異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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プレイン共和国、絶えた希望の妄執編

13.ひとりで出来たはずなのに 1

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※すんません配分が上手くいかなかったので切ります…次が自慰です…






 
 
 その夜、俺は非常に気もそぞろだった。

 昼の内にブラックの【索敵】でモンスターの位置を把握はあくし、部屋で夕飯を食べながらモンスターの湧いて来る場所の目星を付けている間も、俺は服の中に隠したとあるモノ・・・・・が気になって仕方が無かった。

 明日その“ある地点”を調査してみようとか真面目に話している間も、もう俺の興味はズボンに挟んで服の中に隠してあるソレに持って行かれている。
 寝る前のくつろぎタイムも、俺にとってはソワソワタイムにしかならなかった。

 ……で、何にソワソワしていたのか。
 それはもちろん、“淫らで役立つ豆知識の本”だ。

 大量の物品で隠して持って来たこの本、二人が居ない間にこっそり読もうと思っていたのだが、しかしやっぱり買った本と言う物はすぐに読みたい訳で。
 それ故に、俺は今までず~っと腹のところに本を抱いたまま、ソワソワしっぱなしだったのである。だって、俺にとってはある意味エロ本と同じなんだもんこの本。

 ブラック達には「セクハラすんな」と言っておいてコレなんだから自分でも呆れるが、読みたいものは読みたいんだから仕方がない。

 ……と言うか、今の今まで「娯楽本」に触れられなかった俺にとって、この“淫らで役に立つ豆知識の本”は俺的には久しぶりのエンターテイメントだった。
 要するに、エロくて面白いモノに飢えていたのだ、俺は。

 だって俺、日本にいた頃は毎日エロ画像みてたんだもんよ。ダチとだってふざけてエロ話とかしてたし、俺の嫁談義とかしてたし、そうでなくてもお手軽に楽しめるゲームとかの話ばっかりしてたしさ。
 むしろ、あっちでの会話の大部分がそういう猥談とかだったんだ。

 まあこっちはこっちでリアルガチなファンタジー世界だから、色んなものとか凄い景色が見れて楽しいけど……でもやっぱ、習慣ってのは忘れられないよな。
 こんな楽しそうな本を見つけてしまったら、読みたいと思わずにはいられない。
 許せブラック、クロウ。俺も所詮は男のサガに溺れた男よ……。

 ……という訳で、俺は二人に気取られないように、出来るだけ自然な態度で「かわやに行ってくる」と言い切って、部屋から堂々と抜けだした。
 ま、まあ、変な動きとかはしてなかったから、バレてはない……はず。

 ドアを閉めて、キョロキョロと周囲を見回すと、俺は人気のない廊下をそそくさと移動しトイレへと足を踏み入れた。
 おお、ここも手洗い場と個室が二つあるのか。公衆トイレ並だな。
 奥の方の個室に入ってしっかりと鍵代わりの留め具を掛けると、俺はやっと安堵あんどの溜息をついた。ここまでくればもう勝ったも同然だ。

「ふ~……。しかし、凄く綺麗なトイレだなあ……」

 この宿屋のトイレは他国の村落と一緒で汲み取り式らしいが、勇者が何かの知恵を貸してくれたのか、階段のように一段せり出した座る所が有り、穴の所にはきちんとフタもついていて悪臭は全く無い。とても清潔なトイレだ。

 この世界は、何故だか公衆衛生だけは微妙に中世より後の時代っぽい感じなので、辺境の村でもモザイクをかけるような一帯はまず見かけないんだが……それでも、トイレってのは籠るにはちょっと勇気がいる場所なのは確かな訳で。

 旅の途中では、街以外のトイレは遠慮したい感じではあったのだが……やっぱ俺の世界の奴が関わると、こういう「臭いすら敵だ!」なトイレになるんだな。
 今更ながらに日本人の衛生面への情熱には恐れ入る。
 まあ、俺だって知識が有ったらそうするかもしれんが……しかし、汲み取り式とは言え、汲み取る設備が無いのは一体どういう事なんだろう。他の場所に集積されてたりするのかな?

