シンデレラの娘たち

daisysacky

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第1章 ママの秘密

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「なんでママは、免許を取らないの?」
 以前パパに聞いた時、パパははははと笑うと
「ママはちょーっと、向いてないかもなぁ」
柚に向かってそう言っていた。
 ママが他のママとは違う…というのは、幼い柚にも、何となく
わかってはいた。
だけどそれは、ちっとも特別なことではない。
当たり前のことなんだ…
そう柚は思っていた。
「ところでユウは…やっぱりママに、車に乗って欲しいの?」
パパは心配そうに、柚の顏をのぞき込む。
「ううん」
そんなことはないよ、と柚は全力で頭を振る。
だってママは、世界で一番可愛くて、世界で一番優しいママなんだもの!
それだけは、柚の中では、変わることのない『ゼッタイ』なのだ。

「ママはねぇ、こう見えて、馬には乗れるのよ」
 やや恥ずかしそうに言うけれども。
それは全然違うことだ…
というのも、柚には分かる。
「でもねぇ、馬って、この辺にはいないよ!
 ママって、牧場に住んでいたの?」
 ふいに柚は、昨夜のことを思い出す。
(もしかして…山の上の牧場で、のびのびと暮らしていたから…
 ユウのママは、こうなんだ…)
そう思い始めていた。
「そうねぇ、この辺では、確かに馬は見かけないよねぇ」
おかしことに…柚の言うことに、母親がいちいち真剣な顔で、うなづいている。
「ヘンなママ!
 もう、いいよぉ。
 早くおうちに帰ろうよぉ」
この問題は、これでおしまい。
(アヤちゃんには悪いけど、ヤッパリママを困らせたくないもん)
そう心の中で、言い訳をする。
「今日は、買い物はどうするの?」
ギュッとママの手を、握りしめた。
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