異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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パルティア島、表裏一体寸歩不離編

 酒と依頼と色気と男2※

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 暫く、適当なことを言いつつ飲み続ける。
 数回呑み込んでいたら、何故だか酒のきつい味も気にならなくなってきて、俺はケタケタ笑いながらブラックにコップを突き付けた。

「おい、ブラック! もっとつげ!」

 お前一緒に飲みたかったんだろうが、ホレホレ、さっさとつがんかい!

 ほんのり顔が赤いブラックに勢いよく言うが、相手は微妙な顔をするばかりで酒をいでくれない。なんだよ、ノリ悪いな。

「ツカサ君……きみ、酔うと笑い上戸になるんだね……」
「は? 笑い上戸? 俺シラフだけど」
「…………」

 訳の分からないことを言うブラックが、軽く溜息を吐く。
 何事かと思ったら、残り少なくなった梅酒の瓶を無言で頭に乗せた。
 何とも言えない顔で、無言で、頭の上に。

「ふはっ……ひっ、あははっ、あはははは! 瓶て! 瓶を乗せるって!! 意味わかっ、あははっ、ははははは!」
「…………ツカサくーん……やっぱ君酔ってるって……負けだってばぁ」
「ファーッ、な、なにその口調っ、アナゴさんみたひっ、あはっあははははは」

 ヤバいマジうけるんですけど。ツカサくぅんて、くぅんって!
 はーヤバい、もうこのオッサン急に面白くなって何なんだよ。俺お腹痛いんですけど。さっきまでつまんねー顔してたのにやるじゃん。
 椅子の背もたれに思いっきり背を反らして笑う俺に、ブラックはやっぱり仏頂面だ。なんだよもー、ノリ悪いなー。

「ツカサ君、僕達勝負してたよね?」
「はー? 勝負ー?」
「負けたら相手の言う事を聞くって」
「にゃにそれ。そんなのいったっけ?」
「……だめだこりゃ……。意思疎通どころの話じゃないや」

 何言ってんのこの人、会話ならちゃんと成立してるじゃん。
 勝負。勝負ってなんだっけ?
 あ、そっか。そう言えば俺達酒豪勝負してたんだった。
 え、でももう勝ち負けとかどうでも良くない?

 もしかしてブラックったらあれか。勝負を忘れて飲んでたのが気に入らなかったのか。やだなー。もう、おこちゃまなんだから。
 あはは、なんかブラックが拗ねてる顔が可愛く見えて来たぞ。
 仕方がない、ここは俺の負けにしといてやるか。

「勝負、覚えてるぞ勝負! 良い良い、俺の負けでいーからさ、そんな顔すんなって! なんだおら、なんでもいってみ? あははは」
「何でもって……ツカサ君がそんな調子だとなあ……そうケタケタ笑われたら勃つモノも勃たないっていうか」
「ファ? タッツー?」

 何を言ってるんだこのオッサン。
 訳の分からん事をごちゃごちゃと言いおって、なんだか男らしくないな。

「ツカサ君、お風呂でも入ってきなよ。今日は疲れただろう? 約束を果たすのは明日でもいいから……」

 約束。負けた時のいう事を聞くってやつか。
 いや、あと二回残ってる「お礼」の方だっけ?

「約束って、えっちのこと?」
「えっ……えっちって……」
「ほら、アレ。あのー、セックス」

 さらっと言うと、ブラックは鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔で俺を見る。
 なんだよー、本当今日のコイツ意味ワカンネ。俺だってなあ、今日みたいに無敵な感じになると、こういう単語だってな、こう、スパッと言えるんだよ!
 あはは、でもなんだろ、超気持ちよくなってきやがった。
 今なら俺空飛べそう、めっちゃ楽しい。

「せ、せっくす、って。つ、ツカサ君、えっ……やるの?」
「は? お前ヤりたいんじゃないの? しないなら別に良いよ?」
「いやいやしたい! 凄くしたい! えっ、でも、良いの……?」

 恐る恐る聞いて来るブラック。
 へー、いつもなら俺の方が縮こまっちゃってんのに、今日はブラックの方がビクビクしてら。なんか面白い。そっか、こうすればいいのか。簡単じゃん。
 俺がグイグイ行けば、ブラックだって圧倒出来るって事なんだな。

 俄然やる気が出てきた俺は、椅子から立ち上がってブラックに近付いた。
 ブラックが俺を見上げて来るのが今は何だか面白い。立場が逆転したみたいで楽しくて、俺は調子に乗ってブラックの無精髭でざらざらした頬を手で包んだ。

