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ファンラウンド領、変人豪腕繁盛記編
48.幸せの場所は、きっと君の 1
しおりを挟む※まさかの長さになったので切りました…すみません……次でほんとに終わり
あと今回ブラックもクロウも一言もしゃべらないですゆるして:(;゙゚'ω゚'):
「…………しょんべん」
ベッドから起き上がった一言目から下品だが、真夜中に起きた奴の用事の七割はトイレだから許してほしい。
残りの二割は「腹が減った」で残りの一割は性欲を持て余したからだ。
三大欲求って凄いね。
まあそれはそれとして、しょんべんだ。俺はトイレに行きたいのだ。
俺用のベッドに何故かおっさんが入ってたり、ベッドの脇にでっかいモフモフが寝転がってたりするけど、気にせずに踏んでベッドを離れるぞ。
どうせ俺が踏んだ程度じゃ起きねえんだもんなコイツら……。
別に加減して踏んでる訳じゃないぞ。むにってなるくらい踏んでるからな。なのに、何の反応もしないんだもんブラックもクロウも。マジで耐久度おかしいって。
まあほら、そら痛いくらいに踏むとかは可哀想だしやらないけど、でも男の体重じゃん? 「ウッ」ぐらいは言ってもよくない?
なんでコイツら俺をコケにする事にかけては超人級なんだよ。
案の定クロウの尻尾を踏んじゃって「ぎゃっ」てなったけど、クロウは全然反応しないし。……なんで踏んでも反応しないで、痛くないか心配で撫でた程度でぱたぱた反応するんだろうな……。クロウは強いから痛みに鈍感なのか?
もう良く解らんけど、これ以上膀胱をお待たせするのは健康に悪い。
トイレは一階にしかないので早くいくのだ。
爆睡しているオッサン二人を越えて部屋から脱出し、そそくさと階段を下りる。二人ともよっぽど気持ちよく寝ているらしく、俺は恙なくエスケープに成功した。
……まあ、危険人物二人が寝てるんだから、心配な事なんて何もないよね。
これで起きてたらトイレに押しかけられたりしそうだし……ほんと二人が寝てて良かった。この家じゃトイレすら安全じゃねえ。
用を済まし、台所の水瓶から水を取って手を洗いつつ外を見やると。
「お。大地の気……」
裏庭からふわふわと綺麗な光の粒が湧き上がっている。
最近は夜にはすぐ寝ちゃってたし、起きていても外を見る暇なんて無かったから、何だか久しぶりに見たような気持になるなあ。
「んんー」
折角だしちょっと外に出るかなあ。
カンランの木も変な事になってないか見ておきたいし。
勝手口から裏庭に出て、まずはそこに生やしているカンランの木を確認する。
この家に滞在している間そこそこ実を頂いたはずなのだが、俺が成長させた木は未だに枯れもせず、油がたっぷり詰まった実をたわわに実らせていた。
気になって曜気の具合も観察してみたんだけど、カンランの木は枯れる様子などなく、元気に木の曜気を満たして緑の葉を茂らせている。
……半月は確実に経過しててコレってことは、やっぱり“黒曜の使者”の力で成長させた樹木は枯れないって事なんだろうか……?
