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第1章
38話 由希の誘い
しおりを挟むこの日、シュンの妻の由希は探偵事務所に行きシュンのことを依頼していた。
夜になり、帰宅したシュンが入浴している間にシュンのバックの中をチェックした。
珍しく机に置いたままにしている携帯もチェックしたが仕事関係の連絡ばかりで疑わしい事はなかった。
本当に浮気してるの…?
柳本さんの見間違いじゃないの…?
とりあえず探偵には1週間頼んでいるからその間何もなければシロね…
シュンは湯船に浸かりスミのことを考えていた。
まさかご主人に見られてたなんて…
スミ…本当に大丈夫かな…
スミが辛い思いせず幸せならそれでいい…
シュンはスミと距離を置こうと思った。
1週間後、由希は結果を聞きに探偵事務所へ行った。
「1週間ご主人を尾行しましたが特に女性の影はありませんでした」
「本当ですか?」
「はい。これが1週間の調査結果です」
由希は渡された写真をじっくり見る。
「特に会社からも出て来られませんでしたし、仕事が終わってもどこへも寄らず真っ直ぐ家に帰られてました」
「そうですか…わかりました。じゃ、これ」
「えっ、こんなに⁈」
安心した由希は予想以上の報酬金を渡した。
「ええ。ありがとうございました。では私はこれで」
由希は機嫌良く帰って行った。
やっぱり柳本さんの見間違いだったんだわ…
もしかして私と関係持ちたくてわざと?
そうに違いない…だとしたら私…
何て事してしまったの…⁈
シュン…ごめんなさい…
今夜こそシュンと…
この日の夜、由希は寝ているシュンのベッドに入りシュンのシャツを脱がし始めた。
「えっ⁈」
「シュン」
「何やってるんだよ」
「いいでしょ?」
「ごめん、疲れてるんだ」
「いつになったらしてくれるのよ‼︎」
「…ごめん」
「私たち…夫婦でしょ⁈」
「…形だけの夫婦だろう」
「何でよ‼︎親が決めた結婚だから?好きでもない人と」
「そうだよ。初めは努力したけどやっぱり」
「いいのよ‼︎シュンをこうして手に入れただけでも。私は構わない…」
由希は自分のベッドに戻ると悶々としてしまい眠れなかった。
その時裕二のことが頭に浮かんだ。
翌日、シュンが出勤すると由希は裕二に電話をかけた。
「由希さん⁈電話くれるなんて…嬉しいです‼︎」
「あっ…あの」
「どうしました?」
「今日、お仕事何時頃終わりますか?」
「え…18時には終わると思いますけど」
「会えますか?」
「はっ、はい‼︎もちろん‼︎」
「じゃ、この前のホテルで待ってます」
「わかりました‼︎」
裕二は喜びのあまり飛び跳ねた。
夕方2人はホテルで会った。
「今日はびっくりしましたよ。まさか由希さんから誘ってくるなんて」
「実は昨夜…主人に拒まれて…」
「え?どうして⁈」
「疲れてるからって…」
「…ひどいですね」
「プライドズタズタです。そんな時柳本さんを思い出して…」
「そ…そうですか」
「本当はもう柳本さんと会うのはやめるつもりだったんです。主人を裏切ることになるから」
「え…ご主人も由希さんを裏切ってるのに?」
「裕二さんの見間違いだったみたいですよ。実は主人のこと探偵に依頼したんです。そしたら何もありませんでした。シロだったんです」
「え…ここ最近はおとなしくしてただけでしょ…見間違いなんかじゃありませんよ‼︎」
「…そうですか」
「信じてないでしょ?」
「しばらく様子見てみます」
そして2人はベッドに入った。
その頃、スミとシュンはそれぞれお互いの事を考えていた。
21時過ぎ、裕二が帰宅した。
「遅かったのね。ご飯は?」
「食べて来たから大丈夫だよ」
ホテル帰りの裕二はご機嫌だった。
そんな裕二を見てスミはチャンスだと思った。
「ちょっとコンビニに行って来ていい?アイス食べたくなって」
「え…」
スミの携帯も俺が持ってるし、あいつとは連絡取れないから大丈夫か…
「ダメ?」
「いいよ。すぐ帰って来いよ」
「ありがとう」
その頃シュンは由希がまだ帰って来ない間に公園に行きベンチに座っていた。
スミはコンビニには行かず、久しぶりに公園に向かった。
2人は気持ちが通じ合ったのだ。
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