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第 16章  転がる石のように…

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  もはやマイコに至っては、無防備に手足を投げ出していて、下着も
丸見えになりそうな状況だ…
(なんでここに?)
そう思いはするけれど、おそらく自分たちも、見張るつもりだったのだ…と、
その寝姿を見て、待子は苦笑する。
 今日はもう、ここには来ないか…と、ふと思いはするけれど…
気を緩めてはいけない。
かかわってしまった以上、なんとか自分だけでも、がんばろうと思う。

 窓の外を気にしながら、その合間にも、汚れた食器を流しに運び、
ゴミを拾う。
狭い部屋なので、こうでもしないと、部屋が狭苦しくなってしまう…
放置するわけにもいかないので、せっせとしているうちに、
すっかり眠気も、吹き飛んでしまった。
 今朝のアレは、なんだったの?
 もしかして、全くの気のせいだったの?と思い始めていると…
何かパチパチと音が聞えるような、気がしてきた。
(あれ?なに?)
思わず窓に近付くと、大きく開けて、身を乗り出して外を眺める。
いつの間にか周りの家々は静まり返り、近所の家の灯りもまばらだ…
やはりみんな眠りについているのか…
(やっぱり、気のせい?)
そう思いながらも、目をこらして、目の前の通りを見つめる。

 ポワッと街灯だけが、寝静まった街を、ボンヤリと照らし出している。
人影は、まったく見当たらない。
そこでホッと胸を撫でおろしていると…
今度は焦げ臭いにおいが、鼻をついてきた。
(あれ?やっぱり、どこか燃えてるの?)
気のせいではないか…と、さらに目を皿にして、辺りを見回す。
特に不審な点は、見当たらないけれど…
それに反して、さらに鼻をつくニオイがきつくなったような気がする。
(もしかして…ボヤかな?)
あわてて待子は、レイコさんの肩を揺さぶった。
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