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第1章
35話 禁断な2人
しおりを挟む裕二は地曽田家を調べ歩いて家を探していた。
20分ほど歩き裕二は立ち止まった。
ここか…あいつの家は…
裕二は立ち止まったままじっと家を見ていると、シュンの妻の由希が玄関から出て来た。
あ…あいつの奥さん…
由希は裕二の姿に気付き、近寄って来た。
「あの…うちに何か用ですか?」
「あ…いえ…」
「…あなたは確か」
「え?」
「うちの創立記念パーティーで会いましたよね?」
俺のこと覚えててくれたんだ…
「はい…」
「確か…柳…柳本グループの社長さんでしょ?」
「そうです」
「シュンに用事ですか?今日は接待で遅くなると思いますよ」
「あ、そうですか…」
「何か伝言あれば伺いますよ」
裕二は由希に見惚れていた。
「柳本さん?」
「あ…あの、少し時間ありますか?ご主人遅いのならよかったらお茶でもどうです?」
「えっ?」
「奥さんに話したい事もあるので」
「それは…シュンのことですか?」
「…そうです」
え…まさかシュンに女が…?
由希は妄想癖が激しい人だった。
「ちょうど飲みたかったんです。お茶ではなく、お酒飲みに行きません?」
「本当ですか⁈行きましょう‼︎」
2人はタクシーを拾い、バーに行った。
「こんなきれいな人と飲めるなんて嬉しいな~」
「それより話したい事って…?シュンがどうかしたんですか?」
「もう少し飲んで話します」
「いい話じゃなさそうですね…」
「お2人は上手くいってるんですか?」
「えっ?も、もちろん上手くいってますよ」
「…そうなんですね」
地曽田の奴…
奥さんと上手くいってるのにスミとも…
「柳本さんのところは上手くいってるんですか?」
「はい。上手くいってますよ」
「パーティーの時見たけど尽くしそうな人でしたもんね」
「…ですね」
「うちまでタクシーで来たんですか?」
「歩いて来ましたよ。近所なので」
「えっ、そうなんですか⁈」
「本当は奥さんに会いに行ったんです」
「え?私に?あっ…シュンの件でですね」
「だからご主人には僕のこと言わないで下さい」
「そ、それはいいですけど…」
「次、何飲みます?」
「じゃ…ウォッカで」
「ウォッカ?じゃ…僕も」
バーに来て1時間飲み続けた2人は、いい感じに酔ってきた。
「あの…そろそろ教えてくれません?シュンの事」
「あ…それが、この前女性と一緒にいるとこ見たから。ホテルの前で…」
「えっ…嘘でしょ?」
「あれは確かに地曽田社長でした」
由希はウォッカを一気に飲み干してもう一杯頼んだ。
「一緒に居た女性はどんな人だった⁈」
「大丈夫です。奥さんの方が断然きれいです」
「…いつ頃?」
「つい最近ですよ」
由希は次々に飲み干した。
よしっ、その調子でどんどん飲めっ…
裕二は心の中で思った。
「その日だけだったかも知れないし、わからないですよ。ただご主人には目を光らせてた方がいいですよ」
だからシュンは携帯を離さないのね…
帰りが遅いのはその女と…?
もしかして今日も…?
由希が平常心ではないとわかり、裕二は由希の肩に手を回し耳元で言う。
「ご主人とちゃんとしてます?」
「え?」
「アレですよ。アレ」
「…いいえ」
「僕も妻と全然してないんです」
「そ…そうなんですか?」
「今頃ご主人、何してるんですかねー。本当に接待ですかねー」
「…柳本さん‼︎もっと飲みましょ‼︎今日は酔いたい気分です」
すると裕二は由希に軽くキスをした。
「えっ」
「2人だけでゆっくり飲めるとこ行きません?」
2人はしばらく見つめ合い、バーを出てそのままホテルに行った。
ホテルに入り2時間経った。
「由希さん、今までで1番最高でしたよ」
「…私も」
「たまにこうして会いませんか?」
「そ…そうですね」
「番号交換しましょう」
2人は携帯番号を交換した。
「ご主人が帰って来る前に早く帰りましょう」
2人はタクシーに乗り家に帰った。
裕二は機嫌よく家に入った。
これで地曽田は奥さんに縛られるな…
あんなきれいな奥さんともデキたし、最高だったな~
由希さんもまんざらでもなさそうだったし…
次いつ会おうかな~由希さん♡
裕二はニコニコしながら、リビングに横たわっているスミを無視して寝室に入った。
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