そう言えば、ラッタディアの地下水道遺跡では、種の持つ曜気だけで【グロウ】を掛けたけど……あれはどうなったんだろう。やっぱ枯れちゃったのかな。
こうなると、黒曜の使者の能力で木の曜気を注ぎながら育てた植物と、その場にある曜気だけで育てた物の成長度合いってのも気になる所だな。
……まあ、前者が圧倒的に奇怪なんだろうなって事には変わりないと思うが。
「半月も収穫期継続って、普通に考えてヤバいよな……」
そうなると、庭の半分を埋め尽くしていたカンランの木の果樹園(と言っていいのだろうか)も……多分まだたっくさん実が成ってるんだよな……。
ちょっと怖くなってきて、俺は路地のような細い裏庭から恐る恐る普通の庭へと出る。相変わらず月光と大地の気の光で明るい夜だったが、やはり人気も無くしんと静まり返っている。
街の方は賑やかだろうが、民家ばかりが並ぶこの区域は風の音が吹き抜けるだけだった。こういう時に一人だとちょっと怖い。
庭の様子を見たらすぐ家に戻ろうと思い、整列した木々の群れに近付くと。
「おや、ツカサじゃないか」
「あれっ、マーサ爺ちゃん! こんな夜中に何してるの?」
木々の間で何やらごそごそしているなと思ったら、なんとマーサ爺ちゃんが籠を持ってカンランの木からぷちぷちと何かをもぎ取っていたのだ。
予め油を集めておこうと思ってたのかなと考えたが、しかし、見たところ籠の中の実はどれも小さく、丸々と太った物とは程遠かった。
これってもしかして、間引きって奴かな……?
そっか……マーサ爺ちゃんったら、こんな夜中まで起きて木の世話をしてくれてたんだな。このカンランの木が村には絶対に必要だって解ってるから……。
「夜中まで世話してくれてたんだな、ありがとうマーサ爺ちゃん」
そう言うと、相手は照れたように笑って立派な鷲鼻をちょいちょいと擦った。
「ホホ……これもワシの役目じゃからのう。小腹が空いたら世話をするんじゃよ。それに、間引いた実はワシらも食えるでの」
「え、油っぽくない?」
「小さな実なら問題ないぞい。なんなら、間引いた実は軽く炒めてから酢に漬けて置くと良い。丸ごと食べられるし、疲れた体に染みるぞい。普通の実も種を出せば問題ない。酒のつまみにもいいんじゃよ」
ほー、ピクルスみたいなもんかな?
…………でも待てよ。そう言えばお酢って見た事ないな。
「この大陸にお酢ってあるのかな?」
「そう言えば人族の国では見かけたことがないのう。どうりでリモナの実以外で酸っぱい物を見かけんわけだ」
「魔族の国にはお酢があるのか……」
「まあ、我々が見たことが無いだけでお酢に似た物は有るのかもしれんがの。……そう考えると、オリクトの食べ物が恋しくなるのう」
言いながら、少し遠くを見つめるマーサ爺ちゃんに、俺は喉がぐっと詰まる。
そうだよな……。やっぱ、こんな宙ぶらりんの状態じゃ辛いだろうし、出来る事なら故郷に帰りたいって思ってるよな。
シアンさんには、マーサ爺ちゃんとリオル自身に決めさせてから、送還するのか決めなさいって言われたけど……そう言えば忙しくて話をしてなかったな。
でも、どう言おうか……と迷っていると、マーサ爺ちゃんが唐突に話し始めた。
「ツカサ。どうやらお主達は旅に出るようじゃの」
「あっ……う、うん……」
「トランクルにはしばらく戻らんのかの?」
「多分……。まだちゃんと調べてないから判らないけど、結構かかると思う」
「……そうか……」
そう言ったきり黙ってしまった爺ちゃんに、俺もどう言ったらいいのか判らなくて、思わず黙り込んでしまう。
だけど、爺ちゃんは優しげに微笑むと、籠を置いて俺に向き直った。
「ワシは、あまり色々言うのが得意ではなくてのう」
「……?」
「だから、一つ頼みがあるんじゃ。……リオルの話を、ちいとばかし聞いてやってくれんかの。……あやつの願いはワシの願いでもあるでな」
「……良く解んないけど、解った。聞くよ」
そう言うと、マーサ爺ちゃんは笑って、その場で高く跳んで宙返りをした。
途端、ぼうんと音を立てて煙が目の前を覆う。しかし煙はすぐに失せ、俺の目の前には――すらっとした優男が居心地悪そうにぽつんと立っていた。
「…………えっと」
言ったきり、リオルは頭を掻いて居心地悪そうに目を泳がせる。
いつもなら「ツカサちゃ~ん!」なんて軽くて明るい調子で話しかけて来るのに、目の前にいるリオルはバツが悪そうにもじもじしていた。
