異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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プレイン共和国、絶えた希望の妄執編

  どうしてそうなる 2

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※所用で思いっきり遅れてしまいましたすみません…
 まずはイチャイチャ。相変わらず挿れてないです。





 
 
「ぶ、ブラック、寝るって何もせず寝るって事だよな? 目を閉じる方だよな?」
「ああうんそうそう、ツカサ君は何もしないで目を閉じてていいからねえ」

 おい待て。なんだ今の気のない返答!!
 さては俺にエロいことする気だな! 同人誌みたいに。同人誌みたいに!!

 なんてふざけてる場合じゃ無く、俺はあれよあれよと言う間に部屋に連れて来られて、ベッドに放り投げられてしまった。オォウッ。ぜ、全身軽く打ったぞオイ。
 この世界のベッドスプリングないんだから放り投げるのやめてくだしあ!

 突然の浮遊感と衝撃からまだ立ち直れていない俺に、ブラックはオッサン丸出しのスケベな笑い顔で圧し掛かってくる。
 思わず足を閉じたが、しかし閉じた事がアダとなって、ベルトを外されてズボンを一気に引き抜かれてしまった。

「うわぁっ! やっ、やだってばっ、ちょっと! 寝るって言ったのにぃい!」

 思わず残ったパンツを手で引っ張って脱がされるのを阻止しようとするが、相手はニヤニヤと俺を見ながら、俺の予想を裏切って足を手で開いて来る。
 強引に開かれて足が緊張したが、怪力のブラックには俺の足の突っ張りなど些細ささいな抵抗に過ぎず、大股開きにされて体を割り込まれてしまった。

「や……おっ、お前なあ、俺寝るだけなんだろ!? なんで脱がすんだよ!」

 せめてもの抵抗だと情けない恰好で抗議するが、ブラックはニコニコと笑ったまま顔に陰を掛けながら俺に顔を近付けて来る。

「ほら、締め付けてる物があると寝られないだろう? ツカサ君いつも下穿き一枚シャツ一枚で寝てるじゃない……」
「そ、そうだけど……っうぷ」

 足を広げられ至近距離でオッサンの吐息を吹きかけられながら、ベストまで脱がされてしまう。確かに俺はこういうカッコでよく寝てるけど、でもだからと言って他人に脱がされたらそりゃ恥ずかしい訳で。
 い、いや、ブラックにはいつも脱がされてるけどさあ!

「ツカサ君、眠いでしょ? このまま寝て良いんだよ?」

 そんな事を言いながら、ブラックは体を軽く倒して俺の頬にキスをして来る。
 強い酒の臭いに思わず顔を顰めたが、ブラックは嫌がる顔にすら興奮したのか、ハァハァと荒い息を漏らしながら首の方へと唇を落として来た。

「ねっ、寝るって……ほんとに寝せる気あんの……!?」

 ブラックの髪が、顔や首筋に当たってくすぐったい。足の間に挟まれた相手の体が動いて太腿に触れる度に、下半身がどうも座りが悪くて、声が上擦ってしまう。
 もじゃもじゃのくせっ毛のせいで余計にくすぐったくて身をよじるが、何を勘違いしているのか、ブラックは嬉しそうに目を細めてちゅうっと鎖骨を吸いやがった。

「ぅあっ、や……! ね、寝て良いって、お前……っ」
「ほーらツカサ君は寝てるだけで良いからね、天井のシミでも数えてればいいよ~」
「だーっ、だからその昭和テイストやめーって!!」

 何でこの世界でも「天井のシミを数えてる間に終わる」ネタがあるんだよッ!
 父さんの部屋で見つけた劇画エロ漫画を見てるから俺は知っているが、絶対にこれオッサンしか使わない言葉だよねえ!

 し、しかも今更過ぎる……。
 天井のシミを数えている間にって、絶対そんな暇ないじゃん。アンタ俺のこと滅茶苦茶にすんじゃんか。絶対数え直しする羽目になるやんけ!

