異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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ラゴメラ村、愛しき証と尊き日々編

27.一つ答えるだけでも大変

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 明日は一日一緒だよわぁい。などと洗脳のようにベッドの中で言われ続け、体中をベタベタ触られまくってやっと寝られたのが夜半過ぎだっただろうか。

 体感たったの数時間程度の睡眠で起こされた俺は、朝もはよからベッドの上に座らされていて、髪も整えないままでボーッとしていた。

 ……ああ、いかん……日が昇る前に朝食の用意を始めないと……毎日のサイクルが狂うと翌日に支障が出る、面倒臭がりの俺が一度狂ったサイクルを治せる訳がないんだ、どうにかシャキッとしないと……。

「えへ……ツカサ君おはよぉ……」

 ぼけっとしたまま起きようと頑張っている俺に、俺を座らせた張本人のブラックが這い寄って来て、俺のシャツの中に頭を突っ込んだ。

「んはぁああ……あったかぁい……」

 起こしたのは自分なくせに、起きるどころか俺の服の中でもう一眠りしようとしてきやがる。やめろ、服が伸びる。
 やーめーろーと引き剥がそうとするが、ブラックはお構いなしにシャツの中をずんずん登って来て、冷たい鼻先を心臓の所にくっつけて来た。
 そうなると流石に俺もちょっと目が覚めてしまい、思わず反応してしまって。

「ぶ、ブラックやめろって……っ」
「やだよぉ、せっかく一日中いちゃいちゃ出来るのに……。今日はもう朝食とか洗濯とか良いから、一緒に居ようよぉ……」
「で、でも……」
「つかさくぅーん」

 甘ったれたような声を出して、ブラックは俺の胸にちゅっちゅと吸い付いて来る。
 胸の間を何度も吸われてしまい、俺は思わず反応してしまう。それに気を良くしたのか、ブラックは更に調子に乗って移動し始めた。
 その行先がどこかなんて、もう解り切った事で。

「やっ、ちょっ、だ、め、だめだったら……!」
「起きるんだったら、ツカサ君の乳首も一緒に起こさないとね~」
「だめっ、だっ、っぅああっ、やぁあ……!」

 そんな気も無くおさまっていた右の乳首に、ブラックの温かい息がかかる。
 反射的に体を固くするけど、ブラックはそんな俺に構わず軽くタッピングするかのように乳首に何度もキスを繰り返してきた。

 ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら弱い先端の部分を吸われて、体がだんだん熱くなって行ってしまう。こらえようと頑張っても、ブラックの息や、肌に触れて来るちくちくしたヒゲ、それにカサついた唇と、色んな刺激を肌で感じるたびに腰が動いてしまってどうしようもない。

 ブラックの口が乳首の先の所を軽く吸うようにキスをすると、ちょっとだけ濡れた舌に当たってしまい、内腿がきゅうっと勝手に反応してしまった。
 こんな簡単なことで感じてしまうなんて、恥ずかしい。
 っていうか、朝食! 朝食の用意!!

 流されちゃ駄目だと思い、慌ててシャツを捲ってブラックを引き剥がそうとするが、その行動を悟ってかブラックはそのまま俺を押し倒してきやがった。
 こ、このやろう、何が何でも続ける気だなコイツ……!!

「もうっ、ばか、ダメだって……!」
「あはは、可愛い乳首も起きたよツカサ君~」
「だあぁっ、もう! 朝食はしっかりと食べないと駄目なんだってばっ、頼むから朝からヤるのは勘弁して……!」
「えぇ~? せっかく乳首が勃ったのにぃ……?」

 言われなくたって、自分の体なんだからどうなってるかぐらい解ってるよ。
 でも、だからって流されてたら何も出来ないじゃんか。今日は一日一緒に居るって言われたって、ベッドの上で一日中ってわけじゃないだろさすがに。

「ぶ、ブラックだって、ずっとベッドの中に居たいワケじゃないだろ!? あとほら、あの、ブラック達が取って来てくれた美味しい肉を使って料理作って、お前らにご馳走もしたいし……!」

