異世界日帰り漫遊記

セレーネ大森林、爛れた恋のから騒ぎ編

4.節度のある付き合いをしたい※

　
　
「っ、ぁ……あぁあ……っ」

　乱暴に股間を擦り上げられて、なす術すべも無く達してしまった……。
　恥ずかしいと思う前に、物凄く悔しい。
　こんなの、普通にしてれば耐え切れたのに。こんな、ズボンくらいで……！

「う、うぅううう……ばかっ、ばかぁあ……」

　乱暴な手からやっと解放された俺は、ブラックから逃れるために、ズボンを元に戻そうと裾すそを必死に引っ張る。だけど、ブラックの野郎は背後で荒い息を漏らすだけで、ゴメンの一つも言ってくれない。

　それどころか、俺を抱きすくめて執拗に股間をぴたぴたと指で触って来て。
　濡れた場所を何度も触るもんだから、シミが広がって、う、ううう……。

「触ん、なっ……やだっ、やだぁあ……！」
「はぁ、はっ、はは……！　つ、ツカサ君の、可愛いおちんちんから出た精液で、ズボンが……はぁっ、はぁ……にちゃにちゃだよ……ほら、ズボンの中の音、わ、解るかな……？」

　股間を弄もてあそんでいた手がズボンの中に無遠慮に差し込まれて、萎えた俺のモノを太い指が撫でわざといやらしい水音を立てる。
　それが恥ずかしくて我慢できず、俺は情けなく涙を流しながら首を振った。
　だけど、ブラックは許してくれない。
　俺の耳元で荒い息を吹きかけながら、ズボンの中に更に手を突っ込み前から尻の窄すぼまりに太い指を這わせてきた。

「っあぁあああ！」
「んん……？　こっちも出来上がってるじゃないか……はは……ぼ、僕の、指に、吸い付いてくるよ……っ」
「ひぁっ、や、ぃやぁっ、やらっやぁああ……っ」

　ブラックが指を出し入れする度に、前から差し込まれた逞たくましい腕が動く。その、腕が……お、俺のモノに擦れて、足の間に太いものが挟まれているという状況が、どうしようもなく卑猥な気がして……腰が勝手に動いてしまう。

　駄目だって解ってるのに、なのに腕が、指が動く度たびに、どうしようもなく気持ち良くて。ブラックが、俺の事をすきだっていうたび、体全体が反応してしまって、もう自分じゃどうしようもない。

　大人の声で、腕で、体で、俺を包んで、ナカにまで侵食して、俺をぐちゃぐちゃにしていく。「好き」だって耳元で言われると、自分でも訳が解らないくらい体が緊張して、ブラックの指を締め付けてしまって。
　もう二本も三本も入って、掻き回されて蕩とろけてるのに……。

「はぐ、ぅ……ぁぅう……ひぁ、い、ぃあぁ……やら……も、やらぁあ……」
「ズボンの中で下のお口をぱくぱくさせて、いやらしいったらないね……ハハ……ツカサ君……こんなにお尻の穴をとろとろにして、なにを欲しがってるのかな？」
「ひ、ぅ……ぁ、に……」

　広げられてる、だけどズボンの中のせいか熱くて、なんだか蒸れて濡れた感覚の方が強く感じられて認識が鈍くなっていく。
　ブラックの指の感覚まで蕩けて判らなくなってしまいそうで、俺はなんだか怖くなって嫌だと首を振った。だけど、ブラックは俺以上になにか切羽詰まっているのか、俺の半ズボンを尻側の方だけぐいっと下に降ろす。

「ああ……っ、はぁっ、はは……もう、とんじゃってる……？　頭働いてないね……じゃあ……もう……いいか……ッ！！」

　そう言ったと、同時――――強い刺激と圧迫感に、俺は揺り起こされた。

「あぅうう゛っ！？」

　苦痛と、息が止まる程の衝撃。
　しかしそれ以上にナカを満たす形と圧に、俺は体を反らして喘いだ。

「ツカサ君……っ、ツカサくっ、ぅぐっ、つ、つかさく……っ」
「あっ、あ゛っ、あぁあっあ、ぐっ、ひぐっ、ぃ、ぁあ、あぁああ……～～～ッ！！」

　奥まで一気に押し入られる度に、引かれる度に、声が漏れ出る。息をするよりも喘ぐ方が多くて苦しくて口を開くけど、息が続かない。
　ナカをブラックのペニスが無遠慮に広げて、内臓を圧迫するぐらいに大きく育ちながらごりごりと擦り上げる。苦しいのに、辛つらいのに、もっとしてほしくて、目の前のがっしりした腕につかまって俺は腰を動かした。

