られそうになってしまっていて……っておいおいおい!
「だめっ、い、今から掃除……ッ」
「もう終わるんでしょ?」
「買い、出し……い、行かなきゃ……っ」
「すぐに終わらせたら行けるでしょ? ツカサ君が毎回ダダこねるから、セックスも長引いて濃厚になっちゃうんだよ……?」
「ひっ、ぅ……ッ、だ……だ、め……っ、だって……!」
耳元で囁かれたせいで、また体がゾクリと震える。
「ダメ」って言わなきゃいけないのに、声が震えて小さくなってしまった。
悔しいと思うのに、ブラックの手が下着の中に入って来ると、そっちにばかり意識が行ってしまって恥ずかしさの方が強くなってしまう。
カサついた指が、下腹部を這い回っている。判るのがつらい。
いつ根元に届くのかと思うと体がじわじわと熱くなってきて、愚息としか言いようのない部分が浅ましく動く気すらした。
こんなので反応しちまうなんて、自分が情けない。恥ずかしい。
それなのに、ブラックの指が少しでも動くだけで体は反応してしまって。
「ねえ、ツカサくぅん……すぐに終わらせるからセックスしようよぉ……。ツカサ君だって、僕のコレ、欲しいでしょ……?」
「――――っ……!」
背後の気配が動いて、膨らんだものが尻に押し付けられる。
強い力で下着越しに谷間に食い込んできたソレが何か――なんて、判らないほど俺はウブではない。もう、充分すぎるほど俺は知ってしまっているんだ。
なのに、いざ触れられると体が緊張してしまう。
急所でも何でもないソコにねじ込まれると、もう……体が、勝手に……。
「ねぇ、僕に優しくして……?」
優しく。
そうだ、俺、ブラックに優しくする修行を課せられてて……じゃあ、だったら……いまブラックの“お願い”に応えるべきなのかな。
でも、昼間からこんな事をするなんて恥ずかしい。二階にはクロウも寝ているし、いつカーデ師匠が戻って来るかも解らないってのに、それでも、ここで……。
「ツカサくぅん……」
「んっ……ぅ……」
首筋に、キスをされる。
うねった赤い髪が頬を擽って、ブラックが動くとヒゲがチクチク当たる。その刺激すら、俺にはもう勘弁してくれと思わずにはいられなくて。
チクショウ、こ、こんなの違うのに。
でもこれは修行で、しなきゃいけなくて、あああもうどうすりゃいいんだよ!
熱くて、頭が混乱して来て、何が何だかわからなくなってくる。
下腹部のブラックの手は、じりじりと俺の急所に近付いて来ていて、そのことに胸がドキドキして、お腹の奥が勝手にきゅうってなって……――――
「おい、ナニやっとんじゃお前らは」
「なんぎゃああああ!!?」
「ん゛ぐっ!?」
いっ、いま声聞こえた、師匠の声聞こえたあ!!
っていうか痛い! 頭が痛い、これなに、なんか俺ぶつけたのか!?
ああどうしようっどうしよう見られちゃった見られちゃったよぉおお!
「落ち着け落ち着け、ワシが悪かった……良いからはよズボンを穿かんか」
おちっ、お、おち、おちち……。
はぁ、はあ、はあ……そ、そうだ落ち着け、声音からして師匠は怒ってないしドンビキしてもいない。呆れているだけだ。恥ずかしいけど、それならまだ耐えられる。
よし、冷静を装うんだ俺……!
とりあえず深呼吸をして落ち着いた俺は、声がした咆哮を見やった。
……カーデ師匠は、台所の入口でゲンナリしている。なんだか微妙な表情だったが、ドンビキされるより何万倍もマシだ。俺は全身が強烈に熱くなるのを感じながら慌ててズボンを穿いた。
その途中で、顎を抑えて蹲っているブラックを見つけたが……もう知らん!
なんでそうなってるのか解らないが、俺も頭が痛いのでおあいこだ!
元はと言えばブラックがこんな時間にスケベな事するから悪いんだからな……!
「お、おおおお御見苦しいところを……ッ」
「なにか勘違いしておるようだが、そういう“優しさ”は要らんぞ……。イヤなら拒否くらいせい」
「ええ!? そ、そうだったんですか……!?」
こういう時は優しくしなくていいの!?
思わず目を見開いて驚いてしまった俺に、師匠は深い溜息を吐いた。
「はぁー……。優しさの修行云々の前に、お主は別の修業をした方がよさそうじゃなぁ……。そこのどうしようもない中年も」
そう言いつつ、顎を抑えて悶絶するブラックと俺を交互に見比べる師匠。
何を思っているのかは俺には解らなかったけど、とにかく俺は変な場面を見られた恥ずかしさでいっぱいで、そこまで考える余裕など無かった。
→
※またもや遅れて申し訳ないです…(;´Д`)
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