 美味い料理が食べられなくても良いのか、と言うと、ブラックは数分「うーん」と唸りながら悩んでいたが……肉料理の誘惑には勝てなかったのか、実に名残惜なごりおしげな動きでズリズリとシャツから顔を抜き取ると、口をとがらせつつ頬を膨らませた。
 おい、だからそれオッサンがやっても可愛くないんだってば。

「……それ以外はずっと一緒に居る?」
「う……うん……」

 可愛くないんだけど、でもなんか……ねられると、頷いちゃうっていうか……。
 お、おかしいな。俺ってこんなブラックに弱かったっけ。

「じゃあ、朝食食べる時もひざに乗せて良いってことだね! やったー!」
「はぁ!? 誰がそんな約束したっ」
「嫌なの?」
「…………い、いやじゃ……ないけど……」

 恥ずかしいからやめろと言いたいが、なんか、罵倒ばとうが引っ込んでしまう。
 なんでだろ……あれ……おかしいな……。
 いや、でも、まあ、約束はしたんだし、ブラックはいつもこんな感じなんだから仕方ないよな。最近勉強とか頑張ってて、セクハラぐらいの事しかしてなかったんだし、丸一日休みならって事でサカっても、まあ……。

「ツカサ君?」
「あ……い、いや、何でもない。さっさと髪むすんで顔洗いに行くぞ」

 ブラックに背中を向けるように言い、俺は違和感をぬぐい去る。
 何だか自分でもよく解らないけど、まあいいや。

 さっさとブラックの髪をかして結んでやろう。そう思いつつ、俺は手櫛てぐしで鮮やかな赤髪をほぐしてやりながら、無意識に小さく息を吐いていた。
 起き抜けだからかよく解らないけど、触られてあんなすぐに発情してしまうなんて俺もけっこうヤバいよな。やっぱその……欲求不満、とか……なんだろうか。

 でも俺今まで別にムラムラしてなかったし、ブラックに触られたせいでああなった訳で、俺が欲求不満なんじゃないよな、絶対。
 今のところ、すっきりしてるし……あれかな。ここに来てすぐの頃に、ブラックに最後までヤられたからかもしれないけど、それはともかく。
 だから、特別俺がスケベってわけじゃないはず……。

 しかし、こういうのだけは、もうちょい頑張って押し切れるようにならないと、俺ってばいつまで経っても流されちゃうよな。
 よし、今度はちゃんと駄目って言うぞ。いくら約束でも、メシを作る当番は俺なんだし、ブラックはともかくクロウに絶食させるのは申し訳ない。当番になってる事はきちんとやらないとな。掃除当番もサボると女子に怒られてたし。

「ねえ、そう言えばさあツカサ君」
「ん?」
「僕、他にも約束してたよね。ほら、どんな色が好きか言ってくれるって」
「っ……!」
「ねぇねぇ、どんな色が好き?」

 髪をく手が、分かりやすく止まりそうになる。それを必死にこらえて降ろしながら、俺は今更ドキドキしてきてどういったもんかと目を泳がせた。
 そ、そうだった、言わなきゃいけない約束してたんだっけ……。

 今更ながらになんて約束をしちまったんだと思うが、しかし約束して、ブラックもその約束のために頑張って大きな獲物を持って帰って来たんだから、言わない訳にも行くまい。さすがにここで意地を張るのは人間としてダメダメだ。
 頑張りには対価をやらねばならない。なにより……ここで拒否したら、ブラックの機嫌が悪くなるかもしれないんだ。そんな事態は引き起こしたくない。
 ちゃ、ちゃんとやらなきゃ……。

 そう思い、俺はごくりとつばを飲み込むと……――固い口を開いて、答えた。

「ろ……」
「え? なに?」
「だ、だから…………れ、いろ……」
「え~? 何色ー?」

 ぐっ……こ、こっち見ながら訊くんじゃねえ……!