「ショーワテイストが何だか分かんないけど、このまま寝るのイヤって事かい?」
「そっ……そりゃ……アンタがえっちなことしそうだし……」
「したくないの?」

 当たり前な事を再度言われて、思わず面食らってしまう。
 したくないのって、お前そりゃ、俺はそんな気なかったし、それにえっちな気分になってる訳じゃないし……。
 でも、ハッキリ言っちゃうと絶対ブラックがガッカリするよな。むしろ怒るかも。
 せっかく機嫌が良いのに水を差すのもなんだかなぁ……。

「ふふ……悩んでるって事は、ツカサ君もしたくない訳じゃないんだ」
「ぁっ、や……っ」

 ブラックの手が、俺の胸の辺りを服の上から擦ってくる。
 解り易いほどのいやらしい手つきで乳首の所を荒く擦られて、思わず声が出てしまう。こんな事ぐらいで声を上げてしまう自分が情けなくて、俺は抗議の意味を込めてぎゅっと口をつぐんだ。
 だけど、明確に拒否しなかった事で、余計にブラックは調子に乗ったようで。

「ねぇ、ツカサ君……僕ずーっと我慢してたんだけどなぁ」
「ん……んん……?」

 口を閉じたまま首を傾げると、ブラックはにたっと笑ってまた顔を近付けて来た。
 そのまま、横に逸れて耳孔に唇を軽く合わせて来る。思わず肌が粟立って体をぴんと緊張させた俺に、ブラックは酒臭い息で笑って、鼓膜に直接声を送り込んできた。

「最近さぁ……ずーっと、『好き』とか『恋人です』って言葉、ツカサ君から聞いてないんだけどなぁ……?」
「ぁ、ぅ」

 そ、そう言われてみれば、確かに……。
 旅の途中って事も有ったけど、色々セクハラされてたし、フォキス村に来てからは調査だの謎のモヤモヤ解消だのでワタワタしてたせいで、全く恋人らしい事をしてなかったような……。

 思わず黙り込んでしまう俺に、ブラックは低くて熱のこもった大人の声を俺の耳に吹きかける。

「言うって約束したでしょ? 忙しかったから僕も我慢してたけどさぁ……これでも結構、寂しかったんだけどなぁ……」
「っ、ぅ……ご、ごめ……ゃ、ま、まって、ぞくぞくするからそれやめて……っ」

 ブラックが喋る時に、無精髭が当たってちくちくする。唇の熱さや、息の生々しいにおいが、首筋をぞくぞくさせた。だけど、もう何より……ブラックの大人の声が、俺の鼓膜を震わせる度に、体の奥やお腹の所がきゅうっとなって、反応させちゃいけない所に熱が集まってしまって。

 これ以上されたら俺まで大変な事になってしまうとブラックの肩に手をやるが、それを逆手に取られて、死守していた下着の中に手を突っ込まれてしまった。

「ふあぁっ!?」
「ん~? ツカサ君だって、もうおヘソの下が熱くなってキュンキュンしてるじゃないか……。ふっ、ふふ……これじゃツカサ君の可愛いおちんちんも元気になっちゃってるかもねぇ……確かめちゃおっかなぁ?」
「やっ、や、だ、それっだめ、ダメだってばぁ……ッ!」

 耳がゾワゾワするだけでも辛いのに、そんな風にわざと根元のすぐ上を太い指でざらざらと触られると、我慢してても勝手に腰から下が小刻みに動いてしまう。
 足を広げられているせいで、足の付け根の所までひくひくしてしまって、俺は自分の体の反応の良さに泣きそうになってしまった。
 拒否してんのに、ブラックに触られただけでこんなになるって……うううっ、このバカ、俺の体の馬鹿! 甲斐性なしっ、堪え性なしぃい!!

