異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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白砂村ベイシェール、白珠の浜と謎の影編

  その我慢が本当に自分の意思であれば2

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 そうだな、そういう事情の方が納得して貰えるよな……。

 今の状況を説明するより、一般的な理由で歩けない方が変態と思われなくて済むし……そうだよ変態だよこんなの。なんなんだこのプレイはよ。
 これで歩けとか言われてたら、俺本当にガチで怒ったんだからな。マジで。
 そんないきどおりをめて相手を睨みあげるが、大した効果は無い。

 部屋から出て軽やかな足取りで廊下を歩くブラックは、うざったいレベルで俺をチラチラと見ながら実に嬉しそうに顔を緩めていた。
 ちくしょう、このスケベ親父め……。

 誰かに一発殴られろと思っていると、ブラックは急に俺を抱え直した。
 何をするのかと思っていたら、見ているだけでは我慢できなくなったのか、そのだらしない顔を近付けて来る。

「んふふふふ……ツカサ君の顔が近いな~」
「だあぁすり寄るなってば! ヒゲがいつもより痛いんだけど!!」

 いたいっ、なんかいつもより長いんすけど無精髭がっ!!
 歩きながら髭でじょりじょりしてくるオッサンに「やめろ」と訴えると、相手はきょとんとした顔で首を傾げた。

「あれ、濃い? 変だなー、毎朝それなりに整えてはいるんだけど」
「伸びそうなのを微妙に剃ってるだけだろお前は……もうすぐ夕方だし、そのせいなんじゃないの? なんか夕方にすげー濃くなる人もいるんでしょ?」
「そりゃまあ、確かにいるけど……僕はそう言うんじゃ……うーん? まあいいか、宿屋に戻ったら剃るよ。そしたらまたじょりじょりしてあげるね!」
「いらん!!」

 ガタガタ言ってないでさっさと歩けと必要最低限で怒ると、ブラックはぶーぶー言いながらも上機嫌は崩さずに階段に差し掛かった。

「ツカサ」
「クロウ? 今いくよ」

 階下から俺を呼ぶクロウの声が聞こえて、俺は返事をする。
 ブラックに慎重に降りて貰って、恥を忍びながらウソの説明を二人に行ったのだが……リオルはニヤニヤするし、クロウは不機嫌そうな雰囲気でブラックを見るしで、なんだか結果はかんばしくなかった。
 バレてはないみたいだけど……いや、深く考えるのはよそう。

「それで、なんかあったの? ツカサちゃん」
「い、いや……女性が居たって証拠だけは、何個も見つけたけど……」

 抱っこされたままで言うと、リオルは妙な顔をしてブラックと俺を何度か交互に見やり、眉をしかめた。

「……それだけ?」
「え……うん……」
「…………そう、なんだ。いや、うん、ああ、いいけどね! そんじゃ俺達の成果をみせてあげましょーか」

 何だろ、なんかリオルらしくない反応だな。
 気にはなったが深く追求する事も出来ず、俺はクロウとリオルの成果を見せて貰った。二人が見つけたのは、なんと……。

「うおお! これは……絵画、かな?」

 クロウとリオルが見せてくれた「成果」は、なんと色褪せ始めた絵具で描かれた肖像画らしきものだった。
 その絵画の中央には、綺麗な桃色の髪と海のように青い目を持つ可愛らしい少女が座っており、その隣には、美形ではあるが軽薄そうな顔立ちの若い男がかしこまったポーズで立っている。その絵画の裏には、二つの名前が彫ってあった。
 そう、ケーラーとパーテルの名前が。

「これで、この家がケーラー・ガメイラ夫人のいた家と言う事は確定したな」
「いやーココがマジもんの呪いの家だったとは俺もびっくりだよ。女の子連れ込むには丁度いいかもな~」
「人様の家だぞやめんか!」

 いや俺達も人の事言えないんですけど、でもそういうのダメ絶対!
 せめてヤるならダンジョン……いやもうそういうのは良いです。

「そのほかには何か無かったのかい?」
「別になんも無かったっすねー。どこもかしこもホコリだらけだし」
「……人が歩いた跡も無かった?」

 二人に聞くと、クロウが首を振った。
 どうやら俺の質問の意図が分かったらしい。

「足跡どころかオレ達以外の誰かが入った形跡すらなかったぞ。……誰も、な」

 クロウが見間違いをするはずもない。だとしたら、この家には本当に誰も出入りしておらず、お爺ちゃんは俺達にウソをついていたって事になるけど……。
 でも、それならどうして「ここで暮らしてる」なんて嘘をついたんだろう。
 家を守りたかったから? それとも、自分がどこへ帰っているかって事を知られたくなかったんだろうか。でも、知られちゃいけない家って一体……。

「まあ、もうすぐ夕方だしもうここは良いんじゃねっすか? ツカサちゃんを早く宿に返してあげましょーよ」
「ああ、そうだな。こうして抱いたままではツカサも緊張して疲れる」

 もう肝試しには飽きたらしいリオルの声に、クロウがすぐさま頷く。
 確かに、抱っこされてると重くないかと気を使って無意識に緊張してしまうんだけど……でもいつのまに仲良くなったんだろうこの二人。
 まあ、ブラックも俺を……っていうか俺のケツをおもんぱかってか「そうだね」と素直に納得してくれたから結果オーライなんだけども。

