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第17章 動き出した歯車
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「家主ってほどじゃあ、ないけどね!」
マスターはクルリと後ろを振り向く。
「うちもねぇ、喫茶店だけでは、食べてはいけないからねぇ」
とニヤリと笑う。
(あっ、お客さん、いたんだ)
すっかり杏子との会話で夢中になっていた待子は、あわてて奥の席を
振り返る。
その人は、眼鏡に軽く手をやると、にっこりと微笑む。
「それならいっそのこと…家賃もタダにしてもらったら?」
冗談ともとれるような口調で、待子に向かって声をかけるので、
「タダってわけには、いかないけどな」
マスターはまいったなぁと、頭をかいた。
「でもまぁ、月1万でいいや!」
かなりの太っ腹である。
「やった!」
すかさず杏子が、手をパチンと打ち鳴らす。
「それで決まり!
待子、よかったね!」
「う、うん…」
昨日までの心配事が、まさかこの瞬間に解決されるとは…と、
待子はまだ、信じられない。
もっと早く…マスターに相談すればよかった、と思う待子だ。
するとマスターは、待子と目が合うと、ふわりと優しく微笑んだ。
「なんだったら、今日は早く、上がってもいいよ!
さっそく引っ越しの準備をしておいで」
これまでにないくらい、頼もしい笑顔で、マスターがこちらを見るので…
待子は思わず、涙がこみ上げそうになる。
(こんなに優しくしてもらっても、いいの?」と思う。
まさかまだ…悪いことが、起きたりはしないだろうか、と
待子は見つめる。
ここ数日間の、激動にも似た、バブリーな日々のことを…
思い出す。
ストーカー騒ぎの事、
火事のこと…
いきなり降ってわいたような桜ハウスの取り壊しの話…
もう、ダメだ!
このまま、家に帰るかぁ~と、ふさぎ込んでしまった。
思わぬ出来事に、一気に緊張の糸が、プツンと切れたような気がした。
マスターはクルリと後ろを振り向く。
「うちもねぇ、喫茶店だけでは、食べてはいけないからねぇ」
とニヤリと笑う。
(あっ、お客さん、いたんだ)
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振り返る。
その人は、眼鏡に軽く手をやると、にっこりと微笑む。
「それならいっそのこと…家賃もタダにしてもらったら?」
冗談ともとれるような口調で、待子に向かって声をかけるので、
「タダってわけには、いかないけどな」
マスターはまいったなぁと、頭をかいた。
「でもまぁ、月1万でいいや!」
かなりの太っ腹である。
「やった!」
すかさず杏子が、手をパチンと打ち鳴らす。
「それで決まり!
待子、よかったね!」
「う、うん…」
昨日までの心配事が、まさかこの瞬間に解決されるとは…と、
待子はまだ、信じられない。
もっと早く…マスターに相談すればよかった、と思う待子だ。
するとマスターは、待子と目が合うと、ふわりと優しく微笑んだ。
「なんだったら、今日は早く、上がってもいいよ!
さっそく引っ越しの準備をしておいで」
これまでにないくらい、頼もしい笑顔で、マスターがこちらを見るので…
待子は思わず、涙がこみ上げそうになる。
(こんなに優しくしてもらっても、いいの?」と思う。
まさかまだ…悪いことが、起きたりはしないだろうか、と
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ここ数日間の、激動にも似た、バブリーな日々のことを…
思い出す。
ストーカー騒ぎの事、
火事のこと…
いきなり降ってわいたような桜ハウスの取り壊しの話…
もう、ダメだ!
このまま、家に帰るかぁ~と、ふさぎ込んでしまった。
思わぬ出来事に、一気に緊張の糸が、プツンと切れたような気がした。
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