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第5章 すべては夢になりにけり
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「そうかぁ~キミ、お名前は?」
その人は、身体を折り畳むようにして、柚と目の高さを合わせる。
「えっ?ユウ…」
柚は恥ずかしそうに、早口でそう言う。
「へぇ~ユウちゃんなんだ」
男はニコニコして、うなづく。
「キミは…お母さんに、ソックリなんだねぇ」
じぃっと柚の顏をのぞき込む。
柚は恥ずかしそうに、コクリとうなづくと、
「あれはね、ママの靴なの。返して」
まさに一生懸命な顔をして、その男に小さな手を伸ばした。
「ユウちゃん…」
ジュンヤは、柚のことをじぃっと見守る。
「そう、ママの靴なんだ…」
男は相変わらず、微笑みながらそう言うと、
「キミは、本当に、ママによく似た…賢そうな子だねぇ」
しみじみとそう言う。
本当にこの人は、ガラスの靴の行方を、知らないのだろうか?
柚は当てが外れた…と思ったのか、ひどくガッカリとした顔になる。
「あの靴…本当に、持ってないの?」
諦めきれないのか、とても困った顔をして、そう言う。
(あれがないと、帰れない…というのは、本当なのだろうか?)
そうなると、どうしたらいいのだろう?
ジュンヤはひそかにそう思う。
「そうか、キミたちは、あの靴がないと、帰れないんだね?」
思ってもいない言葉を、男は口にした。
その人は、身体を折り畳むようにして、柚と目の高さを合わせる。
「えっ?ユウ…」
柚は恥ずかしそうに、早口でそう言う。
「へぇ~ユウちゃんなんだ」
男はニコニコして、うなづく。
「キミは…お母さんに、ソックリなんだねぇ」
じぃっと柚の顏をのぞき込む。
柚は恥ずかしそうに、コクリとうなづくと、
「あれはね、ママの靴なの。返して」
まさに一生懸命な顔をして、その男に小さな手を伸ばした。
「ユウちゃん…」
ジュンヤは、柚のことをじぃっと見守る。
「そう、ママの靴なんだ…」
男は相変わらず、微笑みながらそう言うと、
「キミは、本当に、ママによく似た…賢そうな子だねぇ」
しみじみとそう言う。
本当にこの人は、ガラスの靴の行方を、知らないのだろうか?
柚は当てが外れた…と思ったのか、ひどくガッカリとした顔になる。
「あの靴…本当に、持ってないの?」
諦めきれないのか、とても困った顔をして、そう言う。
(あれがないと、帰れない…というのは、本当なのだろうか?)
そうなると、どうしたらいいのだろう?
ジュンヤはひそかにそう思う。
「そうか、キミたちは、あの靴がないと、帰れないんだね?」
思ってもいない言葉を、男は口にした。
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