 色々と思う所は有ったが、満場一致で今日はこれまでにしようと言う事になり、俺達はリオルと別れて人気のない道を選びながら宿へと戻った。

 流石に宿の中でまで抱っこされたくないので、宿の近くの路地で降ろして貰い、よろよろと自分の足で歩いたのだが、本当にヤバい。
 ブラックの野郎どんだけ出したのか知らないけど、ケツの中に液体があると言う謎の感覚はあまりにも耐えがたく、集中してないとすぐ垂らしてしまいそうだ。
 俺が女でアレがソレだったら、この状況保てる気がしねえわ……。

 だが、俺も男だ。根性があるのだ。
 逆境に負けていてはいつまで経っても負け犬である。
 なんとか苦心して腹と括約筋を刺激しないように宿に入ると、当たり障りのない会話を女将さんとしてゆっくりと移動した。

「……よ、ようやくトイレで処理できる……」

 よくぞ頑張った俺、と自分を褒めながら一階にあるトイレに向かおうとすると。

「あれ。なんか貼ってあるね」
「ム……。厠が酔っ払いにより破損、修理のため二日間使用不可……」
「う、うそぉ……!!」

 青ざめた俺の背後で、女将さんが申し訳なさそうに笑いながら声をかけて来る。

「ああ、ごめんねぇ! まったく困っちゃうよねえ。しょうがないバカがうっかり床をぶちぬいちゃってさ。だからさあ、申し訳ないけど、庭に穴をあけてあるから用はそこで済ませておくれよ」

 無理ですうううううううううう!!!!
 あーーーーっ、ああああーーーーっ!!!
 なにそれもう無理じゃん体洗うにしろ庭ってあれでしょ、井戸の近くの所でしょ、じゃあそこで処理するにしても絶対なにしてっかバレんじゃん!!
 人に見られたら終わる奴じゃんそれえええええ!!
 まってほんとまってどうすりゃいいのおおおおおおお!!

「つ、ツカサ君落ち着いて!」
「ツカサ、そんなにもよおしていたのか?」

 そうじゃないけどそうなんです、もう限界なんです!!
 う、うう、でもどうしよう、無理って、無理ってぇえ…………。

「こうなったら部屋で処理するしかないよ。ほら、桶持って来てさ」
「うう、うううう……」
「良く解らんが、桶ならもって来るぞ。先に部屋に戻っていろ」

 ああぁ、クロウが妙に物わかりが良い……これでもあれだよね、俺がしょんべんしたいって勘違いしてんだよね……ごめんほんとごめん……。

 部屋でそんなことをすんのも嫌だけど、ケツから精液掻き出す所をみられるのも滅茶苦茶嫌ぁあ……どうしよう、クロウだけ外に出すなんて可哀想で嫌だし、でもクロウったらなんか機嫌悪そうだから、俺達が変な事をしてたのを知られるのはちょっとマズい気もするし……。
 ああもう、どうすりゃいいんだぁ!

「とにかく部屋に戻ろう。このままじゃバレちゃうからさ」
「ううう……」

 バレたらヤバい事をやったのは誰だ、と言いたかったがどうしようもない。
 ブラックの肩を借りてなんとか階段を上がった俺は、そこからまた抱っこをして貰ってなんとか部屋に辿たどり着いた。情けない。

「うーんと……じゃあ、とりあえず……桶が来るのを待って……」

 布で隠すかなあ、などと言いながらベッドに座り、ブラックはそのままごろんと寝転がる。髪が長いんだから、せめてホコリを落とすためにいてから寝ればいいのに……と思っていたら、この野郎本当に寝始めやがった。

「お、おい……ブラック……?」

 まさかこの状態で寝るはずがないよな。冷や汗を垂らしながら、目をつぶって安らかな寝息を立てているブラックの頬を叩く。
 しかし相手は全くと言っていいほど目を覚まさなかった。
 おい。おいこら、出すモン出してスッキリしたら眠くなったってか!?
 ふざけんじゃねーぞお前ー!!

「ちょっと、おいっ! ブラック……!!」

 冗談はやめろとでかい肩を揺すっていると、クロウがもう戻って来てしまった。
 は、はやい。早いよクロウぅう!

「ツカサ、桶を持って来たぞ」

 そう言いながら、クロウは桶を床にどんと置いた。
 ついでに水も持って来た、と至れり尽くせりの対応をしてくれる相手に酷く申し訳ない気持ちになる。しょんべんにしろ別の目的にしろ、最悪な用途に使うモノを持って来て貰ったのだ。なんかもう自分が情けない。

「あ、ありがと……」
「さあ、用を足すと良い」
「え…………」

 な、なに。今なんつった?

 桶の前に陣取って仁王立ちで「ここに居る」宣言をして、なんつった?
 よ、用を足せって、まさか。

「えっ、い、いや、流石にあの、見られながらは……」
「何を言っている。オレはツカサの可愛いおちんちんを何度も見ているし、男同士で連れ立って小便に行く事も有るだろう。間近で見守っても問題あるまい」
「そ、それはそうだけど、でも、俺一人だけ見られるってのは……」
「……それとも、見られたくない用でもあるのか?」

 何故か急に冷えた雰囲気になった声に、思わずクロウの顔を見上げる。
 桶を挟んで見つめた相手の顔は……何故か、とても怒っていた。

「くろ、う……」
「ブラックの目の前で無理矢理体を拓かれるか、人気のない所まで移動し、オレに身を委ねるか……どちらかを選べ」
「ぁ…………」

 その言葉で、俺は全てを悟った。
 クロウは……あの廃墟で俺達が何をしたか、もう気付いていたのだと。












※エロが続くよ。次はクロウにいぢめられるの巻 ('A`)<また酷いよ
 
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