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イスタ火山、絶弦を成すは王の牙編
イスタ火山―休息―2
しおりを挟むここは通路の奥の方だし、よっぽど騒がなければ誰も気付かない。
壁だって防音仕様なんだから、俺が戸惑わなければすぐに終わるはずだ。クロウがどれほど怒っているのかは解らないけど……とにかく、やるしかない。
バッグを床に置いて、そこに脱いだものを乗せて行く。
ベスト、武器、シャツ、ズボン……俺が身に付けている物はそう多くない。
胸当てなんかも持ってるんだけど、意外と重く今の所はお宿で磨くだけに留まっているので、よくよく考えたら俺は紙装甲だ。
こんな事になるなら鎧でも着込んでおくんだったと目の下がカァッと熱くなるが、今そんなことを言ったって仕方がない。
こ、こういうのは何回かやらされたことが有るし、ヘタに恥ずかしがっていたら、相手に余計不快感を与えてしまう。我慢しなきゃ。が、我慢して、パンツも……。
「早く脱げ」
「ぅ……ご、ごめん……っ」
靴と靴下はそのままでいいと言われて、俺は自分の格好が余計に変態臭い事になるのを想像して震えた。……べ、べつに、見られて困るもんなんてないけどさ。
えっちな事をしてるワケじゃないんだし、クロウは俺の反省の気持ちを見たいと思って恥ずかしい事をさせてるんだから、こんなのは恥ずかしい事じゃないはずだ。
銭湯でだって、自分の裸を堂々と見せたりするじゃないか。
だから、裸なんて普通なんだ。俺に、恥ずかしい所なんてどこにも…………いや、うん、正直、色々揶揄されてる下半身を見せるのはやっぱ恥ずかしいけども……。
しかし、クロウが見ている以上躊躇う事は出来なくて、俺は下着に手を掛けた。
「…………」
手が震えているのが自分でも解る。
男らしく脱ぐって決めたのに、本当に情けない。だけど、近い場所にブラックだけじゃなくラスターやアドニス、リオル達もいるのに、裸になるなんて……やっぱり、気合だけじゃどうにもならないくらい体が強張ってしまう。
見られる心配は無いんだと理解していても、自分の中の常識的な部分が酷く惨事を怖がって、体を勝手に震わせてしまっていた。
そんなんじゃ、ないのに。
俺は、クロウに許して貰うために頑張らなきゃいけないのに。
「手が震えているな。やはりオレのいう事など聞けないか」
「ち、ちがっ、違う、脱ぐよ……! これは、その、緊張してるだけだから……」
ちくしょう、こうやってグダグダ悩んでるから悪いんだ。
ええい、ままよ!
「っ……!」
一気にずり下げて、慌てながらも下着を足から引き抜く。
ちょっとよろけたが、背後の文字が刻まれた壁に手を付いて体重を支えた。
……ああ、ついに脱いでしまった。俺の装備は、もうリストバンドと靴下と靴しかない。目の前のクロウには全部見えてしまっているのだ。
その視線を感じるのが恥ずかしくて、俺は無意識に股間を隠そうと手を伸ばす。
だが、その手は両方ともクロウに掴まれてしまった。
「いっ……」
ぎりっ、と音がするような気がするほど、強い握力。
思わず顔を歪めた俺に、クロウは無表情な顔で言葉を投げかけた。
「隠すな。両手を上げて後ろに組め。足も大きく開くんだ」
「そんなっ……」
「イヤだ、と?」
段々とクロウの口調が端的になってきて、苛ついているのが判る。
冷たい目でそんな風に言われると、もう何も言えない。
まだ恥ずかしさはあったけど……それ以上にクロウに失望されるのが怖くて、俺は観念して手を挙げた。
「っ……く……」
今までずっと締めてたせいか、手を上げると脇に冷たい空気が当たって恥ずかしくなる。足も同じように広げようと思ったけど、膝が震えてうまく出来なかった。