「んふふ、可愛いなぁ……恥ずかしくて涙目になっちゃった……?」
「ちが……も……っ」
「ほらぁ、そう言う風に変なとこで意地張るから、僕もいじめたくなっちゃうんだよ? 僕はずーっとツカサ君が『好き』って言ってくれるの待ってたのにさぁ」
「う゛……」

 た、確かに……それは反論できない……。
 俺だって恋人らしい努力しなきゃってトランクルで決意したばかりなのに、結局の所、ブラックが強請って来るまでフラットに対応しちゃってたし……。

 で、でもさ、ブラック達と一緒に旅してる時は、「恋人」より「仲間」って意識の方がどうしても強くなっちゃっうんだよ。だって、恋人である前にブラックとクロウは俺の大事な仲間だし、守りたいと思うし、何より俺が足を引っ張ってる場面が多いから、男としてそう言うのは駄目だって思って気を張っちゃうし……。

 だから、俺もつい仲間って認識の方で接しちゃって……いや、でも、それじゃ駄目なんだよな。ブラックはいつだって俺の事を「恋人」として見てるみたいだし……。
 でも、なんかその、そう言う事すんなり考えるのって、なんか烏滸おこがましいような感じがして……。なんでそんな事思うんだろ、ブラックはいつだって隣にいるのに。
 恋人だって、ブラック本人が言ってくれてるのに……。

「ねえ、ツカサ君……好きって言って。僕の事好きって」
「ん……」
「ほーら。すー、きー」

 こんな風に顔を引き寄せられて、えっちな事をされながら強請られたら。

「……っ、ぁ……」
「ツカサ君」
「ぅ、ぁ…………あ、あの…………。す……す、き…………」

 そうされたら、素直に言えるのに。
 俺だって努力しようって思った気持ちが、ちゃんとすぐ出て来るのに。

「ツカサ君、僕の名前よんで、もっかい言って……?」

 嬉しそうな声が俺の鼓膜を震わせて、少しカサついた唇が耳たぶを噛んでくる。
 ブラックのふわふわしてて軽い髪が肌に掛かって、ほっぺたに何度も何度もキスをされた。

 おへその下を広い掌でゆっくり擦られながら、時折頬を舐められながら吸い付かれる。たったそれだけの事なのに、体はどうしようもなく熱くなって。
 ブラックが触れている所がじんじんして体が無意識に動いてしまった。

「や、ぅ……ブラッ、ク…………す……き……」
「もっと……もっと言って……?」
「ブラック……すき……」
「んふ……ふふっ、ふ、は、ははっ……! つっ、つ、ツカサ、く……ず、ずるいなぁっ……はっ、はぁ、はっ……そんな、可愛い声で……僕のこと、す、好きって、好きって言うなんて……っ」

 たったそれだけの言葉で、ブラックも俺も体が熱くなって、どうしようもなくて。
 こんな時なら、えっちなことしてるからだって解るのに。だから、俺も恥ずかしくて熱が上がってるんだって思えるのに。
 俺の言葉でブラックも喜んでるんだって……すぐに解る事が出来るのに。

 情けない。俺、ブラックがねだってくれないと、普通に恋人相手に好きって言う事すら出来ないんじゃないか。
 それどころか、旅とか自分のモヤモヤとかに気を取られて、ブラックが本当は何をしてほしいのかちゃんと考えてなくて……。

 ブラックがセクハラしてくるのも、最近ずっとちょっと変な触り方してくるのも、俺に好きだって言って欲しいからだったのかも知れないのに。
 今日だって、俺の態度にずっと我慢してたから、ブラックは宴の話もあんまり嬉いと思えなかった可能性もあったのに。
 なのに、俺……。

「ブラック……っ」
「ツカサ君……はぁっ……目がうるうるしてて可愛いよぉ……。ねぇ、そんな顔するから、僕もう我慢出来なくなっちゃったんだけど……」

 そんな事を言われて、手を無理矢理ブラックの股間へと持って行かれる。
 強引に掌を押し当てられたそこは、熱く、しっかりとズボンを押し上げる程に固くなってしまっていて。

「っ、ぁ……」
「いいよね……?」

 欲望に塗れた格好悪い顔で、はぁはぁと息を漏らしながらブラックが問いかける。
 なにをだ、と問い返すべきだったのかも知れないが……俺は、自分の不甲斐なさを思うとどうしても拒否をする事は出来なかった。

 ……せめて、恋人らしい事をしたかったから。








 
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