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第15章  いのち短し 恋せよ乙女?

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「あっ、そうかぁ~」
 困った顔の佐伯さんを見ると、少し考えた後、急に
「いいことがあるよ!」
クマガイさんは、ニコニコとしながら、2人を順繰りに見つめた。
「丁度ね、ひよりちゃん親子が、住んでいる部屋があるから…
 しばらくあそこへ、避難するといい」
淡々と言うので、
「でも…」
待子と佐伯さんは、お互いの顔を見合わせた。

 もともと2人は、学校へ行こうと思って、家をでたばかりだ。
だからお財布と筆記用具と、携帯ぐらいしか、手元には持っていない。
このまま…というのも、かなり不便だ。
「佐伯さん…せめてこの期間だけでも、実家に帰ったら?」
一番安心だと思われることだ。
佐伯さんは、考えこんだまま、返事が来ない。
するとまたクマガイさんが、太い首をぐぃっと巡らせると
「いや、それだと不便だろ?
 あの親子なら…嫌がらずに、置いてくれると思うよ。
 それにそのストーカーが、何か仕掛けてきたら、大変だろ?
 ここならみんなの目が行き届くし…
 みんなが気を配って、守るから…その心配は、いらないよ」
 
 いつもは、昼寝のクマのような風貌にプラスして、
オットリとした物腰の彼が、このときばかりは、どうにかしないといけない…
と、かなり考えてくれるので…とても頼もしい存在に見えてきた。
(あら、この人…案外頼りになるかも…)
意外に思う待子だ。
「えっ、でもいいんですか?」
遠慮がちに、佐伯さんが言うと、クマガイさんはとても穏やかな顔で、
微笑んだ。
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