「ね、えっちしたい?」

 余裕綽々の笑みでそう言ってやると、ブラックは涎でも垂れそうな顔をして頷いた。本当、情けない。こいつ本当に俺より年上なの?
 年齢的には俺の父さんに近いんだろうに、俺とえっちしたくて素直に頷いちゃうんだ。堪え性ってもんが無いんだな。そんなに俺が抱きたいんだ。

 そう考えると、何故だか熱い身体が更に熱くなったような気がして、俺は目を細めて微笑んだ。

「へー。……じゃあ、どんなことしてほしい?」
「い……いいの……?」
「今日は気分いーから、いいよ」

 にっこり笑って言ってやると、ブラックは目を輝かせて荒い息を吐いた。

「ぼ、ぼくの……うえに……」

 口がワナワナしてて、うまく喋れないみたいだ。そんだけ嬉しいのかな。
 この前からずっと俺をからかってやがったから、気分良いな。

 ブラックは興奮しっぱなしで、まるで目の前のエサに涎を垂らす犬みたいだ。
 そんな相手を見下ろしながら、俺は包んだ頬をゆっくりと指でなぞる。
 ブラックはその度にびくびくと顔を引き攣らせて、鼻血でも出しそうなほどに顔を真っ赤にしていた。こんな顔、そう言えば見た事ないかも。
 ……もっと挑発したら、面白いかな?

 俺はなんだかブラックに意地悪したくなって、ニヤニヤしながら腰を落とした。
 勿論もちろん、椅子に座っているブラックの上に。

「ボクの上にって、こういう事?」
「つ、つつつつかさくっ、そ、そんなっ」
「んー? 何?」

 顔を向かい合せて座る座り方は、相手の熱を如実に感じる。
 ちらりと下を確認すると、ブラックの股間はもう薄らと盛り上がっていて、俺に対して興奮しているんだと思ったら余計に面白かった。
 いつもは逆なのに、なんか気分が良い。

 もっと困らせてやろうと思って、俺はずりずりと体を近付けた。
 ブラックの股間に、俺の股間が触れる。思わずびくついた相手が可愛く思えて、俺は悪戯とばかりに自分の股間を軽く擦りつけた。

「あっ……は、ぁあ……っ」
「ふふっ、気持ちいーか?」
「そ、そんな事して、大人をからかって……っ」
「おっきくなってるくせに、大人ぶるのってサイテーじゃね?」

 ブラックの腰を両足で捕えつつ、ゆっくりと腰を動かしてふくらみを股間で刺激してやると、ふくらみはどんどん大きくなる。元々堪え性のないオッサンだからか、俺が四五回腰を動かしてやると、もう太腿で挟めるくらいに育ってしまった。

「ねぇ、気持ちいい?」
「ふぐっ……う、そ、そんな顔で……っ」

 そんな顔ってどんな顔だよ。
 不思議に思って首を傾げると、とうとうブラックの鼻から赤い筋がつうっと流れ出した。やばいウケる。マジで鼻血だしたよこのオッサン。

「あははは! 鼻血ー!」
「つ、ツカサ君がいやらしい事をするからでしょ!」
「こういうの嫌い? じゃ、やめる」

 さっと飛びのくとブラックは呆気にとられた顔をしたが、鼻血を拭いながらゆっくりと立ち上がって来た。近付こうとして来たので少し距離を取ってみると、一目で分かるくらいにズボンが前に引っ張られてるのが判る。
 俺はそれをまじまじと見て、感嘆かんたんの溜息を吐いた。

「はー。お前本当ちんちんでかいなー」
「ち、ちんちんって……ツカサ君の世界ではそう言うの?」
「え? 別に色々言い方あるよ?」

 ぺらぺらと色んな言い方を披露してやると、ブラックは目を瞬かせながら聞いていたが……唐突にニヤニヤ笑い始めた。
 なんだよ、余裕ぶりやがってムカツクな。

「ツカサ君、そういう事を言ってて恥ずかしくないの?」
「はぁー?! 恥ずかしくねーし!」

 何をバカな、と言おうとした俺の腕をブラックが掴む。
 ふわふわした感覚が抜けなくて抵抗できなかった俺は、いとも簡単にブラックの腕に捕えられてしまった。
 酒臭い相手の息が嫌で背を向けて逃げ出そうとするが、それも叶わない。
 ブラックは暴れる俺を背中から抱き締め、俺の耳元に暑い息を吹きかけた。

「僕のペニスを握って、今から自分は犯されるんだって思いながらでも……そんな勝気な事言える?」
「……はぇ?」
「ねえ、ツカサ君のせいだよ……? こんなに興奮させて、煽ってさ……。今日はしないでおこうと思ったのに、ツカサ君のお蔭で止まらなくなっちゃったよ」

 カチャカチャと下で音がする。
 何の音だかわからずにいると、急に下半身がすぅっと冷たくなった。

 けれどそれに驚くに間もなく、背後から尻の谷間にぎゅっと熱い物が押し付けられる。それはとてもぬるぬるしていて、気持ちが悪かった。
 な、何これ。俺ズボン履いてたはずだよな?

