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第2章

最終話 これからの2人の未来

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この日、離婚届を役所に提出した後2人はスミの実家で夕食をとる事になった。

夕方、実家に行くとテーブルの上には料理がたくさん並んでいた。


「お母さん、これ全部作ったの?」

「そうよ」

「すごいですね!大変だったでしょ?」

「まぁね…味は保証出来ないけど」

「でも3人なのに作り過ぎじゃない?」

「実は…まだ人呼んでるの。もうすぐ来ると思うわ」

「えっ…誰が来るの?」

「僕はここに居ていいんですか?」

「私は何人か初対面の人もいるけど地曽田さんの知ってる人ばかりよ」

「えっ?」


するとチャイムが鳴った。 


「来たようね」


母親は玄関を開けて来客をリビングに通した。


「岸田秘書!黒川専務!…えっ」


他にも地曽田グループの社員たちが呼ばれていた。


「どうして⁈」

「私が専務に頼んだの。あなたの会社の人よく知らないから」

「スミさんのお母様どうも初めまして。私は地曽田社長の秘書をしております岸田と言います」


社員たちも次々に挨拶をした。


「そんなにかしこまらなくていいから座って下さい」


スミとシュンも訳がわからず席についた。


「今日はたくさん食べて飲んで下さいね」

「すごいご馳走!いただきますっ」

「どうぞ。岸田さんと専務もどうぞ!」

「あっ、はい!いただきます」

「あの…地曽田さん」

「はいっ」

「専務はもうしばらくうちで働いてもらってもいいかしら?専務がいたら助かるのよ」

「はい、もちろんです」

「社長…じゃあしばらくそうさせて頂きます」

「あっ…それから皆んな、こちらの女性は…」

「社長の彼女さんですよね!」

「えっ…う…うん」

「柳本スミと言います」

「お似合いですっ‼︎」

「そのうち彼女じゃなくて奥様になるんだからなっ」

「ちょっと…黒川さんっ」

「何ですか、奥様っ」


ヒューヒュー!


周りが冷やかし始めるとスミは顔を真っ赤にして下を向いた。

すると母親が立ち上がった。


「皆さん今後ともこの2人を温かい目で見守っていて下さい。よろしくお願いします」

「お母さん…」


シュンはスミの肩に手を回した。


みんなからの拍手が飛び交った。



それから3時間…楽しい時間はあっという間に過ぎシュンとスミ以外の人たちは帰って行った。


「お義母さん…今日はありがとうございました。僕たちの為だったんですね」

「あなたの会社の人たちはいい人ばかりね。それもあなたが信頼されているからよね。私も見習わなくちゃ」

「専務は出来る人ですので色々と助けてくれるはずです」

「そうね。ありがとう。それからすぐに籍は入れられないけど…スミのことよろしくね」


後片付けをしているスミを見ながら言った。


「はい。任せて下さい」

「あなたなら安心よ。本当によかった…」


そして片付けが終わりスミとシュンは実家を後にした。


「スミ…ちょっと食べ過ぎちゃったから散歩しない?」

「うん。いいよ!」


2人は近くの公園まで歩いた。


桜の花が少しずつ咲き始めていた。


「もう春だね」

「うん」

「私たち…本当に色々あり過ぎたね」

「…そうだね」

「シュンには助けられてばかりで…本当に…」

「それ以上何も言わなくていいから」

「シュン…」

「俺、スミが居ない人生なんて考えられない。それだけスミが必要なんだ」

「シュン、それは私も一緒だよ」


シュンは指輪を取り出した。


「えっ…」

「女性は再婚となると離婚して100日後になるからすぐには出来ないけど」

「…うん」

「この先もずっと一緒に居たい。スミを一生幸せにしたい」

「シュン…」

「だから…100日後、僕と結婚して下さい」


スミは指輪を自分の指にはめた。


「私もシュンと一生幸せに過ごしたい。ずっとずっとシュンの隣に居たい」

「スミ…」

「よろしくお願いします」


2人は抱き合った。




2人を切り離そうとする人は居なくなり、ようやく明るい未来が見えてきた。


はずだったが…




    スミ…愛してるよ。


    シュン…私も愛してる。



           

             ~END~


          



              


                         
           

            
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