 いや、でも、この顔は本気で聞こえてない顔だ。俺をおちょくってるんじゃない。
 マジで聞こえなくて困惑してるんだ。となると、こりゃあもう俺の声が小さいのが悪いんであってブラックにはなんにも非が無いわけで……ああもうっ、なっ、なんでこんなこと何度も言わなきゃ行けないんだよっ、バカッ、声が出ない俺の馬鹿!!

 だああもう!!

「っ、だ、だから……菫色すみれいろだって言ってるだろ!!」

 そう言って、俺はブラックの顔を前へと向けようと両手で鷲掴わしづかんだ。
 だけど、俺よりも何十倍も力が強いブラックは全然前を向いてくれない。ただ俺を目を丸くして見上げていて、もう、それが恥ずかしくて。

 顔がカッカして真っ赤になっているのが、自分でも解ってしまう。こんな顔をしていると何を意識して「菫色がすき」って言ったか感付かれるじゃないか。そうは思っても、自分の体なのにどうしようもなくて。

 頼むからもう見ないでくれよと涙目だったのだが……ブラックは、俺の表情に全てを悟ったのか、ぱあっと顔を明るくしやがった。

「ツカサ君、それって……!」

 う、ううう、見るな、そんな顔して見るなってば!!

 ああそうだよ悪いか、それしか思い浮かばなかったんだよ!!
 アンタの顔を見た時に髪の色と目が一番に入って来て、赤と紫かなって一瞬思ったけど、でも赤色はアイツも同じ色だし、だから、そんな綺麗な瞳の色はお前以外の誰も見た事が無かったから、菫色の方が好きかなって思って、でもそれって、そう思ったってことは、俺は、つまり……。

「ツカサ君……っ、嬉しい……嬉しいよ……!! 僕の事そんなに好きなんだねっ、僕の事、そんなに……!!」
「うっ、ぅあぁっ、そっ、それ、はっ、その……!」
「僕もツカサ君が大好きだよ、ツカサ君の琥珀こはく色の綺麗な目も、黒い髪も、肌も、顔も、ツカサ君の心も全部ぜんぶ大好きだよ……!!」

 まだ髪もちゃんと梳いてないのに、ブラックは体までこっちを向いて来て、また俺を押し倒しながら抱き着いて来る。
 だけど俺は恥ずかしさで硬直して何も出来なくて、ただされるがままベッドに沈む事しか出来ない。もう熱くて、抵抗もなくて目をぐるぐるさせている俺に、ブラックはとろけそうな顔で笑いながら、何度もキスをして来た。

「嬉しい……ツカサ君、嬉しい、僕のこと一番に大好きなんだね、僕のもってる色、全部好きでいてくれるんだね……! 嬉しいよぉお……!」

 そんな風に言いながら、ブラックは俺を抱き締めて、体を摺り寄せて来る。

「っ!」

 ぎゅっと押し付けられたブラックの体は、俺の足の間にテントを張った股間を強引に押し込んできた。まさか朝立ちなのかと思ったが、でもどう考えてもこの熱は尋常じゃない。まさかさっきの発言で勃ってしまったのかと驚いたけど……でも、まあ……ブラックだし……。

「ツカサくぅん……はぁああ……ぼっ、ぼく、もう我慢できない……っ、朝食前にさ、一回セックスしよ……? ねっ、ね……? お願い……」

 そう言いながら、ブラックは足の間に突っ込んだモノを、俺の股間を目指してどんどん上げて来る。
 とんでもないセクハラだけど、でも……今の俺には、拒否する事も出来なくて。

「う、ぁ……あぁ……」
「ねっ、ツカサ君……」

 で、でも、今やったら、ごはんが。
 だから……えっと……。

「ま……待って、あの、あ、後でちゃんとする、から……だから、今は……」

 手でするから、我慢して。

 思わずそう言ってしまったが――ブラックはそれでも嬉しそうに笑うと、俺の言葉を了承するかのようにキスをして来た。













※しばらくイチャイチャしながらセクハラとかします。次は普通の回だよ。
 
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