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第 16章  転がる石のように…

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「いい年をした大人が…みっともない」
 嘆くように、大家さんが言うと
「あんたたち、そこで何をしているの?
 ほら、そこのあなた!
 私に用があって、来たんじゃないの?」
 大家さんと、その息子と、マイコの様子に圧倒され…
ただポカンと立ちすくむ待子に向かって
ずぃっとホウキの柄を、わざとこちらに見えるようにする…
「えっ」
大家さんの言葉に合わせて、2人の目がこちらへと注がれる。
「えっ、えーとぉ」
待子はとっさのことに、言葉を失う。
「あっ、はい、そうなんですぅ」
モゴモゴと口を動かし、落ち着きなく目をキョロキョロとさせた…
 3人の瞳が、一斉に待子へ向けられる。
いきなりのことで、頭が真っ白になったけれど、ようやく…
待子は言葉を絞り出した。


「あはは!サトシ~とんだ災難だったわねぇ。
 あんたも紛らわしいことをするから…」
 大家さんはようやく、ホウキを持ち帰ると、先ほどの顔は
どこへやら…
それでもニコニコ笑顔で、そう言う。
「あんた、この子の見たという、不審者ではないよね」
それでも真顔で、じぃっと自分の息子を見守る。
「ない、ない!
 ボクもさっき…この人たちの後に、来たばかりだから…」
ようやく言い訳のように言うと、待子たちの方を見る。
するとマイコが
「それって、本当ですか?」
疑り深いまなざしで、大家さんの息子を見た。
またも互いににらみ合いになり…またぶつかりそうになったので、
大家さんは両手をパンパンと打ち鳴らし、
「はい、やめやめ!
 ここでまた、仲間割れしないで!」と割って入る。
「仲間になんて、した覚え…ないんですけど」
マイコは憮然とした顏で、ポツリと言う。
「でも、気になるわねぇ。
 その佐伯さんのストーカー」
大家さんは真面目な顔になり、心配そうにつぶやいていた。
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