「ねえ、触ってみて」

 舌がねっとりと耳たぶを舐めてくる。
 濡れた耳たぶが熱い息で更にだって、俺はそこで初めて鋭い感覚を覚えた。
 今までのふわふわとした感覚が弱まって来て、徐々に自分が何をしているのかを理解し始める。だけど完全に理解する前に、俺の手はブラックによって後ろへと引き寄せられていて。

「ふあっ……!?」

 手に、熱くて硬い、濡れた物が触れる。
 その正体が何だか判らなくて混乱する俺に構わず、ブラックはしっかりとソレを俺に握らせた。

「ツカサ君のせいで、こうなったんだよ……」

 はぁはぁと荒い息が耳に送り込まれる。くすぐったくて堪らず、身を捩って逃れようとしたけど叶わない。手を離そうとするが、ブラックの大きな手が俺の手を上から抑え付けて、強引に背後の硬い何かを扱かせた。

「うっ、うぁ、なにっなんかぬるぬるする」
「何って……いつもツカサ君が犯されてる物だよ? ほら、これからこのペニスで犯されるって考えながら触ってごらん……?」

 おか、され……。
 ……あれ、俺、何考えてたんだっけ。この握ってるのって、ブラックの?
 俺どうしてブラックにこんな事されてるんだ。っていうか何で俺も下半身すっぽんぽん、いや待って、それより先に俺なにこいつ挑発してんの!?

「あっ、や、やだ、ブラックちょっと待っ」
「待てない。全部ツカサ君のせいだからね。丁度いいから、二回目のお礼……いや、セックスしようか」

 言うなりブラックは俺の上半身をテーブルへ押し付けて、腰を高く上げさせた。

「あ、やだっ、待って、待ってったら……!」
「待たない。大人をからかう様な酒癖の悪い子には、きついお仕置をしないとね……僕以外の奴にもこんな事をしたら困るし」

 片手をブラックに取られているから、うまく起き上がれない。
 今更ヤバいという思いが込み上げて来て、俺は必死にブラックを振り返った。

「ブラック、ちょ、まって、アンタ足怪我してるのにっ」
「足? ああ、そうだったね……じゃあこうしようか」

 後ろで何かが動く音がする。すると、尻になじみのある冷たい液体が流れてきた。こ、これ回復薬じゃんか、あんたまた勝手に!
 驚いて体をびくつかせる間もなく、腕を引かれて一気に起き上がらされる。
 どん、とブラックの胸に背中が押し付けられて、また頭の上に声が降って来た。

「ちょっとキツいかもしれないけど、お仕置だから我慢して」

 低い声で囁かれた刹那――――
 俺は、下から勢いよく自分を穿つ衝撃に悲鳴を上げた。

「っあぁあああ゛ッ! ひっ、ぃ゛……ぅ、ぅああ……」

 逃げようと腰を浮かすけど、足が震えて立てない。
 椅子に座ったブラックに下から突き刺されて、俺は息を継ぐことも出来ずに引きる事しか出来なかった。

 ゆっくりと、ブラックの怒張が俺の中を侵食していく。
 久しぶりの感覚はあまりにも辛く苦しくて、俺は熱くなった頬に涙を流しながら必死に喘いだ。

「ぶら、っく……い、いた……ぁ……」
「痛い? 嘘でしょ、ツカサ君のココは血も流してないし……慣らしてないのに、こんなに素直に僕のを銜え込んだじゃない。だから、ほら」

 腰を掴まれて、思いきり引き落とされる。
 その最中に先端が俺の前立腺に触れて、思わず俺は体を仰け反らせてしまった。

「っあぁあっ! ひっ、ひ、ぁっ、っあぁ……!」
「気持ちいい所に当たった?」
「っう、ぅう……ば、かぁ……」

 思いきり擦られて、腰にじわじわと熱が溜まってくる。
 慣れたくもないのに慣れてしまった体は、認めたくはないがしっかりとブラックのモノに反応して、今もその質量に反応していた。