そんな俺に舌打ちをして、クロウは俺の太ももを掴むと強引に足を広げる。
「っあ……!」
「なんだ、もうやめるのか」
「あっ……あ…………」
足を、大きくてざらついた手が掴んでいる。
太ももの肉に思い切り指を食いこませて、俺の意思など関係なく恥ずかしい場所を曝け出していた。それがどうしようもなく俺の羞恥を煽って、体温を上げる。
空気に触れたソコのすぐ近くにクロウの指が有るんだと思うと、体が緊張して、その場所に触れても居ないのにお腹の奥がきゅうっとなった。
は……裸をクロウやブラックに見せる事なんて何度もあったはずなのに、それでも恥ずかしい恰好をクロウに見られているんだと思うと、どうしようもなくなる。
股の間がすーすーしてて、足の震えが自分でも分かって泣きたくなった。
「相変わらず幼い肉棒だな。これで射精できるのが不思議なぐらいだ」
足を開いたまま動けないでいると、クロウは指の先で俺の愚息の先端を擽る。
それが酷く大仰に感じられて、俺は思わず腰を引いた。
「ぃあっ、あっ、やっ……クロウ……っ!」
思わず膝を閉じそうになったが、手に押さえられてしまう。
何とか逃げようとした体が後退して、尻が壁にぶつかった。デコボコした冷たい壁に驚いてしまって背を伸ばしたが、もう遅い。
逃げようとする俺を見ていたクロウは、目を細めて冷たい声で呟いた。
「オレに触れられるのは嫌か」
声が、また怒っている。
慌てて首を振ると、クロウは不機嫌そうに少し眉根を寄せた。
「逃げるのはオレに触れられたくないからではないのか?」
「ちっ、違うよ。その……だって、こ、こんな恥ずかしいカッコ、してるから……」
「なんだ、散々躾けられたのにまだ恥ずかしがっているのか。愛しいブラックに何度も野外で犯されたんだろう?」
「ひっ、ぅ、ぃぁっ、あ……! やっ、ぁう……っんぅう……!」
曝け出した股間を、大きな手で包まれて緩く揉まれる。
クロウの掌が大きいせいで、全部手の中に納まってしまっていて逃げ場がない。
だけど足も閉じられず、急所を緩く揉まれて会陰まで指で撫でられる。掌で大味に弄られているのに、指がその動きに合わせて会陰を擦ってくるから耐え切れない。
前はソコに何かされても耐えられていたのに、一緒に撫でられると下腹部が余計に熱くなって俺のモノまで変な感じになってしまう。
前にブラックが「ここも性感帯なんだよ」とか言ってたけど、いざそこを触られて愚息が反応してしまうと、言いようのない悔しさに駆られた。
だって、そんな何もない所を触られて興奮するなんて……本当に、女みたいで。
胸はまだ判る、尻だってまあよしとしよう。だけど、女の子のように何かあるワケでも無いその場所を撫でられて体をびくつかせるなんて、どうしても俺には我慢出来なかった。正気の今なら、なおさら。
「く、ろう……や……も……そこ、やだ……っ」
「……いや?」
「あっ……」
クロウの声がまた怒ったように歪む。
……だ、だめだ。今のクロウには逆らえないし、拒否の言葉なんて言えない。
イヤって言っちゃ駄目なんだ。
俺は慌てて首を振って「イヤじゃない」と返した。だが、クロウは俺のことを不機嫌そうに見つめて、片眉を寄せた。
「イヤじゃないならなんだ。はっきり言え。何が、どうしたのか」
「う……」
「正直に、何もかも暈さずに言えば……ツカサのことを、許しても良い」
「ほ、ほんと?」
「なにを、どうしたのか。……言えるな?」
それって、つまり……俺の今の状態を、包み隠さずに言えって、ことだよな。
隠さず……恥ずかしい言葉で、直接言わなきゃ行けないわけで……。
…………で、でも……言わなきゃ……。
クロウに許して貰おうって決めたのは俺なんだから、こ、こんな格好してるんだし、今更……。ええい、覚悟を決めろ俺っ、男らしくないぞ!