何だろう、お皿でも割っちゃったんだろうか。
不思議に思いながらもリオルが話し出すのを待っていると、意を決したのだろうか、リオルは口をグッと引き締めて俺を真っ直ぐに見つめて来た。
「つっ……ツカサちゃん……。あの、さ……俺……なんつーか……ハハ、えっと、その、つまり~……げ、現状維持? 的な?」
「現状維持?」
「そ、そそそ! あのっ、そのさぁっ、俺的には、今がベストだと思う訳よ。家も有るし、ツカサちゃんに尽くせて俺すっげー幸せだしさ、そのっ、それに…………なんていうか……俺…………ツカサちゃんと、離れるの……嫌だし……」
「リオル……」
別に、変な意味じゃない。それは俺にだって解った。
たぶん、リオルは俺に自分の娘の姿を重ねているんだろう。男女の違いはあるが年頃が一緒だし、なにより結構長い間手伝って貰ってたんだ。俺だって、リオルとマーサ爺ちゃんには随分助けて貰ったんだし……本音を言えば、サヨナラとか言いたくはなかった。
でも……だからって、これが本当にリオル達の為になるんだろうか。
いくら二人が願っているからと言っても、このまま俺達と一緒にいたって新しい主人は見つけられないだろうし、何より、置いて行く事になっちゃうし……。
そんな俺の逡巡を見抜いたのか、リオルは慌てたように続けた。
「も、もちろん俺達はココで待ってるよ!? ……あの、だってさ、ほら、ツカサちゃんが生やしたカンランの木だって管理しなきゃいけねえし、それならマーサ以上に適任はいないんだぜ? お、俺だって貸家を綺麗に保てるし、だから…………だから……」
「……でも……お前達、帰りたくないのか? それに主が必要なんじゃ……」
何かを堪えているような顔のリオルが心配で、なんとか二人の要求を聞き出そうと気になっていた事を問いかけると――――何故か、リオルは激昂したかのように険しい顔になって、赤面しながら怒鳴った。
「あ、主なら、ツカサちゃんが成ってくれれば良いじゃん! ってか、俺達はもうツカサちゃん以外に仕える気はねえぞ、絶対に別の奴なんて嫌だからな!?」
イケメンの必死な赤面顔ってやっぱ絵になるなぁ~…………。
…………って、俺?
今、俺が二人の主って言いました?
「えええ!? おっ、俺ぇ!? 無理無理無理だって、だって俺、そんな器じゃ」
「器なら十分だろ!? なあっ……頼むよツカサちゃん……! 俺達は、ツカサちゃんが良いんだ……ツカサちゃんじゃないと駄目なんだよ……!」
戸惑う俺の両肩を掴んで、リオルは苦しそうな悲しそうな顔で見つめて来る。
至近距離にある相手の表情は、それだけ切実なのだと俺に訴えて来るようで……だけど、そんなこと急に言われたって困るよ。
「お、俺、リオル達の事置いてっちゃうし……」
「主と家さえあれば関係ないさ。俺達はどんな環境でも生きていける。だけど、俺は別の奴なんて嫌だ。ツカサちゃんじゃないと嫌なんだよ! ツカサちゃんが心配だし、俺もマーサもツカサちゃんに一番仕えたいと思ってる。いつかツカサちゃんの住む家に仕えられるって言うのなら、何十年だって待てるから!! だから……頼むよ……。俺達の事、捨てないで……?」
「リオル…………」
捨てるなんて、そんな。
そんな事……言われたら…………。
「ツカサちゃん……」
切なげに名前を呼ばれて、見つめられる。
マーサ爺ちゃんも同じ思いだと訴えられてしまえば、もう何も言えなかった。
「……俺、ケーラーさんみたいに賢くもないし……二人には何もしてやれないかも知れないけど……たくさん待たせると思うけど……いいのか……?」
トランクルに戻って来れると言う保証はない。だから、もしかしたらリオル達をまた悲しませる事になるかも知れないのだ。
そんな薄情な人間を主人にしていいのか。
問いかけると、リオルは泣き笑いの顔で眉根を寄せて頷いた。
「あは……っ。そんときゃ、そんときさ。まあでも……俺達的には、ツカサちゃんがいなくなるなんて事、絶対にないって確信してるけどね」
「それ、どういう……」
「じゃあまあ、契約の印として……ほい」
俺がどういうことだと説明を求めているのに、リオルは俺の事なんて放って置いて前髪を掻き上げる。何をしているのかと思ったら、額を丸出しにして俺に更に近付いて来た。お、おい。近い。近いってば!
