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聖都バルバラ、祝福を囲うは妖精の輪編
19.イタズラどまりだとそれはそれでツライ事も有る※
しおりを挟む※ほんとに性感帯じゃない所を舐めてるだけですが変態なのでご注意を
「あ……あの……昨日の今日で風呂入るの勿体ないと思うんだけど」
「王城がそんなケチケチしてる訳無いよ」
「だ、だけどその、明日出発するんだし」
「安心しろ、疲れたらオレがおぶって行ってやる」
「そういう気を回すんなら素直にご飯を食べてくれませんかねえ!!」
ああもう、こういう時だけ仲良いんだからこいつらはもう!!
実に意地悪な笑みを浮かべてベッドに近付いて来るブラックに、腹をさすりつつ怖いほどの真顔で近付いて来るクロウ。
そんな二人の姿に思わず後退って、俺は自分がベッドの上に寝転がっていた事を心底後悔した。
やべえ、このままじゃ悪戯ついでに絶対なんかされる。
俺はもう性欲も精液もからっけつだってのに、どうしてこのオッサン達は欲望の権化の如く日を置かずにサカッって来るんだようチクショウ……。
せめてもの抵抗と言う奴で、俺は二人から逃れるようにベッドの端に移動しながら「やめろ」と掌を見せてみる。
「お、俺もう何も出ないってば……は、早まるなよ。な、な?」
じりじり動きながらベッドから逃げようとする俺に、クロウが人でも殺すんじゃないかと思えるほどの鋭い眼光を向けて来る。
「ツカサ……お前は何か勘違いしているようだが、オレは汗や涙でも充分に美味い思いを出来るんだぞ。まあ、ツカサに関して言えば精液が一番美味いと思うが」
「ひ、ひぇえ……」
そうだったっけ、そんなこと言ってたっけ?
じゃあ別に悪戯する必要なくない?
「あの、じゃ、じゃあ掌ペロペロするだけでもいいんじゃ……」
「ツカサ君はバカだなあ~。そんな事してたら、ツカサ君の奴隷になったみたいで余計に興奮するに決まってるじゃないか」
「その通りだブラック、舐めてると興奮して来るので結局イタズラする事になる」
「だーーーっ!! ばーーーっ!!」
馬鹿って言いたいのに言葉が出てこないっ。
こ、こ、この変態オヤジども、お前らには自制と言う言葉が無いのか!
俺だってそんなことしようと思わねー……いやでも、相手が美少女やお姉さまだったらあるいは……。
「ツカサ君また女の事考えてる……」
「だからなんでお前俺の心読めるの!?」
やだもうブラック怖い。
あまりに驚いてベッドから飛び退いてしまったが、これは好都合だ。
このまま逃げてしまおうと思い、俺は二人の隙を窺うものの、その前に不機嫌顔のブラックに腕を掴まれてしまった。あああ万事休す。
「ツカサ君、さっき荷物抱えて物凄く汗かいてたよね」
「そ、それがなにか……」
「じゃあ射精しなくたって熊公が喜ぶんじゃないの? だって今、ツカサ君は汗で味が充分に付いてる状態なんだから」
「人を食材みたいに言わないでください……」
なにその下味付いてますみたいな言い方。俺人間なんですけど!!
「確かにそれは美味そうだな……」
ひぃいいクロウが真顔で舌なめずりしてるううううう。
「ほらほらツカサ君大人しくして」
実に楽しそうな声を出しながら、ブラックが俺をベッドへと引き戻す。
そのままベッドに座らされて、問答無用でブラックが肩をくっつけるようにぴったりと隣に腰を下ろしてきた。ああ、アカン。もう逃げられない。
青ざめる俺にトドメを刺すように、クロウが目の前に立ちはだかった。
「ツカサ……」
ハァー、ハァーと深い息を漏らしながら、クロウが跪いて来る。
せっかくの美形なのに怖い。もう目が性犯罪者のそれすぎる。初めてエロDVDに出演する素人の人ってこんな気持ちだったんだろうか。そりゃ怖いわ。
演技だろ~とか思っててごめんなしゃい……。
「ねえツカサ君、せっかくだから汗をかいた所を舐めて貰えば?」
「は?」
「例えば脇とか」
「は? 頭沸いてんのか?」
冗談かと思って半ギレで返してしまったが、ブラックはニヤニヤと笑いながら俺のコートを剥ぎ取り、この寒い中俺を半袖一枚に剥いてしまう。
何すんじゃいと思って睨み付けたが、相手は俺の怒りなんてどこ吹く風で両腕を背後から掴んで無理矢理バンザイのポーズを取らせた。
反射的に腕を下げようとしたが、体力のない俺には無理な話で。
「ちょっ、ちょっと、おい! ブラック!」
「確かにそうだな……一番美味いものじゃないのは残念だが、ツカサは汗も涙も極上の味だから汗でも問題はない」
「まって、待って待ってってば、クロウ!!」
脇の臭いを嗅ぐなんて幾らなんでも頭おかしいでしょ!!