言う、言えばいいんだ。クロウは笑わないんだから、素直に言えばいいんだよ。
クロウが言えって言ってるんだから、何も怖がることなんてない。勇気を出せ。
じゃないと、この恥ずかしい行為も終わらないし、クロウの怒りだって、鎮まらないし……それに、こ、この……ずっと、もどかしいぐらいにゆっくりと股間を包んで揉みしだく手だって、離れない、わけで。
「…………っ、お……」
「ん?」
クロウの橙色の目が俺をじっと見る。
それがまた俺に羞恥を覚えさせて、顔が痛いくらいに熱くなった。
絶対、ユデダコみたいになってる。そんな自分を想像すると情けなくて、とてもじっとしてなんていられない。逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど、でも、俺は必死にそれを堪えて……勝手に震えてしまう声で、クロウに伝えた。
「ち……ちんちん、揉まれて……会陰、のとこ……指で、撫でられたら……その……勃っちゃい、そう……だから……恥ずかしくて……っ」
そう、勃起しそうになっている。
だけど自分のその感覚を人に伝えるのは、憤死するほど恥ずかしい。
自分がどういう行為で興奮したのかなんて本当は伝えたくなかった。だって、こんな恥ずかしい姿で感じて、興奮してるなんて思われたくなかったから……。
「泣きそうだな、ツカサ」
「ぅ……」
「ちんちん、じゃないだろう? ブラックに躾けられた、可愛い言い方が有ったはずだが。それとも俺には勿体なくて使えないか」
「ちがっ……ち、がうぅ……」
嫌だ。涙が出てくる。
たかが裸にされて、股間を揉まれているだけなのに。野外でこんなことさせられて、恥ずかしいってだけなのに。それを、俺って奴は我慢も出来ないで……。
「違うなら、言えるな。……オレの手で、どこがどうなっているんだ?」
クロウの声が、俺の耳にしみこんでくる。
それだけで体がぞくぞくして、揉まれている場所が余計に敏感になった気がして、俺は鼻を啜りながら眉間に痛いくらいに皺を寄せた。
そんな顔しちゃいけないって自分でも解ってるのに、もう、堪え切れなかった。
だって、クロウは怒ってて、俺は裸にされて恥ずかしい所を弄られていて、しかもすぐ近くにブラック達がいるようなダンジョンの中で、こんな事を言わなければならないなんて。そんなの、拷問と同じだよ。
ここは隠し部屋だと解っていても、見つかったらどうしようという恐怖と、そんな中で興奮している自分への悔しさと恐ろしさが沸き上がって来て、何だかもう色々な事が襲い掛かって来るのに耐え切れなかった。
俺、こんな見せつけるような格好なんてしたくないよ。こんなの、恥ずかしい。腰を無理に引かれ、クロウに股間を見せつけるような恰好をして、そこを揉まれて感じているなんて信じたくない。こんなの、嫌だ。恥ずかしくて、死にそうだった。
だけど、俺がそう感じるのを解ってて、クロウは俺に罰を与えているんだ。
俺が嫌だと思う事を強制的にやらせて、俺が拒否するかどうかを見ている。
本当に許されたいのかと、射抜くような視線で俺を試しているんだ。
そこまで、俺は……クロウを失望させてしまった。
…………嫌だ。やだ、これ以上クロウに嫌われたくない。
ブラックの時と同じだ。嫌われる覚悟と、抱かれる覚悟をして、ブラックに会いに行ったあの時と。だけど、今はあの時以上に辛い。それはどうしてなんだろう。
何で俺……あの時以上に、震えてるのかな。
「ツカサ」
急かすように言われる。
その言葉が怒った口調ではないかと一々気にしてしまって、体が股間からの刺激とは別の衝動にびくりと震えてしまう。
その衝動が何かも判らないまま……俺は、涙声になりかけている情けない声を必死に抑えて、言わなければいけない事を震えながら零した。
「お……おちん、ちん、が……クロウの、手で揉まれて……じんじんして、お腹の奥が熱くなって……でも、こ、こんな状況なのに、勃つなんてって思って、だから……恥ずかしくて、これ以上……体が、熱くなるのが、怖くて…………」
精一杯。精一杯、頑張って伝える。
もう声が堪えられない。恥ずかしさで死にそうで、最後の方は小さな声になってしまった俺を、クロウは冷静な目でじっと見つめていたが……
「ツカサ。ここを、どうして欲しい? 可愛く素直に言えば……応えてやるぞ」
許すと言うでもなく……また、突き放される。
それは、俺にとっては死刑宣告をされたも同然だった。
だって……これって、つまり……「ソコを弄って下さいってお願いしろ」って命令されてるんだろ。クロウは、俺の事をまだ許していないんだ。
それどころか、今以上に恥ずかしい事をさせようとしている。
きっと、クロウが望むような事を言っても、まだ俺は許されないだろう。
……でも、これ以上エスカレートしたら……どう、なるんだ。
「ぅ、あ……っ、ん、んぅ。う……っ」
「オレを“ないがしろにしていない”のなら……言えるだろう? ツカサ」
少し強く揉まれて、思わず背中が反る。
どの道、俺に拒否権は無い。そう言っているかのような乱暴さだった。
→
※すんません辱めまだ続きます…
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