「ツカサちゃん、俺がごちゃごちゃ言うから、終わったら額に口付けてくれる?」
「えっ……!?」
「それが俺達にとっての主従の契りなんだよ。あと、マーサに変えろってのもナシだぜ。魔族は契約する時は大体がより醜い姿……契約者にとって拒否感を示す姿で成されるんだ。真実を誓う契約には、契約者にもそれ相応の覚悟と誠実さが要求されるからな」
なるほど、魔族だとそうなるのか……。
そういや悪魔の場合も、召喚されたらまず相手にナメられないようにと、各々がオリジナリティ溢れる恐ろしい恰好で出てくるらしいし、とりあえず向き合う覚悟が必要なんだろうな。
だから、俺の場合は陰キャなオタである俺を虐めそうな、髪の毛遊ばせ系のイケメンチャラ男であるリオルが相手だという訳で…………。
「……その理論で行くと……俺がリオルのこと苦手って事にならない?」
リオルに失礼な気がするが大丈夫なのだろうか、と問いかけると、相手はスネたように口を尖らせて目を細めた。
「だって、ツカサちゃん老人に優しいし、俺みたいなチャラチャラしてんの嫌っしょ? 別の男だったらこんなに近付けたりもしないじゃん」
う゛……まあ、たしかに……。
リオルは良い奴だって知ってるし、俺に変な気を持ってる訳じゃないから安心して鼻と鼻を突き合わせる距離で居られるけど、普通はそうじゃないもんな。
つーか普通は男にこんなに近付かれても嬉しくないわい!!
……そうなると、まあ……俺がリオルに心を許しているのは確かな訳で。
「…………わ、解ったよ。でも、ブラックがどう言うかなぁ……」
「逆に言えば契約を結べば安心するんじゃない? 俺は大人しくこの家で待ってるつもりだし……そもそも、主従契約したら俺はツカサちゃんの命令に従うのが絶対になる訳だしね」
「そっか……。なら、安心……なのかな……?」
「そそ。んじゃやるよ」
迷っている間に、リオルは急に真面目な声になって呟き始めた。
「――我が始祖の盟約に従い、付き従う邪悪の使命を全うせんがため、今この場において我が命を主へと捧ぐ……。我が名はマッサリオル、ウィルオーウィスプより出でし塵芥の魂を献身により形と成した醜き妖精なり。然らば、魂に従い我が主・ツカサを始祖に替わる盟主とし生涯を尽さん……――」
――――あ……。
リオルの体が、不思議な光に包まれてる……。
淡い虹色のような、だけど何かの一色を薄く表しているような、不思議な色。
その光は、リオルの額にうっすらと光の環を作っていた。
……あの場所に、口付ければいいんだろうか?
「…………っ」
ええい、もう、こうなりゃヤケだ!
覚悟を決めて、俺は間近に有るリオルの額に……軽く、口付けた。
――と。
「――――――!!」
リオルの額にあった光の環が弾け、体を覆っていた光が一気にリオルの手の甲へと集まり、姿を変えた。
それは、何かの印。影のように一色で形作られた竜の横顔と、両側にアラベスク模様のような複雑極まる翼がある……何か妙な刺青のようなものだった。
……これが、契約した証ってことなのか……?
