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Scene10 シンデレラを取り戻せ!

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「それでも…」
男の子は言葉を濁すと、
「だけどね、姉ちゃんはそうじゃなかったみたいなんだ…」
傷ついたように言う横顔は、とても寂しそうです。
「姉ちゃんは、うまく母さんとなじめないみたいで…
 なんだかギクシャクしちゃって。
 母さんは、そんな姉ちゃんに、どう相手をしたらいいのか、
 わからなかったみたいだ」
そう言うと、ひどく悲しそうな顔をしました。
「姉ちゃんが、家にいられなくなったのは、ボクのせいなんだ…」
顔をくしゃくしゃにして、泣き出しそうな顔をするので、
エラは途方に暮れて、そうっと手を差し出すと、男の子の肩に
触れました。
「なんで…そう思うの?」
優しくエラが聞くと…
初めて男の子は、急に小さな子供のように、真っ赤な顔で
エラの方を向きました。
「母さんは…姉ちゃんのことを、無視するようになったんだ…
姉ちゃんがいつも、黙ってばかりいるから。
どうしたらいいのか、わからなくなったんだ」
そう言うと…遠くを見つめる目付きになり、
「あれじゃあ、可哀そうだ」
顔をゆがめました・
「母さんはさ、やっぱりボクのことが大事で、いっぱいいっぱい
なんだ…
初めはそうでもなかったけど…
母さんとよくケンカをするようになって、
父さんが、姉さんに手を上げなかったら、
姉ちゃんも、出て行かなかったのに…」

うまく思いを言葉に出来ないようで、次々と吐き出すように
男の子は話しました。
エラはなんだか…自分がこんなこと、聞いていいのか
わからなくて…
身の置き所がわからなくて、困ってしまいました。
それだから、ちょっと口調を変えて、
「あのね、私ね、お姉さんの居場所、知ってるわよ」
そう言うと…エラは信子から預かって来た、手紙をようやく
男の子に渡しました。
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