「はぐっ、う、うぁあ゛ぁっ、や、うぅ゛っ、ひ、っ、ひぐっいっひゃぅっぶらっぐ、もっおひりいっひゃうぅう……！！」

　もう、じぶんでも何言ってるのかわからない。

　突き上げられて、気持ち良くて、ズボンでさんざん焦らされていたもどかしさが消えて、頭が真っ白になる。
　ブラックの息が、腕が、背中に感じる熱い体が、自分を犯している恋人の物だと思うと、どうしようもなく下半身がぎゅうっと熱くなって……

「――――――ッ…………！！」

　声にならない声をあげ、俺は、意識を飛ばした。



　　　◆



「二度と穿はかない」
「はい」
「半ズボンもう絶対穿かないから」
「はい」
「今度こんな事したら家出するからな」
「ああああそれだけはご勘弁をおおおおお」

　うるせーぼけー！！
　愛でるだけって言ってたのに結局えっちしやがってくそー！

　お、お、おかげでズボンが大変な事になったし、そ、それをクロウが「洗濯してやる」つってひったくって……ああ考えたくない嫌だもう何もかもが嫌だ。
　まだ股間が変な感じがする。ちくしょう、なんで直穿きくらいで、あ、あんな、あんな風になっちゃって……。

　と、とにかく！　もうこんなの絶対にやんないからな！！

　あの後も何度も……そのせいで、夕食作れなかったし……。
　慣れたって言っても俺の体はデカブツを受け入れるようには出来てねーんだよ、頼むからもうちょっと自重してくれよ。
　調理できる場所に居てなんで干し肉喰ってんだよ俺達は。

「ブラックが悪い。ブラックが我慢できずにツカサを犯したから悪い。またツカサの手料理が沢山食べられると思ったのに……」

　しゅんと耳を垂らしながら干し肉を齧かじるクロウに、ブラックは歯軋はぎしりをしながらびしびしと干し肉を突きつける。

「お前が言うなお前がッ！！　ツカサ君をみて速攻で自慰しに行ったくせに！」
「オレはツカサの体の事を考えて、性欲を散らそうと自慰をしに行ったんだ。お前のように肉欲に負けて浅ましくツカサを犯すマス掻き猿と一緒にするな」
「だれがマス掻き猿だ殺すぞこの変態熊ぁあああ！！」
「だー！！　お前ら食事中にそんな話すんな――――！！」

　なんでアンタらはいつもいつもそう周りの目を気にせずに！

　頼むから食事の時くらいは静かにしてくれよと半泣きで怒鳴ると、二人は俺の顔をじっとみて素直に座り直した。
　おう。……おう？　なんか妙に素直だな。
　俺の嘆きを真剣に受け取ってくれたんだろうか……と思ったけど、なんかそんな顔じゃないなこいつら。本当に何考えてんだ。

「……今何考えてる？　怒らないから言ってみ」

　真顔で俺を見つめる二人に問いかけてみると。

「いや……本当顔真っ赤で半泣きのツカサ君ってやらしいなと思って」
「股間がうずく」
「ばかーーーー！！」

　表情一つ変えずに言い放ったオッサン二人に、俺はもう我慢できなくて、自分が持っている干し肉を思いっきり二人の顔に叩きつけた。

　声ガラガラなのにまだ叫ばせるのかテメェらわあぁああああ！！

「ツカサ君お行儀わるい！」
「食べ物を粗末にしてはいかんぞツカサ」
「うぎいいいいいこんな時ばっかりクソ大人ぁああ」

　このドちくしょうどもめ。俺よりトシのくせして、なんでそういっつもいっつも発情してんだよ、そんな所まで人間の限界超えなくていいんだってお前らは。
　もう付き合いきれなくて、俺は悔し涙を拭うと二人の頭を叩き、干し肉とスープを持って家から飛び出した。

　……いや、うん、もちろん家出じゃないよ。
　納屋に居るマーサ爺ちゃんとリオルに食べ物を持って行くだけです。

　もう性欲の権化みたいなオッサン共と話したくない。頭を冷やせほんとに。

「大人なんて嫌いだっ、ずるい、ずるいしスケベだ！！」

　一般的にはそうじゃないのは解ってるけど、いつも一緒に居る大人がそうだから嘆かずには居られないんだよ。
　俺だって女の子にルパンダイブなんてしたことないのに、女子の前ではスケベな会話すらも自重してたのに、どうして中年になると遠慮が無くなるんだ。なんの呪いだよ。俺より直球でスケベってどういう事なんだよいい大人が！

