上 下
296 / 428
第13章  桜ハウスを守れ!

   4

しおりを挟む
「ね、どうしたらいいと思う?」
 早速佐伯さんが、越してくる…というので、(今日はバイトもお休み、
ということもあり)彼女の手伝いをすることにした待子。
数か月 先住民である自分が知らなかったのに、アッサリと
立ち退きの話をする佐伯さんに、
「なら、なんでこんなトコ、わざわざ借りたの?」と聞いてみる。
どうせ数か月しか、住めないのに…と待子は思うのだが、
どうやら佐伯さんにとっては、少し違うらしい。
 本人はごくごく当たり前、という顔をして
「だって…何だかとっても、楽しそうなんですもん」
と、嬉しそうに言う。
「楽しそう?」
「だってさ、テラスハウスみたいじゃない」
「はっ?どこが?あんなにオシャレじゃないわよ」
「だって、いろんな人がいるし」
「えっ?全然違うよ」
「いや、そこがいいんだってば」

 まるで修学旅行の女子部屋とか、合宿の就寝前とかののりで、
佐伯さんはなんだかワクワクとした顔をする。
そんないいもんでもないのに。
変わった人だなぁ~そう思うけれども。
でも…案外これはこれで…楽しくやってるなぁと、
あらためて待子は気付いた。
「でしょ、でしょ~?」
ニヤニヤとして、こちらを見る佐伯さんに、おそらく本人は
考えていないであろうことを、あえて口にする。
「ならば、半年後はどうするつもりなのよぉ?」
 自分だって、この春越してきたバッカリなのに…
と、焦る待子だ。
「うーん」
佐伯さんが、急に床にしゃがみ込むと
「まぁ 最悪、不動産屋を紹介してもらうつもりだけれど…」
と言いながらも、まだ考えているようで、
「大学の学生課でも、紹介してもらえるんじゃないですかねぇ」
そう言いながらも、窓の外を凝視する。
「あ、黒猫ヤマト、が来た!」
外を眺めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハナサクカフェ

あまくに みか
ライト文芸
第2回ライト文芸大賞 家族愛賞いただきました。 カクヨムの方に若干修正したものを載せています https://kakuyomu.jp/works/16818093077419700039 ハナサクカフェは、赤ちゃん&乳児専用のカフェ。 おばあちゃん店長の櫻子さん、微笑みのハナさん、ちょっと口の悪い田辺のおばちゃんが、お迎えします。 目次 ノイローゼの女 イクメンの男 SNSの女 シングルの女 逃げた女 閑話:死ぬまでに、やりたいこと

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。

BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。 だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。 女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね? けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指すい桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

星座の国

藤いろ
ライト文芸
12の星座の国を旅するショートショートストーリー 毎週日曜更新予定

スパイスカレー洋燈堂 ~裏路地と兎と錆びた階段~

桜あげは
ライト文芸
入社早々に躓く気弱な新入社員の楓は、偶然訪れた店でおいしいカレーに心を奪われる。 彼女のカレー好きに目をつけた店主のお兄さんに「ここで働かない?」と勧誘され、アルバイトとして働き始めることに。 新たな人との出会いや、新たなカレーとの出会い。 一度挫折した楓は再び立ち上がり、様々なことをゆっくり学んでいく。 錆びた階段の先にあるカレー店で、のんびりスパイスライフ。 第3回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます。

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...