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第14章  一時休戦

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「やっぱり」
「そうだったか」
「そうだね」
 うんうんと、待子とマスターは顔を見合わせる。
「で、アンタはどうよ?」
「私?私は全然!」
「ダメじゃないかぁ」
 クスクス笑いながら、杏子は2人のやり取りを見ている。
「2人、仲がいいねぇ~
 とってもいいコンビ!
 なんだか、新鮮だなぁ」
楽しそうに言うので、
「それは どうもぉ」と言うと、マスターは再び、カウンターの中に
引っ込んだ。
急に何事か、思い出したのだろうか。

「どう?」
 2人きりになると、ニヤニヤしながら、杏子は聞く。
「どうって、なんのこと?」
いきなり言われても、なんのことだか、わからない…
さらにバイト中の身の上なので、すねたり、怒ったりは出来ない…
「でも、なんか…うまくいってるみたいね!」
 マスターの方を見ると、杏子は楽しそうに言う。
もしかして…何か勘違いをされているのではないか…と
急に気が付いて、クルリと杏子を見つめると、
「言っておくけど、マスターには奥さんがいるからね!」
急にけん制するように言う。
「あら!」
やはり、ニヤニヤ笑いが、止まらない杏子だ。
「私…そんなつもりで、言ったわけじゃあないわよ」
とぼけるような顔つきをする、杏子を見て、
「そ?言っときますけどねぇ~マスターは、私のタイプではないし、
 ただの雇い主のオジサンだからね!」
待子がキッパリと言い返すと、
「オイオイ、それはないだろ?
 オジサンは、ひどいなぁ」
カウンターの向こうから、マスターがこちらを見ている。
「あ、聞こえましたぁ?」
今さらのように、笑ってごまかそうとすると、
フフフ…
まだニヤニヤしながら、杏子がこちらを見ていた。
さすがの待子も、少しムッとして、
「からかいに来たのなら~さっさと帰って」
ブスッとして、大きく手を振った。

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