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第14章 一時休戦
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「ねぇ、何かいいことあった?
最近、お見限りだけど」
まるでスナックのママのような口調で、マスターが言うと、
「やだぁ~おみかぎりってぇ~」
クスリと杏子が笑う。
「別に~結構、バタバタしていただけ」
そう言いながらも、杏子が髪をかきあげる指に、キラリと
光るものが、目に入った。
「あっ!」
「あぁっ!」
待子と同時にマスターも、その瞬間をとらえた。
一瞬の残像を解析して、
「ちょっと、それ!」
「どうしたの?」
仲良く並んで、杏子に詰め寄った。
「あっ、見ちゃった?」
悪びれもせずに、ヘラッと笑い、杏子はあわてて右手を隠す。
「なに、わざとらしく、ごまかそうとしているのよぉ」
「そうだ、そうだ」
このマスターと杏子の2人…絶妙なシンクロ度だわ…と、
感心する杏子だ。
「いやぁ、なんだか恥ずかしいなぁ」
と言って笑う。
2人がかりの聞き込み調査で、すっかり杏子には形勢不利だ。
「ね、彼氏でも出来たんでしょ?」
「どこの人?」
「何歳?」
2人の追求の手は、弱まらない。
「待子!すっかりこの店に、なじんだねぇ」
笑ってごまかす。
そんなはぐらかしは、通用しないゾ、と待子はいたって冷静な顔つきになり、
「やっぱり、そうなんだ。
彼氏が出来たんでしょ?」
1歩も引かない調子で聞くと、
ようやく杏子がまっすぐに待子を見ると、
「うん」
拍子抜けしそうなくらい、あっさりと認めた。
最近、お見限りだけど」
まるでスナックのママのような口調で、マスターが言うと、
「やだぁ~おみかぎりってぇ~」
クスリと杏子が笑う。
「別に~結構、バタバタしていただけ」
そう言いながらも、杏子が髪をかきあげる指に、キラリと
光るものが、目に入った。
「あっ!」
「あぁっ!」
待子と同時にマスターも、その瞬間をとらえた。
一瞬の残像を解析して、
「ちょっと、それ!」
「どうしたの?」
仲良く並んで、杏子に詰め寄った。
「あっ、見ちゃった?」
悪びれもせずに、ヘラッと笑い、杏子はあわてて右手を隠す。
「なに、わざとらしく、ごまかそうとしているのよぉ」
「そうだ、そうだ」
このマスターと杏子の2人…絶妙なシンクロ度だわ…と、
感心する杏子だ。
「いやぁ、なんだか恥ずかしいなぁ」
と言って笑う。
2人がかりの聞き込み調査で、すっかり杏子には形勢不利だ。
「ね、彼氏でも出来たんでしょ?」
「どこの人?」
「何歳?」
2人の追求の手は、弱まらない。
「待子!すっかりこの店に、なじんだねぇ」
笑ってごまかす。
そんなはぐらかしは、通用しないゾ、と待子はいたって冷静な顔つきになり、
「やっぱり、そうなんだ。
彼氏が出来たんでしょ?」
1歩も引かない調子で聞くと、
ようやく杏子がまっすぐに待子を見ると、
「うん」
拍子抜けしそうなくらい、あっさりと認めた。
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