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第14章  一時休戦

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  女たちに無理やり押さえつけられて…男はついに白旗を上げた。
「わかった、わかった!
 とりあえず…一旦 白紙に戻そう。
 それならいいんだろ?」
 精魂尽き果てたような顔をすると、ようやく女たちの勝利で落着した。

「だが、条件がある」
 態勢を整えると、おもむろに男は言った。
やはりこの男にも、譲れない点があるらしい。
「まずは、家主1人に、掃除や雑用を押し付けないこと!
 持ち回りで、廊下やふろ掃除をすること」
キュッと険しい顔でそう言い渡すと、サラさんの方を振り返る。
「ちゃんと、メモっておけ」と、父親らしい威厳で命じる。
「わかった」
サラさんがうなづくと、その側で聞いていた大家さんが
「そんなこと いいのに…
 私が好きで、やっているのだから…」
あわてたように、そう言う。

「いいか、姉さん!
 1人で何でも抱え込むから、病気になったんだ。
 何かあったら、こっちにお呼びがかかるんだからな!」
まるで押しつけがましくそう言うから…待子はあら?と思う。
(大家さんには、身内がいないの?)と。
そういえば、母屋には大家さんとサラさんしかいないはずだ。
後は、占いに来るお客さんだけ…
するとサラさんがうなづいて、
「あおいさん…結局1人だもんね」
ポソッと言う。
「あっ、そうなの?」
今まで家族構成など、詮索してはいけない、と思っていたので
何も知らない待子だ。
最初の頃は、てっきりサラさんのことを、孫か何かだ、と思っていたから…
「ご心配なく!
 その辺はちゃんと考えているから、大丈夫よ」
少し声を落として、大家さんは言う。
聞いてはいけないのではないか、とさすがの待子もあわてる。
「知り合いの弁護士さんに、相談はしてるから」
いきなりの展開に、どうしたらいいのかわからなくて、
戸惑う待子だ。

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