 だけど、ブラックは俺を突き刺したまま動く事は無い。
 腰を両手で固定したまま俺の熱に触れてくれず、ただ俺の後ろでくすくすと笑いながら俺の中を楽しんでいた。

「な、んで……」
「動かないのかって? お仕置だからだよ。気持ちよくなりたかったら……自分で動いてごらん?」
「ふぇ……!?」
「動かないと、終わらないよ」

 冷静そうな声が、真実味を抱かせる。
 俺がこんなに苦しいのに、ブラックは動いてくれない。
 背後だから顔も解らないし、体に触ってもくれなかった。こんなの、酷い。
 ただ俺のナカにあるブラックの熱がどくどくと脈打ち動くのを感じる事だけしか出来ず、俺はたまらなくて腰をひねった。

「っあ、あぅう……っ」
「そうそう、その調子……ああ、自分で触ったらお仕置だよ」

 バカ、なんだよ。俺別にお前に悪い事なにもしてないのに、そんなの殺生過ぎるだろ。下から串刺しにされて必死に耐えてるのに、自分で気持ちよくなっちゃいけないのかよ。その上、じ、自力で動けだなんて……。

「ほら、腰を上げて……」
「う……ぅう……」

 優しく言われて、俺は震える足で必死に体を浮かせる。

「っ……いいよ……またゆっくりと座って……」

 ずるずると引き抜かれた熱塊を、自分の意思で必死になって飲み込む。
 椅子に腰かけようとするように足に力を入れて腰を下ろすと、内部を広げてぎっちりと嵌ったその熱が俺の体内を擦りあげてくる。
 引き抜いて、浅く腰を掛けるだけでも、もう自分の股間が熱くてどうしようもなくて、足が勝手に内股になって行った。

「あっ……あぁ……あ、ぅ、うぅう……」
「随分と、可愛い……動き方だね……っ。はは、やっぱり……お酒に酔ったくらいじゃ本当に大胆にはなれないのかな……?」

 背筋を舌で辿られて、思わず歓喜の声が漏れる。
 久しく愛撫を受けていなかった俺の体は、もうブラックに触れられるだけで敏感になってしまっていた。

 こんなの、初めてで、どうしたらいいのか解らない。
 ただ気持ちよさともどかしさが頭の中でぐるぐるしていて、気付けば俺は半泣きで腰をくねらせていた。

「っ、あ……ぁああ……」
「上手く出来なくて、辛いの?」
「ぅっ、うぅ……」
「僕に思い切り貫いてほしい……?」
「んっ……んぅう……」
「うん、って素直に言えば、思う存分突き上げてあげるよ……」

 思う存分。このもどかしさを吹き飛ばしてくれるくらいに?
 俺の、この、中心に溜まった熱を吐き出させてくれるくらいに……?

「ツカサ君……気持ちよくしてほしいんだよね……?」

 低く耳に残る心地いい声が、俺に囁きかけてくる。
 その声にそう言われると、俺は、もう。

「うっ……うぅ……し、して……気持ちよく、してよぉ……っ」

 情けない泣き声で、ねだる。
 ブラックはそんな俺の声を聞いて――――腰を掴んだ手に思い切り力を入れて、根元ぎりぎりまで俺の体に熱塊を打ちつけた。

「っあぁああ!!」
「ふっ、ふははっ、はっ、だ……だめだっ、くせになりそうだよ……ッ」

 ――ツカサ君を酔わせて思い通りにするのが。

 そんな声が聞こえたが、俺はもう怒る事も反応する事も出来ず、ただブラックが与えてくれる快楽に溺れて喘ぐことしか出来なかった。
 ずちゅずちゅと耳に届く水音が頭を犯す。
 深く突き刺され、勢いよく引き抜かれると、前立腺が強くこすられて自分の熱が強く脈打った。深い所まで届く感覚が、思考を根こそぎ奪っていく。

「も、っと……ぅあ、ぁああっ……もっと、つい、てぇっ……!」

 頭がぼうっとする。さっきよりも浮遊感が強くなって、より鋭敏に与えられる快楽が襲ってくる。その強い衝動は俺の理性を完全に奪った。
 もう、なんでもいい。ブラックがしてくれることが気持ちいい。

 そんな俺の声に応えるかのように、ブラックが一際俺の中に強く熱を突き入れた。前立腺を押し込み、奥に届く程に深く自分を穿った感覚に、俺は喉を反らせて酷く高い声を出す。

「っあ、ぁあぁああっ……!」

 自分の熱が吐き出される感覚がして、俺は意識を手放した。









 
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