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第17章  動き出した歯車

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  というのも、大家さんは自宅の1部を開放して、占いなどを
しているからだ。
決して広告をうったり、宣伝とかしたりはしていないのだけれど…
よく当たるという評判が1人歩きしていて、ファンも多いらしい。
 待子も1度は占ってもらいたかったけれども…
普段は謝礼程度を取っているらしい。
さらにはDv被害を受けた人や、身よりのない人などを、
少しでも楽にしてあげたいと思い、
ここにシェルターとして、一時的に泊めることもしているらしく、
日々人が出入りしていた。

「まったく」
 大家さんの息子は、立ち働く女性たちを見て、ため息を漏らす。
「母さんには、本当に困ったもんだ」
せっせと自分の部屋から持ってきたものを、信子たちが邪魔にならないように
片付けていた。
少年はその様を、まばたきも惜しむほどに、腕組みをして見守っている。
「えっ、どうして?すごいじゃない!」
不満そうに、口をとがらせて言う。
 大家さんのおかげで、屋根の下にいる。
路頭に迷うことなく、住めているのだ。
しかもちゃっかりと、大家さんとそのお客さんたちのおかげで、
寝る場所と食料も、分けてもらっているのだ。
「なんで?」と聞いたら、ニッコリと笑い、
「だって人に貸していなければ、こんな災難が起きなかった
 しれないでしょ?」
不満そうにそう言う…
そうしてうつむくけれども、すぐに気を取り直したようで、
じぃっと待子の顔を見つめていた。

「子供の頃から…いつも知らない人が、出入りしたりするのが、
イヤだったんだ…
 赤の他人が、我が物顔で自分の家に人が入り込むのが、
 どうしても我慢できなかったんだ…」
苦々しい顔で、そう言うので…
そんなことを言われても困る…と、待子はひどくそう思った。




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