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第12章 桜ハウスへようこそ
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2人は玄関先の植え込みの側に突っ立って、家の中をすきまから
のぞき込んでいる。
そうはさせじと、引き戸を守るような格好で、サラさんが立っている。
せめて大家さんの声が聞こえてはこないか…と思うけれども、
家の中はシンと静まり返っていて、何も聞こえてこない。
ここにはいないのかなぁ~と、ガッカリとした様子で、
待子は佐伯さんをうながそうとすると、彼女はしっかりと足を
踏ん張ったまま、ビクとも動こうともしない。
「あのぉ~あなたって、ここに住んでいるんですか?」
うかがうようにして、佐伯さんが聞くので、待子はあわてて止めようとする。
だけどもサラさんは、まったく表情を変えることなく、笑顔のままで、
「そうよ!今はここに、置いてもらっているのよ」
まるで邪気のない目をして、まっすぐに佐伯さんの方を見る。
サラさん…といえば、やはりひよりちゃんを、クマガイさんに預けた時に
紹介してくれた人だ。
「あれから ひよりちゃんたち…どうしていますか?」
つい聞いてしまうと、サラさんは大きく目を見開き、
「あぁ~なんだ、そのこと?」
ホッとした顔をするので、どうやらサラさんは…勘違いをしたようだ。
「今は大丈夫みたい!
知り合いの弁護士さんに、頼んでちゃんとしてもらうよう、
頼んでいるわ」
にこやかな顔で言う。
佐伯さんとしては、サラさんを初めて見るので、ポカンとしているけれど、
全くの悪い人ではないらしい…というのは、わかったみたいだ。
「ここって、占いをしているんですか?」
いきなり真顔で、サラさんの顔をじぃっと見て、佐伯さんは切り出した。
のぞき込んでいる。
そうはさせじと、引き戸を守るような格好で、サラさんが立っている。
せめて大家さんの声が聞こえてはこないか…と思うけれども、
家の中はシンと静まり返っていて、何も聞こえてこない。
ここにはいないのかなぁ~と、ガッカリとした様子で、
待子は佐伯さんをうながそうとすると、彼女はしっかりと足を
踏ん張ったまま、ビクとも動こうともしない。
「あのぉ~あなたって、ここに住んでいるんですか?」
うかがうようにして、佐伯さんが聞くので、待子はあわてて止めようとする。
だけどもサラさんは、まったく表情を変えることなく、笑顔のままで、
「そうよ!今はここに、置いてもらっているのよ」
まるで邪気のない目をして、まっすぐに佐伯さんの方を見る。
サラさん…といえば、やはりひよりちゃんを、クマガイさんに預けた時に
紹介してくれた人だ。
「あれから ひよりちゃんたち…どうしていますか?」
つい聞いてしまうと、サラさんは大きく目を見開き、
「あぁ~なんだ、そのこと?」
ホッとした顔をするので、どうやらサラさんは…勘違いをしたようだ。
「今は大丈夫みたい!
知り合いの弁護士さんに、頼んでちゃんとしてもらうよう、
頼んでいるわ」
にこやかな顔で言う。
佐伯さんとしては、サラさんを初めて見るので、ポカンとしているけれど、
全くの悪い人ではないらしい…というのは、わかったみたいだ。
「ここって、占いをしているんですか?」
いきなり真顔で、サラさんの顔をじぃっと見て、佐伯さんは切り出した。
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