美少女の脇なら俺的には嗅げるかも知れないが、だからといって自分が「汚れている」と思っている場所の臭いを嗅がれるなんて冗談じゃない。
そんな辱め受けて堪るかと逃げようとするが、でもどうしようもない。
硬直する俺に、クロウはどことなく嬉しそうな顔をしながらゆっくりと顔を近付けて来た。もちろん、その顔は、その、俺の曝されている脇に……。
「クロウっ……!」
「安心しろツカサ、オレはツカサの匂いに興奮する派だ」
「そんな派閥いらねえええええ!!」
どういうクソ派閥だ、興奮しない派圧倒的多数で解散してしまえ。
ふざけんなマジふざけんなと何度も頭の中で思ったけど、もう、クロウの高い鼻が俺の左の脇に近付いて来るとどうする事も出来なくて。
「やだっ、や……っ」
無意識に震える俺の声にちらりと俺の顔を一瞥したクロウだったが……構わず、そのまま俺の脇に鼻をくっつけてクンクンと嗅ぎ始めてしまった。
「やっ……やめろってば……っ!」
「服の上からでも匂いが解るぞ、ツカサ……今日はよく動いたんだな……」
「解ってる、から……もっ、嗅ぐな……!」
「何故だ。こんなにいやらしい良い匂いなのに……」
そう言いながら脇の窪みに鼻と唇を押し付けるクロウに、俺は思わずびくりと体を震わせてしまう。臭いを吸われているせいで、鼻がくっついている周辺の空気が冷たくなった。なのに、もぞもぞと動いている口の部分は荒い息で暖かくなっていて、嫌でもクロウの顔がそこにあることを思い知らされてしまって。
「汗臭い」と言う単語が有るくらい、自分の体臭なんてものは「嫌な物」でしかないのに、その臭いの元の一つを熱心に嗅がれるなんて耐えられない。
それなのに、クロウは。
「ツカサ……ハァ……は……舐めたい……」
「うぇえっ!?」
「めくるぞ、ツカサ……」
「やだっ、やだやだやだやだあ!! 馬鹿何考えてんだよばかーっ!!」
「ツカサ君、顔赤くなってて可愛いねえ」
「お前も止めろよブラック!」
「止めてあげたいけど、こういう事はちゃんとしないと後々困るから」
何が困るんだよバカアホ間抜け!
もう何でもいいからやめてくれよ、これ何プレイ? 何プレイだよ!
チクショウ、さてはブラックの野郎最初からこうなる事を解ってて俺を半袖一枚にしやがったんだな。俺が恥ずかしがれば何でも良いのか変態めええ!
「あ、あとで覚えてろよブラック……っ!」
「やだなあツカサ君、言われなくても君のいやらしい姿は全部覚えてるから大丈夫だよっ! 僕記憶力凄く良いからね、えへへ」
「ちがっ、お、おまえなあ!!」
キャピッとウインクしてんじゃねーよタコ!
お前どんだけ俺に心の中で罵倒されたら気が済むの!!
こんな事してる間にも、クロウが俺の半袖を捲って再び顔を近付けて~……ってうわああ! いいいいつの間にいいい!