「……ま、まあ良いか。それより本だ」

 蓋に触らないように端の方に腰かけて、本を取り出す。
 数時間ずっと腹に抱いていたからかなり生温くなっていたが、ま、まあいい。
 改めて表紙を見て、俺は何だか不思議な感じを覚えた。

 本……とは言ったが、俺が購入した豆知識本(略した)は、紙を束ねて紐を通し、簡単な冊子のようにしてある。和本と言うよりは、分厚いパンフレットに近い。
 この世界の本は、確実に銀貨一枚程度のお値段になるのだが、この本は意外と安かった。その値段は綴じ方が簡単だったからも有るのだろうか。
 ま、俺からすればどうでもいいな!

 さーて何が書いてあるんだろうか、と、ワクワクしながら開いてみると……豆知識本の内容は、ちょっと意外な物だった。

「ほう……Q&A方式なのな」

 日本語で言えば一問一答と言った感じだろうか。
 開いた初っ端から「この本は迷える性の初心者たちに贈る本である」と物凄い事が記されているが、内容は至って真面目な物だ。
 ベッドは清潔にしておけだのと言った衛生的な事や、相手との付き合い方、それにスケベな奴らが御用達の蔓屋のおすすめ道具まで書いてある。

 えっちな事でも、真面目に書いてあるとなんか勉強してる気になるな。豆知識って言うより、ハウトゥー本みたいな感じか。ハァハァはしないけど結構面白い。
 でもだいぶ情報が古いみたいで、えっちなお道具コーナーは動かねえ各種バイブと精力剤しかなかったけども……まあ、性具の歴史ってのも面白いよね。
 思ったよりも楽しんでしまったが、その中でも俺の目を釘付けにしたのは……所謂いわゆる“性のお悩み”コーナーだった。

「彼氏のナニが入らない……マジでそんな悩みあんのか……。女でも棒が欲しい、男だけどもう一個穴を増やしたい……なんだこれそんなのまで解決してんの。この世界本当に色々ひでえな。なんで解決法あるんだよ」

 穴もう一つ欲しいって、男としてどうなの。
 いや、女の子になってみたいなんて人が居るんだし、別の穴の快感ってのを知りたいと思う人も居て当然なのか……?
 よく解らん。俺は一個で精一杯だっつうのに。

「色んな人が居るもんだなあ……」

 でも、人の性事情と言うのは正直よく解らないので、話として読むのは面白い。
 そんなこんなで熟読していると……俺は、或る項目に引きつけられた。

「えーと、ナニナニ……? 『最近下半身に熱が籠って悶々とし困っています。どうしたらいいですか』って、それ俺と一緒じゃん」

 俺もさあ、なんだかへそから下が変な事になってて困ってたんだよ。
 よっしゃ解決法が見つかるぞ、とその質問へのアンサーを見て見ると。

 ――それは「欲求不満」という症状です。病気ではありませんが、長引くと非常に厄介なものの代名詞です。下半身の疼きを日常で自覚するような場合、貴方は相手との性行為に満足していないと言う事になります。自慰などをして発散させるのが一般的ですが、もしそれで収まらない場合は、相手と相談してよりよい性行為を試すか、もしくは娼館などに行き、経験豊富な娼姫に相談をしながら己の行為に対しての探求を行うのが、一番早い解決方法でしょう。
 また、相手の体力が無く、行為が不発に終わるが故の欲求不満の場合、精力剤などを購入し、用法容量を守って相手に摂取させるようにしましょう。
 なんにせよ、人であればままある事です。あまり悩みすぎないように。

「……………………」

 ……は?
 よっきゅう、ふまん?
 俺が? 俺が、よっきゅうふまんだって?

