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第15章  いのち短し 恋せよ乙女?

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  大家さんのお客さんに出会ってからは…
待子はさらに、大家さんの方も、暇さえあれば気にするようになっていた。
もちろん自分の責任ではないけれど、息子さんが側にいない限り、
自分たちが気を配らないといけない、と思っていたのだ。
 なるべく大家さんとは顔を合わせるようにして、細かく気を配る。
少しでも気を付けよう…と、何となくそう思うのだ。

「待子さ、最近…何だか忙しそうだね」
 久しぶりに、杏子と学食で待ち合わせをして、一緒にランチを取る。
「そんなこと、ないよぉ」
そうは言うものの、今日もこの後は、バイトが入っている。
「ね、実家に帰ってる?」
「ううん」
「杏子は?」
「うーん、私もこのところ、帰ってないなぁ」
 待子は知っている。
もっとも杏子の方は、バイトというよりも、最近彼氏と楽しそうに
デートをしているようなのだ。
待子が付きあい悪い、というのは、本当なのかもしれないが、
かくいう杏子も、人のことは言えない。

「お母さんは、相変わらず?」
思い出したように、杏子が言うので、
「うん、まぁそうかな」
あいまいに待子は答えた。
 最初に下宿を許してくれた段階で、実はハッキリと
母 淑子と約束させられていたのだ。
 もちろん学費は出してもらうし、必要最低限の仕送りはする…
(家賃と水道光熱費)
だけど 携帯代や、遊び代、食費は自分でどうにかしなさい…と、
苦学生というほどではないにしろ、自分の食い扶持は
自分で稼げ、というお達しを受けたのだ。
(相変わらず、シビアだね、と杏子は言った)
 だから待子は、目一杯 働かないといけないし…
家賃の安い、この桜ハウスがなくなると困るし、
そうおいそれとは、出るわけにはいかないのだ…

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