ポカンとしていると、やっとこさ目を開けたリオルは自分の手の甲を見て、何故か目を見開いて思いっきり驚いていた。
「うおっ! な、なんだこりゃすげえ……ツカサちゃんホントにタダの冒険者? こんな複雑な“隷属印”初めてなんだけど!?」
「れ、れーぞくいん?」
「俺達魔族は、誰かに従属の意思を示したら、相手の力量によってこんな印が付く事が有るんだ。で、相手が強ければ強い程、こういう風に細かい印がつくの。その印によっては、俺達も色々と恩恵を受ける事が出来るんだけど……まあそれはどうでもいいか。とにかく、こんな細かい模様の印を付けられるツカサちゃんは、もうすっげー強いって事よ」
「ほ、ほう……俺が……強い?」
もしかして黒曜の使者込みの判定かもしれないけど、でも……俺が、強い。これほどの印を相手に付けちゃうくらい強いってか!
ふ、ふふふ、そうか、俺もやっと目に見えるほどの実力が付いたんだな?
これは黒曜の使者の力だけとは言わせん、ああ言わせんぞ!
ふははは俺もやっとチート主人公と言えるべきレベルになったんだー! 多分!
「ツカサちゃんそんなに喜んで……! はぁ~、可愛いなあホント……」
なんとでも言いたまえ。俺は強いから可愛いとか言われても平気なのだ。
……つーか、よく考えたらリオル達ってそれなりに強い魔族なんだよな。
そんな妖精……いや魔族を従えちゃった俺って、やっぱり凄いんでは?!
「俺今マジで最強!?」
「サイキョー! フゥー! 流石は俺のご主人様だぜツカサちゃーん!」
「イエーイ!」
ハイタッチ!
いや、そんな事してる場合じゃ無かったな。
落ち着け、一旦落ち着こう俺。
「ゴホン……。とにかく、これでもう二人は路頭に迷う事も無くなったんだな!」
「そ。だから、安心してカンランの木の管理はまかせてよ」
「うん。……となると、明日は村長さん達に貸家の事を頼みに行かなきゃな」
この村の人達とも仲良くなったし、ちゃんと話せば貸家もこのまま貸して貰えるだろう。勿論、管理費が必要だったらちゃんとお金は払う。
今の俺達は結構リッチだからな。お金は惜しみなく使うぞ。
そうとなったら今日はもう寝よう……と、思ったが。
よく考えたら、こんなに簡単に契約して良かったんだろうか。
俺はいいけど、リオル達はかなり辛いよな? 人の役に立つ事で糧を得る妖精だから、村人達に協力して貰えば食事とかは大丈夫だろうけど……待たせるのって、相手からしたら凄くしんどいだろうし……。
今更不安になってしまって、俺はリオルの顔を見上げた。
「リオル……契約した後で言うのもなんだけど……ほんとに俺の所でいいのか? 帰って来ても、家なんて持てないかも知れないんだぞ?」
ヘタしたらこの貸家に間借りしてまでお前達を待たせなきゃ行けない。
契約を解除するなら今の内だぞと言うと――リオルはいつものように笑った。
「俺とマーサには関係ないさ。ただ、ツカサちゃんが俺達のご主人様でいて、俺達にお世話をさせてくれれば……どこだって、幸せだよ」
…………その気持ちは……解るかも知れない。
どんな場所を旅してたって、どんな事になったって、大事な人と繋がっていられれば……不思議と辛いなんて思わない。
険しい道だって、付いて来てくれるなら、俺は…………
「……ツカサちゃん、ほんとあのオッサン達の事が好きなんだなぁ」
「――――ッ!!」
な、なんで思った事が解ったんだ。
問い質そうと思ったけど、そんな事をすれば俺が「リオルが想像した通りの事を考えてました」なんて言ってるも同じなわけで。
結局何も言えず、俺は熱くなった顔をぺしぺしと叩く事しかできなかった。
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