 そん……なの…………

「う、う…………うそだああああああ!!」

 いっ、いや待て、落ちつけ俺、叫ぶんじゃない。
 ビークール、ビークール。欲求不満だからって俺が恥ずかしい人間になってる訳じゃないはずだ。これにはきっと訳が有る。思い出すんだ俺。

 ……そう言えば、俺の下半身が変な事になったのは……ブラックが変なセクハラばっかりして来るようになった頃からだ。
 俺の体をべたべた触って来るくせに、な、何でか、最近はずっと、その……い、い、挿れて……こない……し…………。

 まっ、前はあんなにズコバコやってたのにだぞ!?
 なのに最近はもう、尻を弄って来たり素股したりって感じで、回数はこなすくせして肝心な場所に挿してこない来ないって言うか、なんか、その……あっ、い、いや別に俺は期待してないぞ! ただ、アイツが毎回毎回えっちする時は絶対に中出しして来るから、何かそういうもんだとおもっ、あああああ何考えてんだ俺えええ!

 そんな事思ってない思ってない思ってない!!
 それで欲求不満になるとかありえない絶対ありえないぃいいい!!!!

 だから、ない…………はず、だけど……。
 でも、股間とかケツが変な感じになってるのは確かだし、最近ずっとセクハラされてたから、そのせいで余計に悶々としてたし…………。

 う、うむ、そのせいだ。
 これは自分の性欲のせいじゃないんだ。
 俺はブラック達にセクハラされまくってアンアン言わされてるのに、いつもみたいにズコバコされないから、侵入者による衝撃に備えようとしていた俺の健気な体が空回りして悶々としちゃってるだけなんだ。

 べっ、別に俺は、ブラックに犯されたいなんて思ってないし。
 俺は、その、ぶ……ブラックに掘られたいって、思ってる訳じゃ、ないし……。

 う、うう……っ!
 あーもう! だから、俺は欲求不満になりたくてなってるんじゃないんだよ!!
 ブラックが変な事ばっかりするからなりたくないのに悶々としてんの!

 全部あいつが好き勝手して俺を放置してるから悪いんだよ!

「ぐぅうう……そう思うと何か凄く悔しくなってきた……あいつがいつもと違うことばっかするから、俺がこんなにモヤモヤしてるんだ……」

 いっつもえっちな事されるから、いつあの頭がバカになるような衝撃が来るのか解らなくて、緊張しちゃうんだよ。気を抜いた時に挿れられたら、どうなるか解らなくて怖いじゃん。だから、変に意識しちゃって、空振りしたらこんな事になって……。

 …………で、でも、別に変な事じゃないんだよな?
 本にも「よく有る事」って書いてあるし……お、俺が変じゃないんだよな……?

 だったら、安心だ。
 欲求不満だって、変な事じゃないんだ。

「…………でも、それならこれ、どうしよう……」

 不満ってんなら、やっぱ解消しといた方が良いよな?
 俺も玉袋が爆発する病気とかに掛かったら嫌だし。この世界の精霊なら、そういうえげつない術とか掛けてきそうだし……性欲は抑えとくに限る。

 だったら……やる事は、一つだ。

「……こ……ここで…………一発処理しとくか……」

 それが一番いい。
 欲求不満のせいで、今まで度に身が入らなかったんだ。
 旅をするなら不安要素はなるべく消しておいた方が良いし、それに俺達は明日からモンスターが潜む森へと潜入するのだ。探索するなら尚更なおさら気が散る要因は取り除いておきたい。理由が解れば処理すれば済む事だし、やらない手は無いよな。

 事務的な理由でオナるってのは俺も初めてだが、まあ、なんとかなるだろう。

 なんだか久しぶり過ぎてもう変に緊張しちゃうけど……エロに溢れた自室ではマス掻き猿のようにシコシコ元気にやってたんだから、今更だよな……?
 オカズ……は、今持ってる本しかないけど、やればできるはず。
 頑張れ、頑張るんだ俺。
 ブラック達に弄ばれたままでたまるか。スッキリして、セクハラにも真顔で冷静に対応できる一人前の男になってやるんだ。

 よし、いっちょシコってみっか!








 
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