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77話 出所祝い
しおりを挟む裁判が終わりシュンは着替えを済ませた後、裁判所を出た所でたくさんのマスコミに囲まれた。
「車、出して来ますね」
「うん。スミと専務も岸田秘書と一緒に行って車で待ってて」
「社長…大丈夫ですか?」
「うん」
「じゃ車で待ってるね」
1人残ったシュンはマスコミ1人1人の質問に受け答えをしていた。
この模様はテレビでもニュースで大きく報じられていた。
そしてシュンは対応を終え、岸田秘書の車に乗った。
「すごいマスコミの数でしたねっ」
「当たり前だろっ。地曽田グループの社長だぞっ」
「ですよね~」
岸田秘書と専務は嬉しさのあまり顔が緩みまくっていた。
スミはシュンの手を握り離さなかった。
「3人とも本当にありがとう。もう俺…ダメかと」
「社長っ、そういった事は後でゆっくり聞きますのでっ」
「…今どこに向かってるの?」
「お店、予約しました。出所祝いしましょう」
「実は判決が下された後、すぐ予約したんですよー」
「社長…しばらくお酒飲んでないでしょっ」
「食事だって質素な物ばかりだったでしょ?今日はたくさん飲んでご馳走食べましょ!」
「2人とも…ありがとう」
シュンは黙って隣に座っているスミの手を握り返した。
予約したお店に着き4人は乾杯した。
「社長っ、久しぶりのビールどうですかっ?」
「すっ…ごく美味しい!」
「私も久しぶりに社長と飲めて嬉しいし美味しいです‼︎」
「何気に僕たちも久々にお酒飲みます」
「本当…みんなには迷惑かけて申し訳なかった…」
「何言ってるんですかっ。迷惑だなんてっ」
「社長…私たちは結局何も出来ませんでした。スミさんのおかげですよ」
「私は別に…」
「スミ、ありがとう。今度斉藤くんの面会に行こう」
「…うん」
「岡田はどうなるんですかね?また由希さんが保釈金払って出て来たりしませんよね?」
「お前ら見なかったのか?由希さんはすごい顔して途中で出て行ったぞ。岡田は見放されたんだよ」
「そうなんですかっ⁈でもそうですよね。それでも岡田を助けてたら由希さん異常としか思えません」
「ところで父さんは来てなかったようだけど」
「あっ…会長は体調崩されて家で療養されています。すみません…会長から社長には心配かけたくないからって口止めされてたんです」
「えっ⁈体調崩したって…悪いの⁈」
「風邪ひかれたみたいで…近いうち実家に行ってあげて下さい。会長も喜ばれると思います」
「そっか。わかった」
「スミさん、飲みましょっ」
「はい」
「スミ、無理しなくていいからね」
「…うん」
スミの気持ちをわかっているシュンはスミのことをそっとしていた。
「ところで社長…今だから聞けますが刑務所生活はどうでした?」
「どうって…いいもんじゃないよ‼︎けど…いい経験させてもらったよ」
「同じ部屋の人にいじめられたりしませんでした?」
「しないよっ。ドラマの影響受け過ぎだよ」
「でも社長の囚人服姿…意外とカッコよかったなー」
「僕も思いましたっ。社長は何着ても似合いますよね」
「全然嬉しくないんだけど…」
会話とお酒が進み2時間が過ぎた。
「社長っ!本当嬉しいです‼︎こうしてまた一緒に飲めるなんて。すごく嬉しいです」
岸田秘書は酔ってしまい涙を流していた。
「おいおいっ…何泣いてんだよっ」
「岸田秘書、俺も嬉しいよ」
「社長ーっ」
「えっ」
岸田秘書はスミを押し退けるとシュンの隣に行き抱きついた。
「ちょっとっ…」
「岸田秘書、酔いましたね」
「こんなに早く酔うなんて珍しいね」
スミはシュンに抱きついている岸田秘書を見て、この日初めて笑顔になった。
「ちょっと寝かせておきましょうか」
「そうだな」
シュンは岸田秘書を横にさせた。
「よっぽど嬉しかったんですよ。私も岸田秘書の気持ちよくわかります」
「岸田秘書…」
「帰りは私の家に連れて行きますので」
「助かるよ」
「私ちょっとお手洗い行って来るね」
「うん」
スミが席を外すと専務が険しい顔をしてスミの会社が倒産した事を話した。
「えっ…本当かよ⁈どうして話してくれなかった⁈」
「すみませんでした…SS社が既に株を買い占めて会社ごと買収したのでどうしようも出来ませんでした。本当すみません…私の責任です」
「SS社が…」
「岡田はもう居ません。SS社を抜く計画はどうしますか?施設を増やすのも今は中断しています。正直うちも今は危機的状態です」
「…実行する。SS社を抜いて全て取り戻す。柳本グループも。会社がこうなったのも俺の責任だ。早く信用を取り戻すしかない」
「社長…わかりました。1度はうちも信用失くしましたが、きっと信用取り戻せるはずです。逆にSS社の信用がなくなるでしょう」
「とりあえず明日、朝一から役職会議をする」
「わかりました」
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