「クロウ! だめっ、だめだってば!!」
「そういえば、ツカサは脇毛も無かったな……生えてないのが勿体ない」
ちょっと残念そうな顔をして俺の脇をまじまじと見やるクロウに、俺はイラッと来て即座に反論した。これ以上男の沽券を傷つけられてたまるか。
「し、失敬なっ! 大人になったら生えますっ、お前らなんぞメじゃないくらいに剛毛でマッチョでカッチョ良くなる予定なんです!!」
「楽しみだねえ。ふ、ふふふ、生えたら僕が剃ってあげるねツカサ君……」
「ああああ剃毛プレイぃいい……」
なんでこの人そんな多彩なプレイ知ってんの。青年時代に女と沢山遊んだって言ってたけど、その時に俺がズリネタにしてたようなこと全部やったの。
なにそれ悔しい怖い。イケメンなんて全員軽く捻挫してしまえ。
ブラックとクロウを交互に睨み付けるが、やはり効果はない。そんな俺の無駄な努力をあざ笑うかのように、クロウは軽く口を開けて、見せつけるように舌を出すと俺の脇の窪みに荒い息を吹きかけながら顔を近付けて来る。
「ツカサ……」
「あ、あぁあ……」
荒い息を吹きかけて、クロウがゆっくりと脇を下から舐め上げる。
そんな所を舐められるなんて思っていなかった俺の体は、少しざらついた独特な舌の感触に思いっきり反応してしまった。
「ぃっ、あ、やだっいやだっ! そんな、とこっ、なめんな……っ!!」
舌の先端を尖らせて脇の窪みを余すところなく舐めるクロウに、俺は羞恥で耐え切れず情けない声で拒否をする。
だけど、クロウもブラックも俺が嫌がるのが楽しいのか離してくれない。
「はぁ……っ、は……はぁ、ツカサ……お前は本当にどこもかしこも美味いな……強い匂いのせいで勃起してしまいそうなのが辛いが……」
「ひっ、や……馬鹿……っ、ばか、ばかっ変態ぃい……!」
「んん? じゃあ、その変態熊に脇を舐められて感じちゃってるツカサ君は、この熊公以上に変態って事になるけど、いいの?」
「ぅえっ……」
何を言っているんだとカッカする顔でブラックを見上げると、相手はニッコリと人懐こい笑顔で笑って、俺の熱い頬を舌で舐め上げて来る。
「ほら……恥ずかしくて顔が真っ赤になってるのに、今ちょっと腰が動いたよ……僕達にエッチな事をされて、おちんちんがきゅんとしちゃったのかな? ふふ……これで変態じゃないなんて、ツカサ君もよく言うなあ……」
「うぅう~っ……!!」
「あは、可愛いなぁ……こんな事でもう涙目なんて……。ああそうか、ツカサ君は淫乱だから、変態じゃないんだっけ? ごめんごめん間違えちゃったね」
違うっ、どっちも違うのに……!!
言い返したいのに、クロウに鼻息荒く何度も何度も脇を舐められて、ブラックにキスをされたり首筋にちゅうちゅうと吸い付かれると、どんどん下半身に重たい熱が溜まって行ってしまう。
男の体なんて、いやらしい事をされればすぐにおっ勃っちまう訳で、そんな事は充分に解っているけど、でも解っていてもこんなの耐え切れない。
「もっ……や、だ……くろう、も……やめてよぉ……っ」
「駄目だ……まだ足りない……。もっと食わせろ……!」
橙色の綺麗な目が爛々と輝き、俺の顔を見上げてくる。
その表情は獲物を喰らう飢えた獣そのもので、俺は背筋にゾクゾクとしたものを感じずにはいられなかった。……これが、悪寒だったらどんなに良かったか。
泣きたくなる感覚に内心悔しさを覚える俺に、ブラックは笑いながら囁く。
「ああ……用事なんてなけりゃ、今すぐにでもセックス出来るのになあ……。ねえ、ツカサ君……これが終わったら、一日中宿にしけこんでセックスしようね」
こんな風に理性を保ったまま羞恥プレイをさせられるくらいなら、思いきり意識を飛ばしてバカになるくらいの快楽を得られる、そっちの方が良いかも知れない。
「舐めるだけ」がこんなに辛いなんて、思ってもみなかった……。
「ツカサ君……ねぇ、キスして? 熊公ばっかり楽しんで、つまらないからさ」
お前がそう仕向けているんだろうが、と頭の中で消えきれずに残っている理性が喚き散らしたが……間近に有るブラックのだらしない顔に、俺は無意識に顔を寄せてしまっていた。
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