　もうやだ、俺は納屋でお爺ちゃんに慰めて貰うぞ！
　せめて今夜だけでもまともな大人と一緒に居たい！！

「うえぇえんお爺ちゃああああん」

　泣きながら納屋の扉を開けると、そこには小人妖精のマーサお爺ちゃん……ではなく、お爺ちゃんのとんがり帽子をチクチク縫っているリオルが居た。

「ありゃ、ツカサちゃん。どったのよ」
「あぇ」
「……えーと……皆まで言わなくてもダイジョブだぜ？　その様子だと……まあ、アレだよな。あのオッサン達だよな」

　リオルはイケメン茶髪ナンパ野郎だけど、そう言えば意外とまともな大人だったんだっけ……ケーラーさんの事だって、結構真面目に大事にしてたんだし。
　それを考えると警戒心が解けて、俺はリオルに謝りながら食事を渡した。

　リオルは干し肉にスープという謎の質素な献立に困惑していたようだったが、俺の様子で何となくナニが有ったのか察してくれたのか、微苦笑して俺の頭を優しく撫でてくれた。

「ツカサちゃんも大変だなあ。こんなに声嗄からしてさ……まあ、俺にゃあこう言う事しか出来ないけどさ、ちょっとくらい休んでいきなよ」
「リオル……」
「俺さあ、ツカサちゃんの事は本気で好きだから、わりとオッサン達の傍若無人さにはイラッとしてんだよね。……あのクズを思い出すしな」

　そう言って憎々しげに顔を顰めるリオルに、俺はなんだか申し訳なくなった。
　あの後、リオルはマーサお爺ちゃんに諭さとされて村を出る事に渋々納得したものの、未だにケーラーさんを壊したパーテルを恨んでいるし、あの村に対しては良い感情を持ってはいない。今だって、こうして俺を心配している。

　強引に関係を結ばされた……のは、まあ、本当だし、俺もブラックの変態っぷりには物凄く苦労してるけど……でも……嫌いではないワケだし……その……怒って貰えるのは嬉しいが、悪い男と一緒にされるのはちょっと悲しいかな……。
　でも、俺を気遣ってくれるリオルにはそんな事など言えない。

「ツカサちゃん、俺がメシ食べる間だけでもここに居なよ。あいつらが何か言って来たら、俺が呪い殺すからさ」
「こ、殺すのはちょっと……でも、ありがと……リオル……」

　お礼を言うと、リオルは少し照れたように顔を赤らめて、ナンパ男らしい明るく軽い笑顔でニッと笑って見せてくれた。

　……イケメンは嫌いだし爆発して欲しいけど、リオルとお爺ちゃんには、やっぱ幸せになって欲しいな……。リオルは髪を遊ばせてるような奴だけど、弱い人の事を考えてくれる優しさが有るし、そう言うイケメンって、キャラとしては俺も結構好きだし……。つーか、結構深く関わっちゃったんだから、どうにかして穏やかに過ごせるようにしてやりたい。

　お爺ちゃんが言うには、新しい主あるじを得て心が満たされれば、リオルも憎しみから解放されるらしいんだけど……魔族の国で見つけられるのかな。
　一応シアンさんには手紙を送ったんだけど、返事はいつ届くのやら……。
　うーん、納屋暮らしをずっとさせるのも心苦しいし……。

「ツカサちゃん？」
「あっ、え、なに？」

　物思いにふけっている所に急に話しかけられ、慌ててリオルの方を見やる。
　すると、相手は少しはにかむように笑って……俺の手を、ぎゅっと握った。

「俺さ、マジでツカサちゃんの事が心配なんだよ。……俺の娘……ケーラーのようにはならないってのは解るけどさ、でもさ……愛するってのにも、限度があるとは思わねーか……？」
「…………」
「人の付き合い方は千差万別だけど、ちょっとは……あいつらにもお灸きゅうを据えた方が良いと思うぜ、俺は。……ツカサちゃんのためにもさ」
「お灸…………」

　この世界にもお灸ってあるんだ……と今更な事を思ってしまったが、そうではなく。確かに、俺だってやられっぱなしだし、恋人って言うならもうちょっと……。
　でもなあ、泣いて嫌がってもアイツは興奮するだけだし、しっかり怒っても発情するしなあ……。喧嘩とかもヤだし、でも健全な付き合いをするならちゃんと俺も意思表示をした方が良いと思うし、うーん……。

「はぁ……ツカサちゃん、ほんと純情なんだねえ」
「え？」

　何が？
　意味が解らなくてリオルを見ると、相手は呆れたように眉を上げた。

「そんだけ一生懸命考えるって事は、ちゃんと相手の事好きだってことだろ。……本当、あのゲスなオッサン達には勿体ないわ」

　そんな事ない、と言いたかったが……何故か顔の熱が爆発したせいで、俺は何も言えずにただ口を金魚のようにパクつかせる事しか出来なかった。









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※クロウのド変態っぷり大解放はまた後日じっくりやります
　二人とも遠慮が無くなってきちゃった…。たまには普通のエロいれてえん
　ですけど、いかんせん攻め達の性格が……(´・ω・｀)
　らぶらぶえっちをいれたい……