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Scene 8 シンデレラは眠れない

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「次の出し物…何がいいと思う?」
 ようやくメンバーがそろうと、開口一番、礼美は
みんなの顏を見比べました。
「そうねぇ」
 メグミさんは、大きな布のバッグを床に下ろすと、
肩を軽く回します。
結構、ぎっしりと詰まっていたようで、かなり膨らんでいます。
「あんまり、人数のいらないのがいいわね。
 なにしろうちは…慢性人手不足だからね」
と言うと…チラリとエラの方を見ました。

 エラは、と言うと、相変わらず、カスミの家にご厄介になっていて、こういうミーティングの時は、
いつもカスミを通しているのです。
大家さんと店子、というよりも、親戚の若いオバサンと姪という関係のように見えます。
何しろ、未だ文明の利器を使いこなせないエラ…
試しに、持ってご覧、と渡されても、電話が鳴るだけで、パニック状態。
「音がするんですけど。
 この音、止めるには、どうやったらいいのですか?」と、慌てふためき、携帯を取り落とすこと、数回。放り投げること、2回。
冷蔵庫にしまいこむこと、1回。
さすがのカスミも呆れてしまい、
「いいわ、私が伝書鳩になってあげる」
思ったよりも快く、引き受けてくれたのでした。
おかげで、カスミもエラの様子が知れて、安心だし、
エラも、けたたましいブラックボックスを持たずに済んで、ひと安心。
もっともカスミが、
「これを機会に…シンプルスマホか、ガラケーでいいから、練習してみない?」
と、逆に勧めてくるのでした。
シュウヘイも、
「この人たち、ホントに信用できるのか?」
と、カスミ以上に、世間知らずどころか、時代錯誤なエラのことを、心配していましたから、かえってよかったみたいです。
「ホント、手のかかる子供を育てているみたい」
カスミは笑います。
エラとしては、そんなことないと思うのですが、
でもようやく、安心できる場所にいるので…
たとえ元の世界に戻れなかったとしても、このまま
いても、いいかなぁ…と感じ初めていました。
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