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9話 ユウキの助け
しおりを挟むリオンが部署に戻ると村山部長が来た。
「名井野さん、ちょっといいかな?」
「はい…」
2人は休憩室に入ると村山部長はリオンにコーヒーを渡した。
「ありがとうございます」
「聞いたよ。異動の話が出てるんだって?」
「…はい」
「もちろん断るよね?」
「え?どうしてですか?」
「どうしてって…本社なんて今よりキツイだけだし。それに今、名井野さんに抜けられるとこっちは困るんだよ」
「もう受け入れました。本社に行きます。なるべく早く」
「えっ⁈もう返事したのっ⁈どうして‼︎」
「ここで働いてるより多少キツくても本社がいいです。部長も知ってるでしょ?私がいじめにあってるの」
「そっ…それは…」
「部長は見て見ぬフリしてますもんね」
「ごめんっ。もうそういうことがないようにするから。残ってくれ」
「…すみません」
リオンは立ち上がった。
「もう決めましたので。失礼します」
「あっ…ちょっと待ってよっ」
村山部長がリオンの腕を掴もうとすると、突然村山部長は転倒した。
「痛ってー」
「だっ…大丈夫ですかっ⁈」
リオンが村山部長を起こそうとすると村山の横にユウキが立っているのが見え、リオンは目を疑った。
えっ…ユウキ…
「ユウキ⁈」
するとユウキは笑顔で消えて行った。
幻覚⁈でも確かにユウキが見えた…
村山部長は立ち上がり足を引きずりながらその場を去った。
疲れが溜まっていると感じたリオンは同僚のユミを誘って飲みに行った。
「えっ…それで本社に行くのっ⁈」
「うん…ユミと離れるのは寂しいけど…」
「…まぁでもよかったんじゃない?最悪な環境から抜け出せるし」
「うん。それが1番嬉しい」
「でもこのタイミングで本社に異動の話が出るなんて本当によかったね」
「本当驚いた。まさか私だなんて」
「社内の女たちはどう?今日は何もしてこなかった?」
「それがねっ…私のお弁当に牛乳をかけられそうになったんだけど、なぜかその人は自分で牛乳かぶったんだよ」
「えっ⁈何それっ。どういうこと⁈」
「わかんない。それに私を引き止めようとした部長は突然転ぶし」
「へぇーっ…リオンは守られてるんだね」
「ご先祖様に?」
「うん。それか…ユウキ君とか」
「そういえば…」
「何?」
「いや何でもない」
「何よっ、気になるじゃないっ」
「…それが…ユウキを見た…」
「え?」
「今日、転んだ部長の横にユウキが立ってた」
「ちょっ…ちょっと…鳥肌立ったじゃない…」
「すぐ消えたけど、ユウキだった」
「リ…リオン?真面目な顔でそんな冗談言わないでよぉ」
「でも確かにこの目で…」
「リオン…疲れてるのね」
「、、、、」
「情緒不安定になってるんだよ。くだらない社員たちのおかげで…」
「…そうだよね。ごめん、変なこと言って」
「よしっ、今日は飲んで発散しよっ」
「うん」
そうよ…気持ちが不安定なせいで幻覚が見えただけよ…
そして2時間後、リオンは家に帰った。
シャワーを浴びてベッドに入るがなかなか寝つけなかった。
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